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非ムスリムの日本人観光客がメッカを訪問することは可能か? ありとあらゆる可能性を探ってみた

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イスラム教徒にとって聖地とされるサウジアラビアのメッカ。特にハッジの際に巡礼者たちがカアバ聖殿を周回する姿は、多くの人にとって神秘的な印象を与えます。しかし、メッカは非ムスリムに対して厳格な入域制限を敷いていることで知られており、日本人観光客にとっても例外ではありません。

本記事では、非ムスリムの日本人観光客がメッカを訪問できる可能性について、様々な角度から考察していきます。

サウジアラビア、メッカに関する現状

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サウジアラビアイスラム教発祥の地であり、首都リヤドをはじめとする主要都市にはモスクが立ち並び、イスラム文化が色濃く残されています。その中でも、メッカは特別な場所であり、他宗教徒や無宗教者など、非ムスリムの入域は固く禁じられています。

この制限は、イスラム教の聖なる儀式であるハッジを非ムスリムの妨害から守るため、そしてメッカの聖地としての価値を保つためという理由からだと言われています。

近年、サウジアラビア政府は観光ビザの発行など、外国人観光客の受け入れに積極的な姿勢を見せています。しかし、メッカへの入域制限については依然として厳格に維持されているのです。

ムスリムのふりをすれば入れる?

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そんな話を聞いた、そこの好奇心旺盛なあなた。非ムスリムがメッカに入域するためには、ムスリムのふりをすれば良いなんて考えていませんか?しかし、これは非常に危険な行為です。

メッカには、市域を巡回する警察によって、ムスリムかどうかを判断するための厳格なチェックが行われています。質問を受けたり、服装、言葉遣い、所作など、様々な点から徹底的に調査されます。そしてもしムスリムではないことがバレてしまえば、厳しい処罰を受ける可能性があります。

テクノロジーの発展とムスリム専用のビザ

とは言え、ムスリムかそうでないか、を明確に見分けるための「証明書制度」はこれまで存在しませんでした。であれば、例えムスリムでなくても、現地警察は確信を持って入域拒否をすることはできないのではないか、と考える方も中にはいることでしょう。

もちろん、中には判別がつかないケースもあるかもしれませんが、実際には日本人の見た目をしている、というだけで現地では確実に浮きますし、一度と言わず、何度も尋問を受けるのは確実です(特に、疑わしきは罰するのがサウジアラビアで主流のワッハーブ主義的考え方。想像以上にサウジアラビア人は真面目です)。

加えて、近年では聖地巡礼を目的にサウジアラビアを訪れる人向けにウムラ(巡礼)ビザを発行しており、そのビザを使用してムスリムかそうでないかを判別しているとも言われています。

また、とある海外旅行フォーラムでの情報によると、近年サウジアラビア政府はムスリム判定システムを設けつつあるとのこと。このシステムでは、訪問者に個人情報に関して事前インターネット登録をさせるとともに、顔認証や生体認証などの技術を用いて、モスクなどの要所への入場時に個人の身元を厳格に管理することができると言われています。

強硬入域を試みた場合の結末

上記のように、非ムスリムがメッカに入域することは、様々なリスクを伴います。強行で入域を試みた場合、以下のような結末が考えられます。

逮捕・拘留: 最も可能性が高いのが、逮捕・拘留です。場合によっては、国外追放処分を受けることもあります。
死罪: 極端に悪質な場合には、死罪に処される可能性もゼロではありません。サウジアラビアは、世界的にも死罪成立数が多いことで知られており、我々日本人の感覚ではほんの些細に感じるような悪事であっても、死罪に相当するケースは決して少なくありません。
いずれにしても、非ムスリムがメッカに入域することは、命に関わる危険を伴う行為です。

具体的な入域パターン

それでもやはりメッカ訪問を諦められない!という方。そこまで言うのならば、この機会に考えられる入域方法をすべて洗い出してみましょう。以下では、非ムスリムのメッカ入域方法について考え得る具体的なパターンと、それぞれの実現可能性について考察します。

パターン1:タクシーで入域する

まずは車でメッカを訪ねるという方法。残念ながらこれは不可能です。メッカに入域する際には、検問所を通過する必要があります。検問所では、パスポートやビザの提示を求められ、ムスリムかどうかを厳格にチェックされます。タクシーの運転手も、ムスリムかどうかを把握しているため、非ムスリムをメッカに連れて行くことは決してありません。

ちなみに、レンタカーを借りて自力でメッカを訪ねる、というのも不可能。いずれにせよ市境での検問は避けられませんし、現時点では観光目的で一時滞在をする日本人はサウジアラビアで合法的に運転をすることはできません。

パターン2:電車で入域する

メッカへは、ジッダやメディナなどから伸びる高速鉄道によってもアクセスすることができます。しかし、残念ながら非ムスリムである限りこの手段は実現不可能です。電車に乗車しても、メッカ到着直前たあたりで身分証明書の提示を求められます。また、車内や駅構内には監視カメラが設置されており、常に監視されています。もし、非ムスリムであるにも関わらずメッカへ入域していることが発覚すれば、補導・拘束されることとなります。

パターン3:空路で入域する

ならば、航空便でメッカを訪ねてはどうだろうか、と思うかもしれませんが、メッカには一般開放された空港がありません(あるのはプライベート空港のみ)。そのため、空路でメッカに入域することは不可能です。仮にチャーター便やヘリコプターでアクセスを試みた場合、悪質犯罪として重罪が課せられる可能性が高いでしょう。

パターン4:一時的にイスラム教に入信する

イスラム教に改宗すること。はっきり言って、これがもっとも一般的な訪問方法と言えるでしょう。イスラム教に改宗すれば、ムスリムとしてメッカに入域することが認められるので、堂々と訪問することができます。

とは言え、改宗は生半可な気持ちで行うべきではありません。イスラム教徒は、生涯を通じてアッラーのみを崇拝し、イスラム教の教えに従って生活することが求められます。口先だけでイスラム入信を宣言したとしても、厳格な六信・五行を重んじるサウジアラビアでは、日頃からイスラム的行動規範を取っている敬虔なムスリムと、何らかの魂胆で表面的にイスラム改宗をした人との判別を、所作の観察や簡単な質問によって容易に行うことができます。

またイスラムの掟によると、一度とイスラムに入信すると、死ぬまでイスラムを棄教することはできません。イスラム法上、一度イスラムへ入信・改宗すると、後にイスラム教を棄教した場合、死罪に処されることが定められています(現実的に、棄教によって死罪が成立したケースが存在するのかどうか、までは当方で確認できていませんが・・・)

このように、イスラム教への改宗は、簡単には行えるものではありません。メッカへの訪問を強く望む場合であっても、改宗という選択肢は慎重に検討する必要があり、ましてや「一時的に入信」などといった、イスラムへの敬意を欠く行動は絶対に控えるべきと言えるでしょう。

パターン5:政府関係者として訪問する

イスラム入信以外の方法で最も現実的なのが、政府関係者として訪問するという方法。政府関係者による職務上必要な訪問については、例外的に非ムスリムであっても認められるものとされています。

とは言え、これはあくまで理論上の話。現実的に、いったいどのような省庁のどのようなポストに就き、どのような職務であればメッカを合法的に訪ねることができるのか、そのためにどのようなプロセスを辿る必要があるのか、筆者自身全く想像がつきません。いずれにせよ、国家公務員レベルのポストへ就職する必要があることには間違いないので、非常にハードな就職試験と出世競争を覚悟する必要があるでしょう。

パターン6:飛行機で上空から眺める

ならば、メッカの地に足をつけることができずとも、せめて上空から眺めたい!それだけで良い!と考えている方へ。色々と考えた上での折衷案かと思いますが、残念なお知らせがあります。

私も同様の発想から、実際に上空からメッカを眺める方法について徹底的に模索してみました。例えば、近隣のジッダを出発するヘリコプターツアーなどが開催されていないか。或いは、リヤドとジッダをつなぐ定期航空便に乗り、進路上に位置するメッカを上空から眺めることができないか、などなど。ところが実際に調べたところ、残念ながらそのどれも現実的ではありませんでした。

メッカの聖域は非常に厳しく定められており、空においても異例はありません。よって、調べた限り一般観光客向けのヘリコプターツアーは残念ながら開催されていませんでした。

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また、都市間を繋ぐ空路においても、やはり聖域は避けて通るようルールが定められているのか、メッカ上空を通るようなルートは一つも見当たりませんでした。例えばリヤド発ジッダ着便では、両都市を直線で結ぶのではなく、全体的に北向きに弧を描くようなルートが取られており、残念ながらメッカ付近を通ることはありません。聖域であるメッカは、たとえ空の上からであっても非ムスリムの目に決して晒されないよう、ありとあらゆる可能性が潰されているようでした。

イスラムの聖地を訪れたいならメディナを訪ねよう

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メッカへの訪問が困難な非ムスリムにとって、イスラム教の聖地を体験できるもう一つの選択肢があります。それが、メディナです。

メディナは、イスラム教の預言者であるムハンマドが生涯の大半を過ごした街であり、メッカに次ぐ第二の聖地として崇められています。メッカとは異なり、メディナは近年非ムスリムでも比較的自由に訪問することができるように制度改正されました(とはいえ、預言者のモスク敷地内など、依然として非ムスリムが立入禁止となっている区画は多いです)。

サウジアラビアに行ったからにはイスラムの聖地で神聖な空気を浴びたい、という方は是非メディナ訪問を検討してみてください。

まとめ

ムスリムの日本人観光客がメッカを訪問することは、現状では非常に困難です。ムスリムのふりをしたり、強行で入域を試みたりすることは、命に関わる危険を伴います。

もし、どうしてもメッカを訪れたい場合は、イスラム教への改宗という選択肢を検討する必要があります。しかし、原則一時的な入信は許されていないため、改宗は生半可な気持ちで行うべきではなく、慎重に判断する必要があります。

メッカはイスラム教徒にとって特別な場所であり、非ムスリムが気軽に訪問できる場所ではありません。そのことを理解した上で、現地文化へのリスペクトを大切にしながら、旅のプランを検討することが重要です。