マイレージを活用した航空券予約は旅費の節約術としてポピュラーですが、中でもJAL(日本航空)の提携航空会社特典航空券を利用することで、旅のコストを大幅に抑えながら幅広い渡航先へ訪問することが可能です。しかし、この特典航空券が本当にお得になるかどうかは、事前のリサーチと計画が重要になるとご存知でしたか?
価値判断にあたり、特に「距離当たり必要マイレージ」を基準にすると、お得なルートとそうでないルートが明確になります。本記事では、実際にグラフを使用しながら、どのようなケースで特典航空券が有利になるかを分析します。
※なお、本記事では混同防止のため、距離単位のことを「マイル」、航空会社が提供するポイントを「マイレージ」と呼び分けることにします。
提携航空会社特典航空券をお得に使うには多角的なリサーチが必要
提携航空会社特典航空券を最大限に活用するためには、単にマイレージを貯めるだけでなく、どのルートが最も効率的かを理解することが重要です。そのためには多角的なリサーチが必要であり、マイレージの必要量、フライトの距離、追加のサーチャージや諸税などを考慮する必要があります。
「距離当たり必要マイレージ」で、お得なルートとそうでないルートをジャッジ
実は、提携航空会社特典航空券は、旅程距離に応じて必要マイレージ数が決まるシステムとなっており、距離ごとの必要マイルはJAL公式サイトでも公開されています。そこで、ここでは公式情報をもとに、総旅程距離とその距離に対して必要なマイレージ数(エコノミークラス)を基に、どのルートが特典航空券としてお得かを判断してみましょう。
「総旅程距離」とは、要するに出発してから旅を終えるまでの総距離。例えば1000マイル離れた目的地へ往復旅行をする場合は、総旅程距離は2倍の2000マイルとなります。ちなみに50000マイルはほぼ地球2周分に相当。また単純計算で、90000マイレージを使用すれば地球1周分(25000マイル)旅行することができるということが分かりますね。
グラフから分析
さて、先ほどの必要マイレージ早見表を少し変換して、距離あたりのお得度合いを図るグラフを作ってみました。単位は横軸が総旅程距離、縦軸が1マイル(距離)あたりの必要マイレージです。要するに、座標が上に向かうほど距離あたりの必要マイレージが高くなり(=損になり)、下に向かうほど低くなる(=お得になる)ということを表しています。
このグラフから、提携航空会社特典航空券がどのような場合にお得になるか、いくつか傾向を読み取ることができます。以下ではその詳細を説明していきます。
1. 原則、総旅程距離が長くなればなるほどお得
総旅程距離が長くなるほど、1マイルあたりの必要マイレージが減少する傾向があります。例えば、総旅程距離が50,000マイルの場合、1マイルあたりの必要マイレージは3.0であり、非常にお得です。これに対して、1,001マイルの旅程では1マイルあたりの必要マイレージが15.0と高く、あまりお得な旅程とは言えません。
2. 「必要マイレージの変わり目」がお得
必要マイレージが大きく変わるポイント、いわゆる「変わり目」の距離では、特にお得な場合があります。例えば、10,001マイルの旅程では50,000マイレージがかかりますが、これが10,000マイルになると必要マイレージは47,000マイレージのみとなり、格段にお得になりますよね。逆にこういった境目では、たった1マイルの違いで必要マイレージが大幅に増加する場合があるため、旅程距離の調整が大切です。
3. 最もお得な総旅程距離は50,000マイル、続いて20,000マイル、25,000マイル
距離が長ければお得になる、と先述したものの、厳密には単純に距離に応じてお得になっていくわけではありません。グラフからわかるように、50,000マイルの旅程が最もお得となり、続いて20,000マイルと25,000マイルが比較的お得な距離となります。逆に、14,001マイルや20,001マイルなどの距離は、突出して必要マイレージが多くなっており、お得感が薄れることがわかります。
総旅程距離調整のコツ
希望のフライトプランが、そのようなお得感の低い旅程だった場合、ちょっと損した気分になりますよね。そこで、一工夫加えて総旅程距離を調整して、可能な限り必要マイレージが低くなるようコントロールしてみましょう。
経由地を変更してみる
手っ取り早く旅程距離を調整するためには、経由地の変更が有効です。例えば、東南アジア経由でヨーロッパに向かう場合、経由地を中東に変更することで、総旅程距離を短縮できるかもしれません。
出発地を変更してみる
次に、出発地を日本国内の別空港や、隣国の空港に変更することも有効です。例えば、東京ではなく大阪や福岡から出発する、あるいはソウルや台北など近隣の空港を利用することで、距離を短縮することができます。
Mileage Calculatorを使用してシミュレーションする
距離調整のシミュレーションには、WebFlyerのMileage Calculatorを使用すると便利です。出発地と目的地、経由地を入力することで、旅程距離を簡単に計算できるので、思い付いたフライトプランがどれくらいの総旅程距離になるのか、一目瞭然です。
注意点:実際のお得度は総旅程距離だけでは評価できない
さて、ここまでマイルあたりの必要マイレージに着目しながら考えてきましたが、実際のところ、特典航空券のお得度合いは、旅程距離だけでは評価ができません。理由をいくつか見ていきましょう。
経由地を含む旅程の場合
先ほども少し乗り継ぎについて触れましたが、実際の旅行では、最終目的地まで直行できるとは限りません。直行便がなく経由地を含むルートの場合、総旅程距離も経由地を含むため、旅程距離が長くなることがあります。この場合、総必要マイレージも増加するため、事前に十分な計画が必要です。
サーチャージや諸税の違い
特典航空券を利用する際には、マイレージだけでなく別途サーチャージや諸税がかかるケースが多いです。これらの費用は、利用する航空会社やルートによって大きく異なるため、単純にマイレージだけでお得かどうかを判断するのはご法度。最終的な出費を全て勘案した上で評価をすることが大切です。
通常の航空券価格との比較
また、マイレージ特典航空券を使用することがお得かどうかは、一般航空便の料金によっても異なります。特典航空券を利用した方が大幅にお得になる場合もあれば、普通に航空券を購入してもそこそこ安く済む場合もあります。また、同一旅程を実はより安いLCCが運行していた、なんてことも。したがって、特典航空券を利用する際は、通常の航空券価格との比較も重要です。
まとめ
JALの提携航空会社特典航空券を利用する際には、「距離当たり必要マイレージ」を基準にルートを選定することで、よりお得に利用することが可能です。特に総旅程距離が長くなるほど、1マイルあたりの必要マイレージが減少する傾向があるため、遠距離のルートほどお得になります。また、必要マイレージの変わり目や距離調整のコツを活用することで、さらにお得な特典航空券の利用が可能です。しかし、実際のお得度は総旅程距離だけでは単純に評価できないため、サーチャージや諸税、通常の航空券価格なども考慮する必要があります。
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