サウジアラビアには数多くの聖なる井戸が存在し、その中でも特にメディナに位置する「ガルスの井戸」(Ghars Well、بئر غرس)は、訪れる人々にとって特別な意味を持つ場所です。この井戸は預言者ムハンマドが愛用したとされ、その水は特別な効能があると信じられています。今回は、この神聖な井戸水を実際に飲んでみた体験を通じて、水質や味、利用上の注意点について詳しくご紹介します。
「ザムザムの水」についても別記事で紹介しているので、あわせてお読みください!
ガルスの井戸(Ghars Well、بئر غرس)とは?
ガルスの井戸は、イスラム教の預言者ムハンマドが自らの体を洗うために使用し、その水を飲んでいたことで有名です。また、ムハンマドは「私が死んだら、この井戸の水で私を洗ってほしい」と述べたと伝えられています。そういった逸話も相まって、この井戸の水はイスラム教徒の間では非常に神聖視されています。
この井戸はメディナ南東部エリアに位置し、預言者のモスク(Masjid Nabawi)から約4キロメートル、クバモスク(Masjid al-Quba)からは約1.5キロメートルの場所あります。ガルスの井戸は、メディナを訪れる巡礼者や観光客にとって重要な立ち寄り先となっています。
ザムザムの泉とのかかわり
ガルスの井戸と並び称されるもう一つの聖なる泉が、メッカにあるザムザムの泉です。ザムザムの泉は、預言者イブラヒム(アブラハム)の息子イスマイルが渇きを癒すために神によって奇跡的に現れたとされる泉で、毎年多くの巡礼者が訪れます。ザムザムの泉もまた、飲むことで心身の清めや健康の向上が期待されると信じられています。
ガルスの井戸もザムザムの泉同様に神聖視され、預言者ムハンマドが特に好んだとされる水です。しかし、ザムザムの水はお土産としても人気の上現地スーパーマーケットでも手に入る一方、ガルスの水は巡実際に井戸を訪ねる以外に入手手段がありません。
ガルスの井戸を訪ねてみた
そんなガルスの井戸に興味をもった私は、メディナ旅の途中で立ち寄ることにしてみました。訪れる際には、空のボトルを持参し、自分で蛇口から水を注ぐ必要があります(ボトルを忘れた場合は現地で空ボトルを購入できるとの噂もあり)。
井戸の近くには、男性用と女性用に分かれた蛇口が設置されています。性別によって区分けがされているあたり、これもまたイスラム文化の特徴を感じとることができますね。蛇口の前は聖なる水を求める人々で混雑しており、時には順番待ちで多少強引になることもありますが、礼儀を持って接することが重要です。
ガルスの井戸水は無料で提供されており、イスラム教徒でなくても自由に利用できます。この点は、多くの観光客にとって安心できるポイントです。
実際に飲んでみた
ガルスの井戸水を飲む際には、イスラム教のハディース(預言者ムハンマドの言行録)に基づいた飲み方が推奨されていますが、今回は一般的に受け入れられている方法で試してみました。まずは感謝の祈りを捧げ、一口ずつゆっくりと飲むことが重要です。
ザムザム水は少し硬水のようなミネラル分を感じる味わいが特徴でしたが。それに対しガルスの井戸水の味は非常に滑らかで、一般的な飲料水と大きく変わることはありませんでした。飲んだ瞬間に感じたのは、その爽やかさと心地よい喉越しです。特に、メディナの暑い気候の中で飲むと、その清涼感が一層際立ちました。心なしか、ガルスの井戸水を飲んだことで旅の疲れが癒え、身体の内側から元気が湧いてくるような感覚を覚えました。
効能について
ガルスの井戸水は、イスラム教の伝統において特別な効能があると信じられています。具体的には、健康の増進や精神的な浄化、さらには病気の治癒などが挙げられます。実際、歴史的な文献や現代の研究でも、この井戸水が豊富なミネラルを含み、健康に良い影響を与える可能性が示されています。ただし、科学的な裏付けは限定的であり、あくまで宗教的・文化的な側面を重視した解釈となること、ご注意ください。
いかがでしたでしょうか
ガルスの井戸水は、その歴史的・宗教的な価値だけでなく、実際に飲んだ際の爽やかな味わいや健康効果からも、多くの人々に愛されています。メディナを訪れる際には、この神聖な井戸水をぜひ一度体験してみてください。その特別な味わいと効能は、旅行の思い出をさらに深め、心に残るひとときをもたらしてくれるでしょう。
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