砂漠の広がるアラビア半島の夏。特に6~8月は毎日のように気温が40度を超え、時には50度近くに達することもあるなど、その厳しい暑さで有名です。しかし、ムシムシした暑さが特徴の日本の夏とは異なり、アラブや中東地域の夏は、非常に高い気温に対して湿度が極端に低いことで知られています。それ故、「じめじめとした日本の夏に比べて、乾燥していてカラッとした中東の夏は案外心地良いのではないだろうか」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
そんな中東の夏の様子を調査したく、今回実際にサウジアラビアの各都市を訪れて、その暑さを体感してみることにしました。筆者自身は比較的暑がりで汗っかきなので、そもそも気温の高い環境は得意ではないのですが、本記事では今後中東へ旅行を計画している方々へ向けて、その経験をもとに各都市の気温や湿度、そして日本(東京)と比較した暑さの違いや過ごしやすさについてお伝えしたいと思います。
昼夜逆転するほどの灼熱地獄
サウジアラビアの暑さを物語るエピソードとして、良く話題に上がるのが、国民的「昼夜逆転生活」。実はサウジアラビアでは特に夏の間、過酷な暑さを回避するために昼夜逆転の生活スタイルが浸透しています。夏の日中は気温が50度近くに達することがあり、こうした高温環境を避けるために人々は昼間の活動を控え、涼しい夜間に活動を移行しているのです。
この期間はビジネスにおいても、多くの企業やオフィスが夜間に営業を行うことで効率を図ることで知られています。またレストランやカフェ、商店等も日中の営業を休み、夜に開くという変則スケジュールをとるようになります。こういったエピソードからもサウジアラビアの夏の暑さのすさまじさが伝わってきますね。
都市別の夏の暑さレポート
さて、それでは実際に各都市の暑さについて、実際の感覚のレポートをしたいと思います。一概に40度超えと言っても、湿度や風の有無などによって体感の暑さが大きく変わってきます。以下では、それぞれの都市の機構的特徴と共に、述べて参ります。
1. アルウラ:乾燥した暑さが特徴
ヘジャズ(紅海沿岸)地域の内陸に位置するアルウラでは、7月の最高気温は45度に達し、一方で湿度はわずか10%でした。街中に降り注ぐ太陽はまるで炎の雨のようで、炎天下での活動はまるで焼けるような感覚でした。しかし気温の高さに反して、日傘をさしたり、シュマーグ(ストール)を巻くことで、思ったよりも耐えることができました。湿度が低いため、汗だくになることも少なく、カラッとした気候のおかげで意外と快適に感じました。
まるで砂漠のオアシスにいるかのように、日陰に入ればエアコンがなくても比較的快適に過ごせました。特に、古都AlUla Old Townの中を散策する際には、日陰が多く、暑さを避けるのに適していました。とは言え、感覚的には耐えられる暑さだったとしても、外気が体温を超えるような環境で長時間屋外にいるのは危険です。実際に真夏に訪問する場合は適度に空調の効いた屋内で休むことをおすすめします。
2. メディナ:強風がもたらす熱波
メディナでは、最高気温が47度まで上がったものの、湿度はアルウラと同じく10%ほどでした。ここでの暑さは一層厳しく、街中を歩くとまるでサウナの中にいるような感覚でした。
また日によっては風が強く吹き、まるで熱波が全身を包み込むようでした。一般的に風が吹くと涼しくなるようなイメージがありますが、気温が体温を越えると、まるでサウナの中の熱波のように余計に暑く感じました。また、この乾いた強風は目を乾かし、終始ドライアイ状態で涙が止まりませんでした。まるで目に砂を吹き込まれるかのような感覚です。
日中に活動する場合、適度にエアコンの効いた屋内で休むことが大切です。一方で日が沈むと一気に快適さが増し、夜のメディナはまるで別世界のように過ごしやすくなりました。特に夜の祈りの時間になると、涼しさが街を包み、人々が涼しい夜風の中で集まる光景が印象的でした。
ちなみに、筆者がメディナで飲んだ水は1日あたりなんと7リットル。湿度が低いため、汗で衣服がベトベトになるようなことはないものの、気づかないうちに大量に発汗していたみたいです。メディナでは、体感以上に体水分が急速に奪われるので、小まめな水分補給が不可欠です!
3. ジェッダ:湿度の高い海沿いの都市
ジェッダは海沿いに位置し、湿度が40%ほどと高め。一方で気温は41度と他の都市に比べて比較的低めでした。しかし、湿度のせいで終始汗だくに。まるで熱帯雨林の中にいるような感覚で、汗が滝のように流れ落ちました。1時間程度散歩をしているだけで、絞ったら水が滴りそうなほどTシャツが汗まみれになりました。ただこの暑さも一日中続くわけではなく、夕方以降の時間帯になれば暑さもかなり落ち着いてきて、そこまで汗にストレスを感じることなく散策ができるようになりました。
ちなみに、海沿いのコーニッシュエリアでは、海水で冷やされた空気が風とともに運ばれてきて、気温に対してかなり涼しく感じられました。感覚的には、まるで海からの自然のエアコンのよう。夜になると気温が下がり、海風がさらに涼しさを運んでくれるため、海沿いエリアは非常に過ごしやすくなりました。夜のジェッダでは、人々が海辺に集まり、涼しい夜風を楽しむ姿が見られました。
4. リヤド:砂漠のど真ん中の都市
リヤドは砂漠の真ん中に位置し、最高気温が46度まで上昇しました。砂漠のど真ん中に位置する地理的条件も相まって、湿度は20%以下と低めでしたが、日中の暑さはなかなか見事なものでした。
リヤドの太陽はまるで燃え盛る炎のようで、直射日光を浴びている間は体力の消耗を如実に感じました。とは言えカラッとした気候も相まって体感気温は決してそこまで高くなく、日傘さえさせば昼間の炎天下でも何とか活動できるかな、という印象です。
一方でアルウラに比べると少し汗をかきやすく、モール内での小まめな休憩が必須でした。大都会リヤドでは、モールやカフェで涼みながら、地元の人々と交流するのも楽しみの一つ。また夜になると、砂漠の冷気が街を包み、昼間の暑さが嘘のように過ごしやすくなりました。
まとめ
今回いくつかの都市を回ってきましたが、正直日本の夏を耐えられるならば、サウジアラビアの夏も決して無理ではないことがわかりました。むしろ、暑さを避けて現地住民が外に出ていない日中時間帯は、日本の暑さに慣れた我々にとって絶好の街歩きチャンスとも言えます。
今回の都市比較を通じて、個人的な体感温度は、東京≫メディナ>ジェッダ>リヤド≫アルウラ、という結論でした。それくらいに、東京の暑さが凄まじいということ、改めて体感できたのも思わぬ収穫でした(笑)
ただし、都市や地域によって暑さの種類が異なるため、訪問する場所によって対策が必要です。内陸の乾燥した暑さは、日本の湿度の高い夏に比べて意外と快適に感じられることもありますが、湾岸地域のアラブ首長国連邦やクウェートの夏は湿気も相まってより凄まじいかもしれません。夏に中東を訪れる際は、事前に各都市の気候情報を確認し、適切な対策を講じることが大切です。
現地の人々の生活スタイルや工夫を取り入れながら、暑さを乗り切る方法を見つけることで、素晴らしい旅の思い出を作ってみてください!
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