サウジアラビアの旅に出ると、まず驚くのが飲酒文化の違いです。アラブ首長国連邦やカタールなどの周辺国と異なり、この国ではアルコール飲料は完全に禁止されています。そのため、旅行者が食事中にワインやビールを楽しむようなことはできません。
しかし、そんなサウジアラビアでも、ほんのりお酒っぽい風味を楽しめる飲み物があります。その名も「ソビア」。この記事では、この独特な発酵飲料「ソビア」とは何か、どのようにして楽しむかをご紹介します。
サウジアラビアの酒事情:飲酒は一切禁止
サウジアラビアはイスラム教を国教とする国であり、厳格な宗教法が日常生活を支えています。イスラム教では、アルコールは宗教上禁じられているため、サウジアラビアでは法律として飲酒が一切禁止されています。そのため、レストランやホテルでもアルコール飲料を見かけることはありません。また、アルコールの所持や持ち込みも厳しく取り締まられており、違反した場合には重い罰則が科されます。
こうした背景から、サウジアラビアでは代わりにノンアルコールの飲み物が豊富にあります。その中でも特に注目すべきなのが「ソビア」という発酵飲料です。この飲み物は、見た目や風味が少しお酒に似ているため、サウジアラビアの伝統的な祭りや断食明けのイフタール(夕食)で人気があります。
ソビアとは?
「ソビア(Sobia / سوبيا)」とは、主にサウジアラビア西部、特にメッカやジッダなどのヘジャズ地方でよく見かける発酵飲料です。大麦や小麦、パン、または米といった穀物を発酵させ、そこに糖や香料を加えて作られます。飲み物自体はアルコールを含まないため宗教上の問題はありませんが、発酵の過程でほんのりとした酸味や独特の風味が生まれることから、まるでお酒のような飲み応えがあります。
ソビアの味わいは地域や家庭によって異なり、バリエーションも豊富です。例えば、白っぽい色をした伝統的なソビアや、赤やピンク色のフルーツ風味のものがあります。味も甘く濃厚なタイプから、さっぱりしたものまでさまざまです。特に断食月であるラマダン中には、夕食の際に冷えたソビアが提供されることが多く、この時期になると街中でソビアを売る露店が多く見られるようになります。
ジッダ旧市街「Al Balad」の「Sobia.Bar」でソビアを体験
今回は数多くあるソビア専門店の中から、ジッダ旧市街「Al Balad」内の「Sobia.Bar」という店でソビアを飲んでみました。お店はアート作品が多く飾られた、インスピレーション溢れる空間で、店内の雰囲気も独特です。Al Baladの中心部に位置するため、旧市街散策の合間の休憩としても非常にオススメのお洒落スポット。
ここでは、白いソビアと赤いソビアの二つが売られており、赤いソビアはベリー風味の味付けがされているとのことでした。迷った末に、オリジナルの白いソビアを試してみることにしました。
ソビアの味わい
キンキンに冷えたソビアを早速頂いてみます。口をつけて感じた第一印象は「お酒っぽい」。甘さと酸っぱさ、そして何とも言えない発酵臭がエキゾチックなハーモニーを奏でており、まるで酩酊を誘うような魅惑的な味わいです。味を例えるなら、モルディブのルクラ―(Rukuraa)や韓国のマッコリに近い風味といったところでしょうか。
もしくは、ヨーグルト味の「ほろよい」のような、ちょっと乳酸菌飲料っぽさも感じられます。そのユニークな風味は非常に面白く、普通の飲み物とは一線を画しており、なかなか言葉では形容しきれません。またソビアは少し微炭酸で、口当たりがピリッとしていることから、飲んだ時の印象がよりフレッシュで爽やかに感じました。
まとめ
サウジアラビアでのアルコール飲料は厳しく禁じられていますが、代わりに「ソビア」という発酵飲料がその穴を埋めています。お酒とは違うものの、発酵によるほんのりとした酸味や香りが楽しめるこの飲み物は、特に暑い気候や断食明けの場面で重宝されています。ジッダの「Sobia.Bar」で体験したソビアは、その独特な味わいが印象的で、サウジアラビアならではの体験を提供してくれました。旅行中にローカルな文化を体験したい方や、暑さの中でちょっと変わった飲み物を試してみたい方に、ソビアはぴったりです。ぜひサウジアラビアを訪れた際は、一度味わってみてください。
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