チュニジアは北アフリカに位置し、地中海に面した美しい国です。その中でも、首都チュニスの近郊にあるシディ・ブ・サイド(Sidi Bou Said)は、青と白を基調とした街並みで世界中から観光客を集めています。
この特徴的な配色は、実はチュニス市街地や旧市街(メディナ)でもよく見かけます。シディ・ブ・サイドほど観光地化されていないチュニス市内でも、青と白の調和が感じられる美しい街並みが広がっているのです。
実は、これらの色や装飾には単なる美しさだけでなく、実用的な理由や深い文化的意味が込められています。今回は、青い街並みと扉に描かれた模様に焦点を当て、その背景に迫ります。
青と白の色使いの秘密
シディ・ブ・サイドは、白い壁と鮮やかな青の窓枠や扉で統一された美しい町として有名です。この青と白の配色は、フランスの音楽家ロドルフ・デランジュによって広められたと言われていますが、その背景には視覚的な美しさだけでなく、実用的な側面もあります。
地中海地域に多い強い日差しを白い壁が反射し、涼しさを保つ一方、青は特に虫除け、特に蚊除けの効果があるとされています。実際、メディナで出会った客引きの青年に尋ねたところ、「青は蚊を寄せ付けないんだ」と教えてくれました。これは私自身の体験とも一致しており、チュニジア滞在中にまったく蚊に刺されなかったのはひょっとするとこの効果かもしれません。
チュニス市街地でも見られる青と白の組み合わせ
ところでチュニジアを訪問してみると、シディ・ブ・サイドのように観光地化されていないチュニス市街地でも、青と白の配色が広く使われていることに気づくはずです。特に旧市街のメディナでは、白い壁に青い扉や窓が映える建物が多く、地中海特有の美しい風景が広がります。これらの色は、見た目の美しさだけでなく、住民の生活に根付いた知恵や文化を反映しているのです。その効果もあってか、40度を超える夏のチュニスでも心なしか日本の夏より心地よく感じたり、蚊やハエに苛まれることなく快適に過ごすことができました。
また青と白の組み合わせは、見た目の美しさや実用性に加え、心理的な効果も持っています。青は冷静さや涼しさを感じさせ、白は清潔感と広がりを象徴します。それぞれ暑い地域においては重要な要素ですし、こうした理由から、チュニスの街並みでは青と白が選ばれ、それが街全体に統一感をもたらしているのかもしれませんね。
チュニスの扉に描かれた模様の意味
ところで、青と白の色遣いだけでなく、チュニジアの扉には特徴的な模様が多く描かれています。特に目を引くのが、五本指のシンボルである「ハムサ」。これは魔除けの意味があり、邪悪な目や悪霊から家を守るとされています。
また、魚や目、月などの模様も扉や窓枠に刻まれていますが、これらも「妬み避け」や「悪意を防ぐ」効果があると信じられています。このように、扉のデザインは単なる装飾ではなく、住む人々の平穏な生活を願う祈りが込められたものなのです。
邪視避けはイスラム圏では良く見られるアイデアで、中でもトルコの青い目玉模様の飾り「ナザールボンジュウ」が有名な例。チュニジアのハムサなども同様のコンセプトを共有しており、ドアのデザインとして用いられる他、お守りやアクセサリーのモチーフとしても利用されています。
いかがでしたでしょうか?
チュニスの青と白の街並みや扉に描かれた模様は、単なる観光地としての魅力だけでなく、地域の文化や歴史、そして人々の生活に密接に関わっています。シディ・ブ・サイドのような有名スポットだけでなく、チュニス市街地やメディナでも同様の美しさを発見できることは、旅の楽しみを深める要素となるでしょう。
青と白の配色や扉に施された模様に込められた意味を知ることで、チュニジアの街並みがさらに豊かに感じられ、旅がより一層特別なものになるはずです。チュニス散策の際には、是非今回紹介した話を思い出しながら、町の色遣いや模様に目を配って見てください。
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