今回上海浦東国際空港でのフライトトランジットの合間、地元の人々に愛される「哈啤酒吃GALA」という店に足を踏み入れました。ここでは、本場の中国風バーベキュー「烧烤」(シャオカオ)を、世にも珍しいビニール袋に入ったビールとともに楽しむことができるという情報を聞いていたため、この機会にサクッと晩ご飯を食べに行ってみることに。
そこで今回は、上海でのトランジット旅行を検討されている方向けに、短時間でも現地ならではの体験ができる食事レポートをお届けしたいと思います。
烧烤(シャオカオ)とは
烧烤(シャオカオ)は、中国式のバーベキューを指します。「烧」(シャオ)は「焼く」、「烤」(カオ)は「炙る」という意味を持ち、まさにその名の通り、食材を直火で焼き上げる料理法です。起源は古く、遊牧民族が肉を串に刺して焼いて食べていたことに遡るとされています。現代の形になったのは1980年代以降で、都市部での屋台文化の発展とともに急速に広まったとのこと。
烧烤では羊肉、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類はもちろん、イカやエビなどの海鮮類、キノコや青菜などの野菜類まで、実に多彩な食材が使われます。これらの具材のほとんどは、小さな金属の串に刺して提供されます。味付けもシャオカオの魅力の一つで、クミンや唐辛子、ガーリック、五香粉などを使った独特のスパイシーな調味料が特徴的です。地域によって味付けは異なりますが、どれも香り豊かで刺激的な味わいを楽しむことができます。
伝統的なシャオカオは炭火で焼き上げられます。この炭火焼きにより、食材に香ばしさが加わり、より深い味わいを引き出します。炭火の香りと食材の旨みが絶妙に融合し、独特の風味を生み出すのです。
またシャオカオを楽しむ場所も多様です。路上の屋台から専門店まで、様々な場所でシャオカオを味わうことができます。特に夜間営業の店が多く、中国の夜食文化の重要な一部となっています。
体験レポート:「哈啤酒吃GALA」でのビールと烧烤
さて、この度目を付けたのが「哈啤酒吃GALA」という上海市内の店。観光ブックなどには載っていないお店ですが、現地の友人の間で大絶賛の様子だったので、口コミを頼りに突撃してみることにしました。
店内に入ると、活気あふれる雰囲気と香ばしい匂いが私たちを出迎えてくれました。テーブルに座り、メニューを眺めながら気になった串を注文していくことに。ちなみに注文はメニューによって2本~、10本~など、最小単位が決まっています。
まずは、シャオカオの醍醐味であるお酒から。中国の地ビールとして有名な青島ビールを2種類選びました。「青岛鲜啤」(青島生ビール)を1袋(20元)と、フルーティーな味わいを楽しめそうな「青岛果啤(蓝莓)」(青島フルーツビール ブルーベリー味)を1袋(30元)です。どちらもプラスチックの袋に入った状態で提供されるという、ユニークなスタイル。袋の口を開けて飲むという新鮮な体験に、思わず笑みがこぼれます。青島の生ビールはすっきりとした喉ごしで、これから楽しむ料理との相性も抜群です。
次に、注文した食事が続々と運ばれてきます。
「牛油小串」(牛肉の小串)10串(20元)は、小さな脂身に絡む濃厚な味付けが病みつきになる美味しさ。日本で言うところの「伝串」に非常に近い位置づけで、とにかくたくさん頼んでばかすか食べるのが醍醐味。ついつい手が伸びてしまう、シャオカオの定番中の定番です。
「羊白条小串」(羊肉の小串)5串(20元)は、クミンの香りが食欲をそそる一品。香ばしく焼けた羊肉の風味が口いっぱいに広がります。テーブルには専用の混合スパイス(羊名人のような味)が置いてあるので、特に羊串にはトライしてみることをお勧めします。
「蘑菇筋」(キノコ)2串(20元)、「烤土豆片」(焼きポテト)2串(7元)など、野菜も楽しめるのが嬉しいポイント。香ばしく焼きあがったキノコやポテトは、肉料理の間の箸休めにぴったりです。
「秘制麻辣排骨」(秘伝の麻辣スペアリブ)1串(10元)は、店の看板メニューの一つ。スパイシーな味付けと柔らかな肉質が絶妙にマッチし、ビールが進みます。「芥末三花趾」(からし味の鶏の足)5串(30元)は、独特の食感と風味が楽しめる一品。地元では人気の高いメニューです。
肉以外のグリル料理も充実しており、「无辜的青岛大虾」(罪のない青島の大エビ)1串(10元)は、新鮮なエビの風味を存分に楽しめる一品。焼くことで甘みが増し、プリプリとした食感も楽しめます。
最後に、「秘制江湖烤翅」(秘伝の江湖風焼き手羽先)1串(6元)も忘れずに。これは絶品中の絶品。皮はパリッと焼けて香ばしく、中の肉は驚くほどジューシーでした。
2人でお腹いっぱい食べて全30品、総額175元(約3,500円)で、この豊富な種類と量の料理を楽しめるコストパフォーマンスの高さにも驚きました。
注意点:決済方法に要注意
そんな良いところ尽くしの「哈啤酒吃GALA」ですが、一つ重要な注意点があります。それは支払い方法です。
中国旅行では、日本とは異なる決済システムに注意が必要です。「哈啤酒吃GALA」を含む多くの店舗で、VISAやMasterなどの国際カードブランドが使用できないことがあるのです。今回は幸いにもAliPayを準備していたので問題ありませんでしたが、日本の感覚で食事をしに行くと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。最悪の場合、無銭飲食になってしまう恐れもあるでしょう。
そのため、中国旅行の際は、AliPayやWeChatPayなどの現地で使用可能な決済アプリを事前に準備しておくことを強くおすすめします。これらのアプリは、中国滞在中のさまざまな場面で必要不可欠となります。
また、現金を用意しておくのも賢明です。電子決済手段を用意しておかなくても、最悪現金さえあればなんとかなります。旅行前に必要なアプリをもう一度チェックし、決済方法を確認しておくことで、より安心して中国の食文化を楽しむことができるでしょう。
まとめ:トランジットと言えど全力で楽しもう!
トランジットでの限られた滞在時間ではあったものの、店内の活気、香ばしい匂い、美味しい食事と冷たいビール、そのどれをとっても、「哈啤酒吃GALA」での体験はまさに上海の夜の魅力を凝縮したものでした。地元の人々に混じってシャオカオを楽しむことで、観光地では味わえない、等身大の上海を感じることができたのです。
トランジット時間を利用した短い滞在でも、こうして濃厚な食文化体験ができるのは、上海の魅力の一つと言えるでしょう。次回の上海トランジットの際には、ぜひシャオカオに挑戦してみてください。きっと忘れられない思い出になるはずです!
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