前回の記事では、イギリスの隠れた宝石とも言えるThornbury Castle(ソーンベリー・キャッスル)での宿泊体験をお伝えしました。今回は、このお城での滞在をさらに特別なものにしてくれる、テイスティング・コースディナーについて詳しくご紹介します。
前回記事はこちらから!
パブ飯からテイスティング・コースへ
当初の計画では、Thornburyの町に出かけてパブ飯を楽しもうと考えていました。しかし、スタッフの方からテイスティング・コースの提案を受け、思い切って挑戦してみることにしました。結果として、この選択は大正解でした。今思えば、このディナーコース抜きでは、Thornbury Castleでの滞在は味気ないものになっていたかもしれません。
Thornbury Castleのテイスティング・コースは、6種類の料理で構成される本格的なコースディナーです。価格は1人あたり£95で、ワインペアリングを追加する場合は£70、ノンアルコールドリンクペアリングは£50となっています。それぞれの料理に合わせて厳選されたドリンクを楽しめるのも、このコースの魅力の一つです。
ちなみにテイスティングメニューという言葉が聞きなれない方も多いかもしれませんが、ほぼフルコースと同じと捉えて頂いて問題ないです。一応本来の意味的には、沢山の食事を少しずつ提供するコースメニューということらしいですが、我々日本人の小さな胃袋からしてみるとしっかりフルコースです。
コース料理の詳細と食レポ
今回いただいたテイスティングメニューは下記の通りでした。
1. リーキ&ポテトのエスプーマ
- 付け合わせ:オニオンクラム、リーキオイル
- ワインペアリング:White Rabbit Riesling 2022, Germany
滑らかなエスプーマは、リーキとポテトの風味が絶妙なバランスで調和していました。オニオンクラムがアクセントとなり、リーキオイルが香りを引き立てています。ドイツのリースリングワインとの相性も抜群でした。
2. ダイバースカロップ
- 付け合わせ:レッドペッパーピューレ、ソース・ヴィエルジュ、サンファイア
- ワインペアリング:Oremus Furmint 2020, Hungary
新鮮なホタテの甘みと、レッドペッパーピューレの酸味が見事に調和していました。サンファイアの塩気がアクセントとなり、ハンガリーワインがこの料理の魅力をさらに引き立てていました。
3. パテ・アン・クルート
- 付け合わせ:希少種の豚肉、トリュフ風味のディジョンマスタード、ガーデンピクルス
- ワインペアリング:Drappier Rose Champagne, France
パイ生地で包まれたパテは、豚肉の旨味が凝縮されており、トリュフの香りが贅沢さを演出していました。ガーデンピクルスの酸味が全体をまとめ上げ、ロゼシャンパンとの相性も抜群でした。ちなみに、この料理で使用されていたピクルスはなんとお城の庭園で育てている野菜とのこと。ただ美しいだけでない庭園の魅力について、翌日にガーデナーさんからしっかりとお話を聞く機会があったので、また別記事でレポートしたいと思います。
4. 牛肉のレアステーキ
- 付け合わせ:ロスティ、ニンジン、ほうれん草
- ワインペアリング:Babylonstoren Shiraz 2021, South Africa
このメイン料理が、私にとって最も印象的でした。厚さ5cmほどの豪快なステーキは、外はこんがりと焼かれ、中はジューシーな赤身が顔を覗かせていました。ナイフを入れると肉汁が溢れ出し、その香りと味わいは忘れられないものになりました。
5. リンゴのデザート
- 付け合わせ:ゼリー、ローズマリークリーム、サイダー、ブラックペッパー
- ペアリング:Ice Cyder, Somerset
爽やかなリンゴの風味に、ローズマリークリームの香りが絶妙にマッチ。ブラックペッパーのスパイシーさが全体を引き締め、サマセット産のアイスサイダーとの相性も抜群でした。
6. ルバーブのパブロバ
- 付け合わせ:レモンバーム、ルバーブジュース
- ワインペアリング:Chateau de Stoney, 2022, France
軽やかなメレンゲの食感と、酸味のあるルバーブの組み合わせが絶妙でした。レモンバームの香りが全体を引き立て、フランスの甘口ワインとの相性も抜群でした。
Thornbury Castleの食事は、フランス料理をベースにしています。実は、イギリスの高級レストランでは、フランス料理を提供するケースが多いのです。伝統的なイギリス料理よりも、洗練されたフランス料理の方が、特別な体験を求めるゲストのニーズに応えやすいのかもしれませんね。
荘厳な食事会場
Thornbury Castleでのディナーは、食事だけでなく雰囲気も素敵。食事会場は、城の地上階にあるレストランです。客室同様に、お城ならではの荘厳でクラシカルな内装が魅力的です。興味深いことに、外国人観光客らしき利用客はほとんど見当たらず、ほとんどがイングランド近郊から来た人々のようでした。というのも、Thornbury Castleは一般的な観光ガイドブックには載っておらず、現地でも知る人ぞ知る隠れスポット。ちょっとした記念日利用などの特別な機会に訪れているようです。
この雰囲気を壊さないためにも、相応の服装で訪れる必要があるでしょう。カジュアルすぎる服装は避け、スマートカジュアルからフォーマルな装いが望ましいです。
注意点
食物アレルギーや不耐性がある場合は、事前にスタッフに伝えることをお勧めします。また、10%のサービス料が自動的に請求に追加されるので、ご注意ください。
いかがでしたでしょうか?
Thornbury Castleでのディナー体験は、単なる食事以上の思い出になりました。中世の城で現代のフランス料理を楽しむという、時空を超えたような贅沢な時間。皆さんも機会があれば、ぜひこの特別な体験を味わってみてください。
次回の記事では、Thornbury Castleでの朝食(イングリッシュブレックファスト)や、アフタヌーンティーの様子についてもレポートする予定です。イギリスの伝統的な食文化を、歴史ある城で味わう贅沢な体験をお楽しみに!
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