年末年始は、多くの人にとってとっておきの旅行シーズン。世界中の多くの国や都市では、華やかな年越しカウントダウンイベントや花火大会が開催され、新年を迎える高揚感を味わえます。しかし、これらの魅力的なイベントが、必ずしも旅行者にとって良いことばかりとは限りません。
年末年始の海外旅行には、様々な要因を考慮する必要があります。華々しいイベントの裏側には、混雑や高騰する物価、予約の取りづらさなど、旅行者を悩ませる問題も潜んでいます。また、訪れる国や地域の文化や慣習によっては、想像していたような年末年始の雰囲気を味わえない可能性もあります。
この記事では、年末年始の海外旅行で意識すべきポイントを押さえた上で、オススメの渡航先とそうでない渡航先を詳しく紹介します。あなたの旅行スタイルに合った最適な選択肢を見つける参考にしてください。
年末年始の旅行で意識すべきこと
1. フライト価格の高騰
年末年始は、世界中で最も旅行需要が高まる時期の一つです。そのため、多くの航空路線で価格が大幅に上昇します。特に人気の渡航先では、通常期の2倍以上の価格になることも珍しくありません。早期予約や柔軟な日程調整が重要になってきます。
2. 現地ホテルの空室状況、価格高騰
フライトと同様に、ホテルの予約状況も厳しくなります。人気の観光地では、年末年始の数ヶ月前には予約が埋まってしまうことも。また、空室があったとしても、通常期よりも大幅に高い料金設定になっていることがほとんどです。
3. 現地の混雑状況
年末年始は、現地の人々も休暇を取る時期です。観光客だけでなく、地元の人々も街に繰り出すため、観光スポットや交通機関が非常に混雑します。人気のイベントや観光地では、長時間の待ち時間を覚悟しなければならないこともあります。
4. 独自の暦
訪れる国や地域によっては、西暦の新年とは異なる独自の暦を使用している場合があります。例えば、中国や韓国などでは旧正月(春節)が最大の祝祭日となっており、西暦の年末年始はそれほど盛り上がらないことがあります。
その他、イスラーム暦が使用されているアラブ諸国や、イラン暦を使用しているイランなど、意外にも我々基準の年末年始文化が根付いていない国は多数あります。
5. その他文化的慣習
多くの国では、年末年始は家族と過ごす大切な時間とされています。そのため、地元の人々は実家に帰省したり、家族と静かに過ごしたりすることが一般的です。結果として、レストランや商店が閉まっていたり、公共交通機関の運行が減少したりすることがあります。
オススメではない旅行先の例
それではこれまでの話を踏まえ、具体的に年末年始の渡航がオススメでない国・都市をいくつか紹介していきましょう。
1. ロンドン(イギリス)
ヨーロッパでは、クリスマス休暇から年末年始にかけて、家族とのんびり過ごしたり、地元に帰ったりするのが一般的です。そのため、ロンドンのような大都市でも、意外にも閑散としていることが多いのです。
確かに、年越しのカウントダウンでは、ビッグベン周辺で花火が上がります。しかし、その規模は意外と小さく、良い場所で見るためには極寒の中、何時間も待機しなければなりません。また、多くの店舗が閉まっているため、観光を楽しむのも難しくなります。
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2. ドバイ(アラブ首長国連邦)
ドバイは、豪華絢爛なカウントダウンイベントで有名です。世界一高いビル、ブルジュ・ハリファでの花火やライトショーは圧巻です。しかし、その魅力ゆえに、全世界から観光客が訪れるハイシーズンとなっています。
結果として、航空券やホテルの価格が軒並み高騰し、街のあらゆる場所が混雑します。カウントダウンイベントを楽しむには、高級ホテルの予約が不可欠なため、予算に余裕がない旅行者には厳しい選択肢となります。
3. 上海(中国)
中国では、西暦の年末年始よりも旧正月(春節)の方が盛り上がります。上海の外灘(バンド)でも年越しのイルミネーションショーがありますが、春節の豪快な花火やドローンショーに比べると見劣りします。
それでも中国中から観光客が押し寄せるため、街は大混雑します。特に夜間は、タクシーが捕まりにくくなるなど、交通手段が限定されてしまいます。
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オススメ旅行先の例
一方で、年末年始に気軽にカウントダウンイベントを楽しんだり、逆に混雑を避けて観光がしやすいような旅行先についてもいくつかピックアップしてみました。
1. 香港
中国と同じく春節文化の影響を受ける香港ですが、イギリス統治時代の名残もあり、西暦の年末年始も盛り上がります。ビクトリア・ハーバーでの花火やライトショーは世界的に有名で、多くの観光客を魅了しています。
年末年始の香港は、東洋と西洋の文化が融合した独特の雰囲気を楽しめます。カウントダウンイベントだけでなく、ショッピングや食事、観光など、様々な楽しみ方ができるのが魅力です。
2. シンガポール
シンガポールも中国系の人々が多く、春節が大きな祝祭日ですが、国際都市としての側面も強く、西暦の年末年始も充実したイベントが開催されます。マリーナ・ベイ・サンズ周辺での花火やライトアップは、都市の近代的な景観と相まって、印象的な光景を作り出します。
温暖な気候と整備された都市環境、多様な文化が融合したシンガポールは、快適に年末年始を過ごせる魅力的な選択肢です。カウントダウンイベントだけでなく、ショッピングやグルメ、観光など、多彩な楽しみ方ができます。
3. モロッコ
筆者が地味に推したいのがモロッコなどの中東諸国。イスラーム暦を採用しているモロッコでは、西暦の年末年始も平常運転です。レストランや商店も通常通り営業しており、観光を楽しむのに支障はありません。
確かに、華やかなカウントダウンイベントはありませんが、その分、ローシーズン扱いになります。ヨーロッパや中東諸国からのフライトも比較的安価で、予算を抑えて旅行するにはチャンスです。
マラケシュの迷宮のような旧市街や、サハラ砂漠のツアーなど、モロッコならではの体験を、混雑を避けてゆっくりと楽しむことができます。カウントダウンイベントがなくても、独特の文化や景観を楽しめる点で、意外にもおすすめの渡航先と言えるでしょう。
また、モロッコと同様に、他のイスラム圏の国々も年末年始の穴場的な旅行先として注目されています。例えば、チュニジアでは古代ローマの遺跡や美しいビーチを楽しむことができます。インドネシアのバリ島も、年末年始は比較的穏やかで、独特の文化体験ができる魅力的な選択肢です。現在は中東情勢により渡航が非推奨となっているイランも、状況が改善された際には、再び魅力的な年末年始の旅行先となる可能性があります。
まとめ:どの旅行先がオススメかは、どんな旅行をしたいか次第
年末年始の海外旅行先を選ぶ際は、単に人気のある場所を選ぶのではなく、自分の旅行スタイルや目的に合った場所を慎重に選ぶことが重要です。華やかなイベントを楽しみたいのか、それとも静かにリラックスしたいのか。予算や混雑度、現地の文化など、様々な要素を考慮に入れて決定しましょう。
ロンドンやドバイ、上海など、普段は魅力的な観光地でも、年末年始には必ずしもベストな選択肢とは限りません。一方で、香港やシンガポールのように気軽に華やかなイベントを楽しめる場所もあれば、モロッコやチュニジアのように静かに文化や自然を楽しめる場所もあります。
最終的に、どこがおすすめかは、どんな旅行をしたいかによって変わってきます。この記事で紹介した情報を参考に、あなただけの特別な年末年始の旅行プランを立ててみてはいかがでしょうか。