メディナ随一のおしゃれストリート「Quba Front」を夜散歩！サウジアラビア人流のチルアウト体験レポート - 定番ツアーはもう飽きた？ローカル旅行情報発信サイト「コスパトラベル」

聖地メディナの夜の街って想像できますか？今回は地元の人に人気のナイトスポット「Quba Front」をレポートします。サウジアラビアの人々の本当の一日は、実は日が落ちてから始まります。

サウジアラビアの生活リズム～なぜ夜に動き出すのか～

以前アルウラの記事でも触れましたが、サウジアラビアでは夏の間は皆昼夜逆転生活を送ります。

サウジアラビアの夏、日中の気温は優に45度を超える。時には50度近くまで上がることも珍しくない。そんな灼熱の国で、人々は賢明な生活リズムを確立してきました。日中は室内で過ごし、太陽が傾き始める夕方から、街は徐々に活気づいていきます。

特に一日5回の礼拝のうち、アスル（午後）の礼拝が終わる頃から、街は急速に息を吹き返します。クーラーの効いた建物の中で長い午後を過ごした人々が、夜の涼しい空気を求めて外に繰り出してきます。

Quba Front：メディナの新しい顔

「Quba Front」は、預言者のモスクからクバー・モスク「Quba Mosque」までを結ぶ、約2キロメートルのストリート。最近になって整備された比較的新しい通りですが、今やメディナの人々の憩いの場として欠かせない存在となっています。

いざ、夜の散歩へ

この日も、アスルの礼拝を終えた人々が預言者のモスクから続々と出てきます。白やベージュのトーブ（民族衣装）を着た男性たち、黒のアバーヤをまとった女性たち。私も、その人の流れに身を任せてQuba Frontへと向かいました。

お馴染みのにょろにょろフォントではないものの、これもれっきとしたアラビア語（Kufic）

通りの入り口で目に飛び込んでくるのが、巨大な石碑。「アーヤトゥルクルシーの碑」と呼ばれるこのモニュメントは、クーフィー体という幾何学的なフォントのアラビア語で装飾されています。夜間照明に照らされた神秘的な文字の数々は、まるでアラビアンナイトの世界へ誘うゲートのよう。観光客の間でも、人気の撮影スポットとなっています。

庶民的な賑わいの魅力

クバー・モスク方面へ歩を進めると、通りは賑やかな商店街の様相を見せ始めます。ここで見かけるのは庶民的な店ばかり。高級ブランドショップが並ぶわけではありません。それでも、あるいはそれだからこそ、地元の人々の自然な暮らしぶりが垣間見える魅力的な場所となっています。

礼拝を終えたサウジアラビアの紳士淑女たちが、ゆっくりとお店を覗き込んでいきます。若い女性たちはスカーフや服飾雑貨を物色し、家族連れは子供服や玩具のお店の前で足を止めます。

ただし、のんびりと道の真ん中を歩いていると、時折ヒヤリとする場面も。観光ツアー用の車が「どけどけ！」とばかりに通りを駆け抜けていきます。地元の人々は慣れた様子で車をやり過ごしていきますが、観光客の私にとってはちょっとしたスリル満点の体験でした。

思わぬ出会い：イエメン料理の誘惑

歩き疲れて入った店が、偶然にもイエメン料理のレストラン。注文したファフサ（Fahsa）は、想像を超える熱さで運ばれてきました。羊肉ベースのシチューのような料理ですが、どこか苦みのある独特の風味が特徴的。最初は戸惑いましたが、食べているうちに不思議と箸が進む美味しさでした（もっとも、サウジアラビアでは箸は使いませんが、、）

レストランのオーナーによれば、このエリアには様々な国からの出稼ぎ労働者が多いため、アラビア半島各国の料理を楽しめるそうです。イエメンは現在行きたくても行けない国なので、こんなところで本格イエメン料理に出会えたのは感激。メディナならではの多文化な食の環境も、この通りの魅力の一つといえるでしょう。

サウジアラビア流チルアウトの極意

預言者のモスク方面へ戻る途中、Quba Squareに広がる芝生広場に思わず足を止めました。そこかしこに腰を下ろしたり寝転んだりする人々の姿。3人組、5人組と、思い思いのグループで談笑する若者たち。家族で夜のピクニックを楽しむ人々。スマートフォンを見ながらくつろぐ人。実に様々な過ごし方が見られます。