かつての台湾では、リーズナブルなタクシーが観光客の強い味方でしたが、近年の物価上昇により頻繁な利用は難しくなっています。そんな中で再注目を集めているのが、公共シェアサイクル「YouBike（UBike）」です。実は台湾は世界的な自転車メーカーGiantを擁する自転車先進国。日本でシェアサイクルが普及する遥か以前から、台北市内ではレンタルサイクルサービスを展開していました。
本記事では、そんなYouBikeの使い方や注意点、実際に利用した感想を綴っていきます。
YouBike 2.0とは
2020年、YouBikeはそれまでのオレンジと黄色の車体から、白と黄色の「YouBike 2.0」へと刷新されました。Giant社製造による新型車両は、システム面でも大きく進化。興味深いのは、1.0時代には採用していた空気不要の硬化ゴムタイヤ（Giantテクノロジーの粋を集めた画期的な仕様でしたが、振動がダイレクトに伝わり不評だった模様）から、乗り心地の良い通常の空気入りタイヤへと変更されました。
また2.0では、電動自転車の導入や返却台数制限機能など、運用面での改善も実施。これは特定のドックに返却自転車が集中して道を塞ぐなどの課題への対応策です。
利用可能エリア
台北市を中心に、新北市、桃園市など主要都市で展開されており、全土で5,000以上のステーションが設置されています。特に台北市には1,300以上、台中市には1,300以上、高雄市には1,200以上のステーションがあり、都市部での移動に便利です。ただし、基隆、宜蘭、花蓮、台東にはまだサービスがないため、東部での利用は難しいでしょう（代わりに東部の一部エリアでは、独自にレンタルサイクルが提供されています）。
料金システム
基本料金はとてもリーズナブルで、MRTやバスと比べても経済的です。台北市など主要都市では、最初の4時間は30分あたり10台湾ドル（約50円）で利用可能。4時間を超えると料金は段階的に上がり、4-8時間は30分ごとに20台湾ドル、8時間超は30分ごとに40台湾ドルとなります。
利用登録の方法
月額利用と単発利用の大きく2つの方法がありますが、観光客向けなのは単発のシングルレンタル。メールアドレスとクレジットカードを使用して利用可能です。
ちなみに、利用にあたり3,000台湾ドルの保証金が一時的に確保されますが、返却時に返金されるのでご安心を。
自転車の機能と特徴
YouBikeで使用する自転車は、全て天下のGiant製。漕ぎやすさはもちろんのこと、坂道・平地に応じて3段階のギア切り替えが行えるので、比較的コンパクトなタイヤ・車体の割には意外とすいすい進みます。ただし、日本国内のドコモバイクシェアとは異なり、まだまだ電動アシスト未搭載の車体が多いので、ある程度体力は必要になります。
ちなみに夜間は自動で前後のLEDライトが点灯するので、安全面でも安心できます。
実際の利用体験レポート：迪化街から台北駅まで
さて、今回実際に迪化街から台北駅まで、新しくなったYouBikeで移動してみました。レンタルにあたり、事前にアプリで周辺ポートの自転車空き状況を確認。利用可能自転車が潤沢そうなポートに向かいました。
流石は自転車先進国、自転車専用道が整備されている区間も多く、基本的には快適な走行が可能です。ただし、日本と異なり右側通行が基本なので要注意。また、都心に近づくにつれて専用道が減少し、車やスクーターが行き交う車道を並走することになり、少し緊張する場面もありました
それでも、公共交通機関を利用する場合と比べて、かなり早く目的地に到着できました。特に地下鉄の乗り換えが面倒な区間や駅間の距離が離れているエリアでは、YouBikeの機動力が大いに発揮されます。。タイヤも空気タイプになったことで尻が痛くなることなく、コロナ前に利用したときよりも格段にストレスフリーになった印象。
まとめ
YouBikeは、単なる移動手段以上の存在として台湾の都市交通に溶け込んでいます。Giant社の技術力と、自転車文化が根付いた台湾ならではの取り組みが、より良いサービスへと進化させてきました。
物価上昇でタクシー利用が難しくなった今、観光客にとっては経済的な移動手段として、また地元の人々にとっては日常の足として、環境にもやさしい交通手段として、今後もさらなる発展が期待されます。台湾旅行では、ぜひYouBikeを活用して、街の新たな魅力を発見してみてください。
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