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【スパリ】モルディブのローカル噛みタバコを食べてみた!味や効能、危険性を徹底食レポート【イスラム文化圏の嗜好品】

碧い海に浮かぶ楽園・モルディブ。このイスラム教国には、あまり知られていない伝統的な嗜好品がある。それが「スパリ」だ。ドライビンロウ、あるいは「Areca Nut」とも呼ばれるこの不思議な食べ物との出会いは、ローカルアイランドの小さなカフェで、思いがけず訪れた。

スパリとは?:イスラム文化圏に根付く伝統的な嗜好品

このトリュフのような、ナッツのような見た目をしたものがスパリだ。

スパリは、アジアで広く親しまれている檳榔(ビンロウ)の実を乾燥させ、薄くスライスしたもの。モルディブでは食後の歯磨きガムのような感覚で日常的に消費されている。台湾檳榔として知られるナマの状態の檳榔と比べると効果は穏やかで、イスラム教徒が嗜む合法的な興奮剤として位置づけられている。

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偶然の出会い

夜な夜なオープンするコーヒーショップ。イスラム教徒の多いモルディブでは、カフェはバーの代わりの社交場として機能する。

私がスパリと出会ったのは、South Ari Atollの島、Dhidhdhooにある小さなコーヒーショップでのこと。アルコールを提供するようなバーのないこの島で、夜のカフェタイムを楽しんでいると、突然地元のおじさんが話しかけてきた。島で働いているという彼は、私との会話を楽しんでくれたようで、コーヒーをおごってくれることに。

そして、コーヒーと共に運ばれてきたのが、見慣れない模様の入った謎の実だった。ナッツのようでもあり、でもどこか違う。おじさんに聞くと、これはSupariという噛みタバコの一種だ、と教えてくれた。どうやって服用すればよいのか悩んでいたところ、「よく噛みながら飲み込むといいよ」と、優しく使い方を示してくれた。

実食体験:意外な味わいとその効果

このスパリ、最初に口に入れた瞬間、想像を超える苦みが広がった。これは本当に食べ物なのだろうか?と疑いたくなるほどの苦さだ。私の反応を見たおじさんは少し嬉しそうに微笑み、「苦い場合は、この葉っぱと一緒に食べるといいよ」とアドバイスをくれた。

苦い場合は葉っぱと一緒に服用しよう

言われた通り、葉っぱと一緒に食べてみると、確かに苦みがまろやかになる。これも長年の知恵なのだろう。徐々に口の中に広がる独特の風味は、確かに何かを感じさせる不思議なものだった。

効果の実態:現代人には物足りない?

実はスパリには、軽い覚醒作用があるとされている。しかし、檳榔は加工をすると効果が急激に落ちるらしく、実際に乾燥・スライス加工されたスパリは、その効果が大幅に抑えられているのそう。私自身、いくつか試してみたが、特に目立った効果は感じられなかった。

見よう見まねで食べ進めてみたが、特に興奮作用は得られず。

一方で、おじさんはスパリを楽しみながら、どんどん上機嫌になっていった。イスラム教徒として飲酒をしない人々にとっては、このわずかな興奮作用でも十分な癒しになるのかもしれない。

入手方法:意外と身近な存在

マレ市内のスーパーマーケットにて、沢山のスパリが売られている

スパリは、モルディブの街中で気軽に手に入る。首都マレのスーパーマーケットには様々な種類が並び、選択の幅も広い。

駄菓子のようなサイズ感のスパリ

私は後日、Dhidhdhoo島内の商店で駄菓子のような小包装のスパリを見つけ、購入してみた。ビーチに座って食べてみたものの、やはり特別な効果は感じられなかった。現代人の味覚や感覚には、少し物足りない存在なのかもしれない。

やはり少量では効かなかった。真の効果を得るためには、暫くの禁酒・禁コーヒー生活が必須だろう。

現代モルディブにおけるスパリの位置づけ

スパリは、モルディブの伝統的な文化の一つとして、今でも日常的に消費されている。しかし、その効果は生の檳榔と比べると穏やかで、むしろ食後の口直しや社交の道具として愛用されているようだ。

イスラム教国であるモルディブでは、アルコールのような強い嗜好品が制限されている。そんな中で、スパリは適度な刺激を提供する安全な選択肢として、特に年配の男性たちに親しまれているのだ。一方で、ビンロウの実についてはWHOが警告をしている通り、発がん性物質を含むことが近年の研究で分かってきている。あくまで文化体験として少量試す分にはそこまで大きな影響はないと思われるが、習慣的に服用した場合健康への影響は避けられなくなってしまうだろう。

まとめ

スパリとの出会いは、単なる食べ物との出会い以上のものだった。見知らぬ外国人に優しく接してくれたおじさんの温かさ、イスラム文化圏ならではの嗜好品の在り方、そして何より、こうした経験ができること自体が旅の醍醐味なのだと感じた。

確かに、その効果は現代人には物足りないかもしれない。しかし、異文化との偶然の出会いが生んだ心温まる交流は、私の中で忘れられない思い出として刻まれることとなった。

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