旅行ブロガーとして活動していると、撮影データは増える一方です。私の場合、スマートフォン、一眼レフに加えて、GoProやDJIアクションカメラ、さらにはドローンまで持ち歩いています。その結果、1回の旅行で200GB以上のデータが溜まることも珍しくありません。例えば、ドローンでの4K空撮だけでも1回のフライトで4GB程度のデータが生成されます。このような状況は、旅行好きな方はもちろん、日常的に写真・動画を撮影する方にとっても身近な悩みではないでしょうか。
今回は、増え続けるデジタルデータの保管方法について、実際の経験を交えながら詳しく解説していきます。
SDカード・外付けハードディスクによる保管
データ保管の入門として最も手軽なのが、SDカードや外付けハードディスクです。初期費用は1TB程度のハードディスクであれば1万円以下で購入でき、その後の維持費も基本的にかかりません。操作も簡単で、カメラからSDカードを抜いてパソコンに差し込むだけでデータを転送できます。
しかし、大量のデータを扱う場合はすぐに容量が不足してきます。私の場合、旅行の度にデータが増え、気がつけば外付けHDDが4台も必要になってしまいました。さらに、物理的な保管場所の確保が大変なうえ、特に長期保存を想定していない一般的なSDなどでは、機器の経年劣化や落下などによるデータ消失のリスクも無視できません。また、旅先でのデータ確認ができないため、撮影データの整理や編集作業を旅行中に進められないのも大きな課題でした。
クラウドストレージの活用
iCloudやGoogleDriveに代表されるクラウドストレージは、どこからでもアクセスできる便利なツールです。初期費用はかからず、スマートフォンやタブレットからすぐにデータを確認できるのは大きな利点です。また、サービス提供会社がデータを管理してくれるため、自分でバックアップを取る必要がなく、ハードディスクの故障などによるデータ消失の心配もありません。
ただし、4K動画などの大容量データをアップロードする際は時間がかかり過ぎる問題があります。特に海外では通信環境が不安定なことも多く、全データをクラウドに保存するのは現実的ではありません。仮に海外のホテルで夜間にアップロードを試みても、朝までに終わらないことも珍しくありません。また、データ量が増えるにつれて月額料金も上がっていきます。
例えば、2TBのストレージを契約すると年間で2万円以上の費用がかかることもあり、数TBものデータを保管しようとすると維持費が相当な金額になってしまいます。さらに、サービスを変更する際のデータ移行には、膨大な通信量と時間が必要になります。
NASによる本格的なデータ管理
NAS(ネットワークストレージ)は、ネットワーク経由でどこからでもアクセス可能なストレージシステムです。一般的なハードディスクとの決定的な違いは、インターネットを通じて外出先からもアクセスできる点です。また、RAID機能によってデータを複数のディスクに同時に書き込むことで、ハードディスクが1台故障しても大切なデータを失わずに済みます。
ただし、一般的なNASは専門知識が必要で、価格も高額です。NAS本体とハードディスクが別売りの場合が多く、4TB程度の容量を確保しようとすると、合計で10万円以上の初期投資が必要になることも。セットアップにもある程度の専門知識が求められ、ネットワークやRAIDの設定を間違えると、せっかく保存したデータにアクセスできなくなる可能性もあります。そのため、個人での導入はハードルが高く、主にプロフェッショナルやオフィス向けのソリューションとして位置づけられています。
LinkStation:手軽なNASという選択肢
そんな中で注目したいのがBuffalo社のLinkStation(リンクステーション)です。どんな機器かというと、これまでに紹介した3つの選択肢の良いとこ取りをしたようなシステム。外部アクセスが可能なNASの利点を残しながら、驚くほど使いやすく設計されています。価格も一般的なNASと比べるとかなりリーズナブルで、4TBモデルでも2万円前後で購入できます。専門知識がなくても、説明書に従うだけで簡単に設定でき、データの二重化やリモートアクセスの設定も難なく完了します。
現在私は、撮影直後のデータをSDカードとクラウドの両方に一時保存し、帰宅後にLinkStationに移すという方法を取っています。クラウドは容量の少ない作業用データの保存と共有に使い、大容量の原本データはLinkStationで管理しています。この組み合わせにより、旅行中でもスマートフォンから手軽にデータを確認でき、かつ帰宅後は大容量データを安全に保管できます。
特に気に入っているのは、自宅のLinkStationに保存した写真や動画を、外出先のカフェなどからでも簡単に取り出せる点です。クライアントへの納品データの確認や、過去の撮影データの参照なども、場所を選ばず行えるようになりました。
まとめ
写真や動画をたくさん撮る方にとって、データ保管の問題は避けて通れません。必要な容量、アクセスのしやすさ、コスト、データの安全性など、考慮すべき点は多岐にわたります。単純に大容量なだけでなく、データの二重化やリモートアクセスなど、用途に応じた機能の選択も重要です。
私の場合は、LinkStationを中心としたハイブリッドな運用が最適解となりましたが、撮影するデータの量や種類、使用頻度によって最適な方法は変わってくるでしょう。大切なのは、自分の撮影スタイルや予算に合わせて、無理のない運用方法を選ぶことです。データ管理は継続的な作業となるため、長期的な視点での選択をお勧めします。