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【客家名物】福建省のローカル地酒「糯米酒」を飲んでみよう!味や感想、見つけ方を徹底レポート

中国・福建省の山間部、特に客家の人々が暮らす土楼エリアに足を踏み入れると必ず出会うのが「糯米酒(ヌオミーチュウ)」だ。厦門などの都市部ではほとんど見かけることのない、まさに客家の人々独自の伝統的な地酒である。今回は、田螺坑土楼群での宿泊時に出会った、この伝統的な地酒の魅力や味わい、そして見つけ方についてお伝えしたい。

客家の暮らしに息づく伝統酒

南靖土楼や永定土楼を旅していると、茶葉とともに白い酒粕が干され、熟成されている様を度々目にすることができる。

糯米酒は、その名の通り糯米(もちごめ)を原料とした醸造酒。琥珀色がかった美しいアンバーカラーの液体で、客家の人々にとって、単なる嗜好品以上の意味を持つ。彼らが各地を移動しながら生活を営んできた歴史の中で、糯米酒造りの技術も大切な文化として受け継がれてきた。都市化が進む現代においても、この伝統は土楼に暮らす人々の間で大切に守られている。

土楼で受け継がれる製法

熟成月数の異なるバケツごとに管理されている糯米酒。こういった小規模な酒蔵は客家人の家族が営んでいるケースが多い。

特に福建省南靖地区の土楼では、今でも各家庭で糯米酒を造っているところも多い。土楼の1階部分には必ずと言っていいほど糯米酒店があり、大きなバケツで発酵中の糯米の様子を見ることができる。

おばちゃんがすすめてくれた一杯

ボトル自体は飲料水のものだが、その中には発行の進んだ濃い琥珀色の糯米酒が。

私が初めて本格的な糯米酒と出会ったのは、田螺坑土楼群の文昌楼に宿泊した夜のこと。夕食後、宿の女主人が「これを飲んでみなさい」と、にこやかに勧めてくれた。

グラスに注がれた琥珀色の液体は、見た目の優しさとは裏腹に、かなりの度数を誇る。口に含むと、強い甘みと、紹興酒を思わせるような独特の香りが広がる。そして何より驚いたのは、おそらく25度はあるだろうというアルコールの強さ。甘いので飲みやすいが、その分アルコールが回るスピードも速い。気づけば頬が赤くなり、心地よい酔いが訪れていた。

土楼巡りで見つける糯米酒

同じく田螺坑土楼群の中、和昌楼の中には古き良き見た目の糯米酒屋さんが。そして目の前には無造作に置かれた熟成中の糯米酒バケツが。

糯米酒は、福建省の土楼エリアに限定的に存在する特別な地酒だ。都市部のレストランや酒販店ではほとんど見かけることはないが、土楼の1階部分にある商店や、専門の糯米酒店では気軽に購入できる。値段は地域や店によって異なるが、一般的にはとてもリーズナブルだ。

ただし注意したいのは、これが工場生産の規格品ではなく、各家庭や小規模な酒造で作られる地酒だということ。味や度数は造り手によって微妙に異なる。また、発酵途中の新鮮な糯米酒は特に甘みが強く、時間が経つにつれて味わいが変化していくのも特徴だ。

言葉の壁を越える糯米酒の力

福建省と言えばお茶が有名だが、茶を囲んだコミュニケーションと同じく、糯米酒を介した交流はここならではの文化体験である。

実は糯米酒には、もう一つ重要な役割がある。それは、人々の交流を深める媒介としての存在だ。土楼では、来客があれば必ずと言っていいほど糯米酒でもてなす。私が宿泊した際も、女主人が酒を勧めてくれたことで、言葉の壁を超えた温かな交流が生まれた。

まとめ:旅の思い出を彩る一杯として

福建省の糯米酒は、単なるお酒以上の魅力を持っている。それは、客家の人々が受け継いできた伝統であり、土地の誇りであり、人々の心を繋ぐ架け橋でもある。

琥珀色の液体に宿る甘みと香りの独特な調和、そして高めのアルコール度数は、確かに好み分かれるかもしれない。しかし、土楼での宿泊時に地元の人々と交わす一杯の糯米酒は、きっと忘れられない思い出となるはずだ。福建省の土楼を訪れる機会があれば、ぜひこの伝統的な地酒を味わってみてほしい。

ただし、その度数の高さには要注意。甘くて飲みやすいからこそ、ついつい飲み過ぎてしまう可能性もある。適量を心がけ、土地の味を楽しむことをお勧めしたい。

土楼でつくられた糯米酒や白米酒を飲み比べできたのは、この旅でも特に印象深い思い出となった。福建土楼を訪れる際には、是非とも一杯飲んでみていただきたい。

土楼での食事や交流については、過去に別記事でルポをまとめさせていただいた。是非そちらも合わせて呼んでみていただきたい。

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