昨日(2025年1月8日)より、イギリスへの全ての渡航者に対して、新たな電子渡航認証(ETA: Electronic Travel Authorisation)の取得が義務付けられました。この制度は、他国の入国管理システムとは大きく異なる特徴を持っています。最も注目すべきは、イギリスの入国審査を受けない単純なトランジット(乗り継ぎ)であっても、ETAの事前取得が必須となる点です。
たとえば、ロンドン・ヒースロー空港での1時間程度の短時間トランジットであっても、イギリスの入国審査エリアに入らず、国際線トランジットエリア内での乗り継ぎのみの場合でも、例外なくETAが必要となります。この新しい要件を見落とすと、出発地の空港で搭乗を拒否されたり、イギリスでの入国拒否により出発国への強制送還、それに伴う高額な追加費用の発生など、深刻な事態に発展する可能性があります。本記事では、この重要な制度変更について詳しく解説していきます。
ETAの基本情報
ETAはイギリスへの渡航を許可する電子認証システムです。費用は10ポンド(約1,850円)で、有効期間は2年間です。この期間中は何度でもイギリスへの渡航が可能ですが、パスポートの更新時には新たな申請が必要となります。
申請から承認までは通常3営業日以内とされていますが、場合によってはより時間がかかることもあります。承認されたETAは電子的にパスポートとリンクされるため、別途書類を印刷して持参する必要はありません。
対象となる渡航者
この新制度では、以下の目的でイギリスを訪れる全ての渡航者がETAの取得を求められます:
- 観光、ビジネス、留学など、6ヶ月以内の短期滞在
- クリエイティブワーカービザ特例での3ヶ月以内の滞在
- 有償の活動許可での訪問
- イギリスの空港での乗り継ぎ(入国審査を受けない場合を含む)
ポイントは、入管手続きを通らないトランジット利用者も該当するということ。この点が、従来の各国アライバルビザとは勝手が大きく異なります。
ただし、イギリスのビザ所持者、イギリスでの居住・就労・就学許可所持者、イギリスまたはアイルランド市民、イギリス海外領土市民パスポート所持者は申請不要です。
申請方法
申請には、有効なパスポート、常時アクセス可能なメールアドレス、支払い手段(クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Pay)が必要です。申請はUK ETA公式アプリまたはオンラインフォームから行うことができます。
申請時には顔写真とパスポートの写真の提出が求められます。アプリを使用する場合は、これらの写真をアプリ内で直接撮影することができます。オンラインフォームの場合は、既存の写真をアップロードする形となります。
トランジット旅客への重要な注意点
トランジット旅客にとって特に重要なのは、イギリスの入国審査を受けない場合でも、必ずETAの取得が必要という点です。この要件は、45分や1時間といった短時間の乗り継ぎであっても例外なく適用されます。
航空会社は、有効なETAを持っていない乗客の搭乗を拒否する義務があります。また、ETAの取得漏れによる損害(追加の航空券代、ホテル代など)は、通常の旅行保険でカバーされない可能性が高いため、航空券予約後すぐにETAの申請を行うことが強く推奨されます。
まとめ
本日から導入されたETA制度は、イギリスの入国管理を大きく変えるものです。特に、トランジット旅客にも適用される点は、従来の各国の入国管理システムとは異なる特徴となっています。今後イギリスへの渡航やイギリスを経由する旅行を計画している方は、この新制度を十分に理解し、必要な準備を怠らないようにすることが重要です。
申請手続き自体は比較的シンプルですが、見落としやすい要件であるため、航空券予約時点での確認と迅速な申請対応が必要不可欠です。特にトランジット旅客は、この新要件を渡航準備の最優先事項として認識し、トラブルを回避するための適切な対応を取ることが推奨されます。
不明な点がある場合は、イギリス政府の公式情報を確認し、最新の情報に基づいて準備を進めることが賢明です。この新制度への適切な対応が、スムーズな渡航の鍵となります。
※本記事は2025年1月8日時点での在英国日本大使館およびUK Visas and Immigrationの公式情報を元に作成しました。閲覧時点によっては、最新の情報と異なる場合がある事、ご了承下さい。