キラキラと輝く超高層ビル群、豪華絢爛なショッピングモール、そして砂漠の中に作り上げられた人工のオアシス。そんな観光立国のイメージが強いドバイですが、実は意外な盲点があります。それが「ドバイメトロ」の驚異的な混雑度です。
「世界一豪華な地下鉄」とも称されるドバイメトロですが、ピーク時間帯の混雑ぶりは、混雑路線として知られる東京の地下鉄をも凌ぐほど。旅行者として訪れる場合、この事実を知らずに計画を立てると、思わぬトラブルに見舞われかねません。今回は、ドバイメトロの混雑事情と、それを上手に回避するための旅の心得をご紹介します。
ドバイメトロとは
2009年に開業したドバイメトロは、中東地域初の都市鉄道システムとして注目を集めました。現在は赤線と緑線の2路線が運行しており、ドバイの主要エリアを効率的に結んでいます。全線無人運転で、車両は冷房完備、駅には自動改札を備え、一見すると非常に近代的で快適な交通機関です。
赤線は空港からジュメイラ・パーム方面へと伸び、主要ホテルやモール、ビジネス街を結ぶ大動脈。一方、緑線はドバイの古い市街地とクリーク周辺を中心に運行しています。観光客にとっては、タクシーやバスよりも安価で、主要観光地へのアクセスも良好なため、非常に便利な移動手段となっています。
しかし、その便利さゆえに、地元住民の通勤・通学に欠かせない交通手段ともなっており、ここに大きな問題が生じているのです。
ピークタイムは驚異の混雑度
それがピークタイムの混雑。統計的な混雑率データは公表されていませんが、筆者の体感では、そんじょそこらの東京の電車以上の混雑感。東京最恐路線として知られる朝の通勤時間帯の東京メトロ東西線や、JR総武線レベルの混雑度にも達することがあります。特に、ビジネス街であるビジネスベイ駅やドバイモール/ブルジュハリファ駅など主要駅周辺では、平日の朝7時から9時、夕方の17時から19時の時間帯は文字通り身動きが取れないほどの混雑となります。
加えて注目すべき点は、混雑時の乗車マナーの違いです。東京の電車では、「押せば入る」精神で、駅員が乗客を押し込むシーンもしばしば見られますが、ドバイメトロでは無理に乗り込む文化は日本ほど強くなく、満員の場合は次の電車を待つ傾向があります。これは一見すると紳士的に思えますが、旅行者にとっては「次の電車も、その次の電車も満員で乗れない」というリスクを意味します。ピーク時間帯には、3〜4本の電車を見送ることも珍しくないのです。
旅行者にとっての災難
特に大きな荷物を持った旅行者にとって、この混雑は深刻な問題となります。大型のバックパックやスーツケースを持っていると、そもそも車内に入るスペースがなく、乗車を断念せざるを得ないこともあります。
筆者の知人も、空港に向かう予定で、余裕を持って出発したつもりでしたが、連続して電車に乗れず、結果的に空港につくや否やダッシュでチェックイン手続きをする羽目になったという苦い経験をしています。国際空港に直結している路線だけに、この混雑は旅行者にとって悪夢となり得るのです。
また、観光地として人気の高いドバイモール駅やブルジュハリファ駅では、観光客と通勤客が入り混じることで、さらなる混雑が生まれます。特に週末の夜には、ショッピングやレストランを楽しんだ後の帰路で混雑に巻き込まれるケースも少なくありません。
賢い利用のしかた
このような混雑を回避し、ドバイメトロを快適に利用するためのポイントをご紹介します。
1. ピーク時間帯を避ける
最も効果的なのは、単純にピーク時間帯を避けることです。平日の朝7時〜9時、夕方17時〜19時を避ければ、比較的快適に利用できることが多いです。特に10時〜15時の間は、通勤・通学客が少なく、観光客にとって最適な時間帯と言えるでしょう。
2. ピーク区間を把握する
全路線が混雑するわけではなく、特定の区間に混雑が集中します。赤線ではドバイモール/ブルジュハリファ駅〜ビジネスベイ駅間、緑線ではアル・ファヒディ駅〜ユニオン駅間が特に混雑しやすい区間です。これらの区間を通過する必要がある場合は、特に時間帯に注意しましょう。
3. 旅程の工夫
観光計画を立てる際は、ピーク時間帯にピーク区間を通らないよう工夫することが大切です。例えば、朝はホテル周辺の観光から始め、10時以降にメトロで移動するといった計画が効果的です。また、夕方のラッシュ時間帯前に観光地を出発するか、逆にラッシュが落ち着く19時以降の移動を検討しましょう。
4. ゴールドクラスの利用
ドバイメトロには、通常の「シルバークラス」の他に、割増料金を支払うことで利用できる「ゴールドクラス」があります。各車両の前方部分がゴールドクラスとなっており、料金は通常の2倍ですが、混雑時でも比較的空いていることが多いです。特に重要な予定がある場合や、大きな荷物がある場合は、ゴールドクラスの利用を検討する価値があります。
5. 代替手段の確保
どうしても混雑が避けられない場合は、代替交通手段を考慮することも大切です。ドバイはタクシーが比較的安価で、配車アプリも充実しています。重要な予定(特に空港への移動など)がある場合は、タクシーの利用を検討したり、あらかじめホテルでの配車予約をしておくと安心です。
まとめ
ドバイメトロは、その近代的な設備と利便性から、観光客にとって魅力的な交通手段です。しかし、その混雑ぶりは東京の通勤ラッシュにも引けを取らないほど。特に大きな荷物を持った旅行者にとっては、予想外のトラブルとなりかねません。
未来都市ドバイの魅力を存分に楽しむためにも、この「隠れた混雑事情」を理解し、スマートな旅行計画を立てましょう。そうすれば、キラキラと輝くドバイの街を、ストレスなく効率的に巡ることができるはずです。
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