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「頭を覆わないと逮捕」はウソ?2025年イランの最新ヒジャブ・カルチャー実態レポート

「イランでヒジャブ(頭を覆うスカーフ)を着けないと逮捕される」「ヒジャブ着用義務に違反すると厳しい処罰を受ける」—このようなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。確かにイランの航空機内では「イランの領空に入りました。女性の方はヒジャブの着用をお願いします」というアナウンスが流れることで有名ですし、法律上も女性のヒジャブ着用は義務付けられています。

しかし、2025年の現在、イランの街を歩けば、メディアから伝わるイメージとはかなり異なる光景が広がっています。特に2022年のマフサ・アミニ事件(通称、ヒジャブ革命)をきっかけとした「ヒジャブ革命」以降、イランの日常風景と法律の間には大きな乖離が生まれています。実際のところ、「ヒジャブを着けないと逮捕」は本当なのでしょうか?現地での観察と地元の声を基に、イランのヒジャブ・カルチャーの実態をレポートします。

ヒジャブ着用の実態:予想外の光景

思ったより自由な街の風景

イランでは確かに法律上、女性のヒジャブ着用は義務付けられていますが、実際の運用は地域や場所によって大きく異なります。特に首都テヘランや観光地イスファハンなど都市部では、ヒジャブを着用しない女性や、かなり緩やかな着用をしている女性を日常的に見かけるようになりました。

ヒジャブ革命以降、多くの若い女性たちが意識的にヒジャブを外したり、髪の大部分を見せたりする形での抵抗を続けています。驚くべきことに、以前なら道徳警察に即座に取り締まられていたこうした行為が、現在ではある程度黙認されるケースが増えています。イランの市民社会の抵抗と変化への意思が、少しずつ社会の実態を変えているのです。

ヒジャブなしでも逮捕されない」—地元の声

「逮捕されるのでは?」という不安に対して、あるシーラーズ在住の女性はこう語ります。

「革命以降、若い世代を中心に多くの女性がヒジャブをつけなくなりました。確かに違法と言えば違法なのかもしれませんが、こんなに増えたら、全員を取り締まって罰してたら大変なことになってしまいます(笑)。だから特に罰されることはないでしょうね」

この証言から見えてくるのは、法律と実態の間に生まれた大きな溝です。あくまで文言として法律が残っていても、実質的な運用はすでに変化しており、特に都市部では多くの女性が罰則を恐れずに自分のスタイルを選択しています。「ヒジャブを着けないと逮捕」は、少なくとも2025年の都市部においては、もはや現実とはかけ離れた認識なのです。

多様な対応策

都市部ではラフな頭をした女性も多い

イラン女性の中には、法律に対して様々な対応をしている人がいます:

  1. 完全にヒジャブを着用しない女性:特に若い世代を中心に、髪を完全に見せる女性が増えています。決して周囲から変な目で見られたり、怪訝な顔をされている様子はありません。

  2. 緩やかにヒジャブを着用する女性:スカーフを頭の後ろに下げ、髪の大部分を見せる着用方法が一般的です。ヒジャブをひとつのファッションアイテムとして使うのがこのスタイル。特にテヘランの北部の富裕層エリアでは、カラフルなスカーフを肩にかけるだけの非常に緩やかな着用も見られます。

  3. 代替手段を使う女性:法律の文言上はスカーフの着用を義務付けているため、ニット帽やベレー帽、パーカのフードなどで代用する女性も多く見られます。特に冬場は、このような代替手段がより自然に受け入れられています。

形式的に頭に何らかの布をかぶせるケースもあれば、頭髪を丸出しにしているケースなど様々。感覚的にはインドネシアくらいの緩さでしょうか。もっとも、イランでは世代によって大きな違いが見られます。高齢女性は伝統的な黒いチャドルを着用する傾向がありますが、若い世代ほど緩やかな着用や不着用を選ぶ傾向があります。この世代間の違いは、イラン社会における価値観の変化を反映しています。

旅行者のためのリアルガイド:柔軟と尊重のバランス

イランを訪れる外国人女性にも原則としてヒジャブ着用義務は適用されますが、前述の通り実際の対応は柔軟な面があります。

とは言え地元の方によると、旅行者としては基本的に何らかの形で頭を覆っておく方が無難だそうです。これは安全のためだけでなく、現地文化へのリスペクトを示すことにもつながります。というのも、イランの人々も見境なしに頭を丸出しにしているのではなく、あくまでTPOをわきまえた上で頭を出している様子。現地ならではのマナーや文化を知らない旅行者としては、基本的に頭は覆っておくのがベターでしょう。

旅行者向けのポイント:

  • 空港や公共機関などの公式な場所では比較的厳格ですが、一般の街中では緩やかです。
  • 観光客であることが明らかな場合、地元の人よりも寛容に扱われることが多いです。
  • 基本的には頭にスカーフをかける程度で問題ないことが多く、全身を覆う必要はありません。
  • カラフルなスカーフで構いませんが、髪の生え際から覆うことを意識すると安心です。

また、イランでは地域によって社会的保守性が異なります。テヘランイスファハンなどの観光地では比較的リベラルですが、クム(聖地)やマシュハドなどの宗教都市では保守的な服装が期待されるということも知っておきましょう。

まとめ:「ヒジャブを着けないと逮捕」の真実

ヒジャブを着けないと逮捕される」というイランの固定観念は、2025年の実態を正確に反映しているとは言えません。法律上はヒジャブ着用義務が依然として存在していますが、実際には法律と現実の間に大きなギャップが生まれています。

重要なのは、イランをネット上の情報だけをもとにステレオタイプで見るのではなく、その複雑な現実を理解することです。ヒジャブ問題一つとっても、単純に「厳格」か「自由」かで語れるものではなく、都市と地方、世代間、社会階層による違いなど、多様な実態があります。

イランは今、伝統と変化の狭間で大きな変革を遂げつつあります。西側メディアが伝える一面的なイメージを超えて、この複雑で魅力的な国の真の姿を理解するきっかけとなれば幸いです。

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