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意外と安い!水上バスで楽しむテムズ川クルージング観光【ロンドン・コスパ旅】

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ロンドン観光といえば、赤い二階建てバスやビッグベン、バッキンガム宮殿など、定番のスポットを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、この街を流れるテムズ川もまた、ロンドンの魅力を語る上で欠かせない存在です。今回は、地元の人々の通勤手段でありながら、観光客にとっても格好のアトラクションとなっている「River Bus(リバーバス)」こと、テムズ川水上バスについてご紹介します。

River Busとは?ロンドンの知られざる交通手段

River Busは、テムズ川を運航する公共交通機関です。ロンドン交通局(TfL)が運営する「Uber Boat by Thames Clippers」のサービスで、複数のルートがありますが、今回私が利用したのはRB1というルートです。テムズ川沿いの主要なスポットを結んでいます。

西はウェストミンスターから東はグリニッジやウールウィッチまで、ロンドンの中心部を貫くように運航しており、観光スポットとビジネス街を結ぶ重要な役割を担っています。観光客向けの専用クルーズ船とは異なり、あくまで公共交通機関として機能しているため、料金も比較的リーズナブル。それでいて、通常の観光クルーズに劣らない景色を楽しめるのが最大の魅力です。

実際の乗船体験:ウォータールーからカナリーワーフへ

私が利用したのは、ウォータールー桟橋(Waterloo Pier)から、近代的な金融街カナリーワーフまでの区間です。ウェストミンスター周辺で国会議事堂やビッグベンを見学した後、夜にカナリーワーフにあるBoisdale(ボイスデール)というレストランでライブを観る予定だったため、移動手段を調べていました。

地下鉄やバスでの移動も考えましたが、乗り換えが必要で少し面倒。そこで見つけたのがこのRiver Bus(RB1ルート)でした。乗り換えなしで直接カナリーワーフまで行けるうえ、観光も楽しめるとあって、一石二鳥と思い利用を決めました。

RB1の乗り場である、Waterloo Pier

料金は片道9.5ポンド。観光クルーズだと20~30ポンドはするので、半額以下で済みます。公共交通機関として運営されているからこそのコストパフォーマンスの良さが大きな魅力です。運行頻度は約20~30分間隔と、思ったよりも本数が多いのも便利でした。

支払いは、ロンドンの公共交通機関で一般的なオイスターカードまたはコンタクトレス決済に対応しています。オイスターカードを利用する場合は注意点があります。乗船前に乗り場のスタッフが残高確認をしてくれます。カード残高が不足していると乗船できないので、事前に十分なチャージがあるか確認しておくことをおすすめします。コンタクトレス決済なら、クレジットカードや携帯のタッチ決済で簡単に支払いができるのでスムーズです。

夕暮れのテムズ川乗船レポート

桟橋の対岸にはビッグベンが見える

私が乗船したのは夕暮れ時間帯でしたが、西日に照らされるロンドンの歴史的建造物、そして徐々に灯りがともり始める街の風景は格別でした。

ウォータールー桟橋を出発すると、振り返ればロンドン・アイとウェストミンスターの景色が見えます。サウスバンクの文化施設群を通過し、ミレニアムブリッジとセント・ポール大聖堂、さらに進むとシェイクスピア・グローブ座やテート・モダンも見えてきます。

船内、窓側の席を確保

水上から眺める夕暮れのロンドンは、陸からの景色とはまったく異なる魅力があります。特に太陽が沈みかける頃の柔らかな光は、歴史的建造物を優しく照らし、ロンドンの街並みを絵画のように美しく彩ります。観光客でにぎわうテムズ川沿いの遊歩道も、川から見るとまた違った風景に見えるのが不思議でした。

間近に望むThe Shard

歴史あるロンドン塔とタワーブリッジを通過すると、風景は一変。近代的な高層ビル群が立ち並ぶドックランズエリアへと入っていきます。川面に映る高層ビルの光が水面できらめく様子は、都会的な美しさがありました。

約45分ほどで、Canary Wharfに到着

約45分のクルージングで、ロンドンの歴史的側面と現代的側面の両方を一度に体験できるのは、このルートならではの醍醐味です。

タワーブリッジくぐりのハイライト体験

特等席は、船尾のテラスエリア

クルージングのハイライトは、間違いなくタワーブリッジをくぐる瞬間でした。タワーに近づくにつれて船内の乗客も少なくなり始め、絶好のチャンスとばかりに外のテラス席へ移動することができました。風を直に感じながらの景色は格別です。

タワーブリッジを真下から見上げられるのは水上バスの醍醐味

船がタワーブリッジに近づくと、その圧倒的な存在感に息をのみます。夕暮れ時だったため、橋のゴシック様式の塔が夕日に照らされて黄金色に輝いていました。橋の下に入ると、突如として暗くなり、橋の構造物を間近で見上げる体験は、想像以上に迫力がありました。「ロンドン名物の一つに触れている」という実感がここで一気に湧いてきます。

橋をくぐり抜けると、再び開けた視界が現れ、今度は反対側から見るタワーブリッジとその向こうに広がるシティの高層ビル群のコントラストが絶景でした。特に印象的だったのは、夕日に照らされるザ・シャードの尖塔が、川面に映り込む様子。上空と水面の両方で輝くガラスの超高層ビルは、まるで未来都市のような光景を作り出していました。

水上から眺める夕焼けのロンドンは、陸地からでは決して見ることのできない特別な景色です。テムズ川の水面が夕日で黄金色に染まり、その上に浮かび上がるように並ぶ歴史的建造物と近代建築が織りなす風景は、このRiver Bus旅のもうひとつの贈り物でした。

船内の様子:観光船ではなく交通機関として

River Busの船は「キャット」と呼ばれる双胴船(カタマラン)設計を採用しており、安定性が高いのが特徴です。船内はシンプルで機能的。大きな窓からは景色がよく見え、外のデッキに出て風を感じながら観光することもできます。

船内にはカフェバーも設置されており、飲み物や軽食を購入できるので、長時間の乗船でも安心です。通勤利用の方々がコーヒーを片手に新聞を読んだり、観光客がドリンクを楽しみながら景色を眺めたりと、それぞれの過ごし方で船旅を楽しんでいました。

乗客は観光客だけでなく、スーツ姿のビジネスパーソンも多く、実際に通勤や移動手段として利用されていることを実感しました。公共交通機関として機能しているため、ロンドン市民の日常の足としても活躍しています。このように観光と実用が混在しているからこそ、観光バスや専用クルーズ船とは違った、本物のロンドンの一面を体験できるのも魅力です。

移動手段としては、地下鉄よりは移動に掛かる時間が少々長いものの、混雑する地下鉄やバスに比べて快適で、道路の渋滞を気にする必要もありません。特にピーク時には、道路交通が混雑する中でも、比較的スムーズに目的地へ到着できるのが魅力です。

まとめ:コスパ最高!観光と実用を兼ねた一石二鳥の体験

River Busは、単なる移動手段を超えたロンドン観光の隠れた魅力です。観光客向けクルーズよりもリーズナブルな料金で、ロンドンの象徴的な風景を川から眺めることができます。公共交通機関として運営されているからこそのコストパフォーマンスの良さは、予算を抑えながらも質の高い観光体験を求める旅行者にとって、まさに掘り出し物です。

特に、ウェストミンスターなどの観光地からカナリーワーフやグリニッジなどの少し離れたエリアへ移動する際には、乗り換えのストレスなく直接アクセスできる点も大きなメリットです。

次回ロンドンを訪れる機会があれば、ぜひRiver Busを利用して、陸路とは異なる視点からこの歴史ある都市を体験してみてください。テムズ川から見るロンドンの姿は、きっと新たな発見と感動をもたらしてくれることでしょう。