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サウジアラビアのホテルは何故どこも満室扱いなのか:見つからない空室と予約成功のコツ

サウジアラビアでの宿泊先を検討するにあたり「Google Mapでホテルを検索しても空室情報がほとんど出てこない」「Booking.comやExpediaでも予約できるホテルが非常に限られている」—こんな経験をした方は少なくないはず。サウジアラビアのジェッダやメディナなどの都市でホテルを予約しようとすると、多くの旅行者が遭遇するこの不思議な現象。これは一体なぜなのでしょうか?そして、実際にホテルを予約するにはどうすればよいのでしょうか?本記事では、その秘密に迫っていきます。

なぜ国際的な予約サイトで空室が見つからないのか

例えばGoogle Mapでホテル検索をしても、予約不可(ー)マークばかりが表示される

サウジアラビアは長い間、観光目的の外国人旅行者に対して閉ざされた国でした。一般観光ビザの発給が開始されたのはわずか2019年のことであり、実質的に観光産業が本格的に始動したのはごく最近のことです。「Vision 2030」と呼ばれる国家戦略の一環として、石油依存から脱却し多様な産業を育成する方針の中で、観光業が重要な柱として位置づけられたのです。このような歴史的背景から、サウジアラビアの観光インフラ、特にホテル予約システムは国際標準からまだ遠い段階にあるというのが実情です。

では、具体的にどのような理由で予約が困難なのか、より理由を細分化してみましょう。

1. オンライン予約文化の違い

サウジアラビアは近年までインバウンド観光に積極的ではなく、ホテル業界も国際的な予約システムとの連携が十分に進んでいません。特に地元経営のホテルでは、オンライン予約よりも電話や直接交渉による予約が一般的です。国際的な予約プラットフォームへの参加は、多くのホテル経営者にとって優先順位が低いのが現状です。

ジェッダやリヤドなど大都市の高級ホテルでさえ、すべての部屋を国際予約サイトに公開しているわけではなく、一部の部屋は別のチャネルのために確保されていることがあります。

2. 政府規制と許認可の複雑さ

サウジアラビアのホテルは様々な政府規制の下で運営されており、特に外国人観光客の受け入れには特別な許認可が必要です。これらの許認可プロセスは複雑で時間がかかるため、すべてのホテルがこれらの許認可を取得しているわけではありません。

さらに、一般観光客が入域できないメッカはもちろん、近年規制緩和されつつあるメディナでも、ムスリム専用のホテルも多く、非ムスリムの宿泊者を受け入れない方針のホテルは国際予約サイトとの連携自体を行っていないことがあります。

3. オフライン契約の優先

多くのサウジアラビアのホテルは、政府機関や大企業、ハッジ(巡礼)ツアーオペレーターなどと長期契約を結んでいます。これらの契約では、一定数の部屋が長期間にわたって予約されることがあり、オンラインでの一般予約枠が非常に限られてしまうことがあります。

特に石油関連ビジネスが盛んな地域では、大企業の社員用に部屋の大半が契約で押さえられていることも珍しくありません。

4. 予約システムの地域最適化

Booking.comやExpediaなどの国際的な予約サイトは主に西洋市場向けに最適化されており、サウジアラビアのような特殊な市場のニーズに完全には適合していません。例えば、予約時に必要とされる情報(ビザ番号、宗教など)がこれらのプラットフォームでは標準フォームに含まれていないことがあります。

これらのギャップを埋めるため、Almosaferなどのサウジアラビア国内の予約サイトが存在しますが、これらは多くの場合アラビア語主体であり、外国人観光客にはアクセスしにくい状況です。

5. 観光開放の過渡期にある国情

サウジアラビアは「Vision 2030」政策の一環として観光産業の発展に力を入れ始めていますが、まだ過渡期にあります。観光ビザの発給が一般的になったのはつい最近のことで、観光インフラやオンライン予約システムはこの急速な変化に追いついていない面があります。

実際にサウジアラビアのホテルを予約する方法

国際的な予約サイトで空室が見つからなくても、あきらめる必要はありません。以下の方法を試してみることで、予約に成功する可能性が高まります。

1. ホテルに直接問い合わせる

最も確実な方法は、目当てのホテルに直接電話やEメールで問い合わせることです。多くのホテルは公式ウェブサイトに連絡先情報を掲載しています。英語でのコミュニケーションが可能なスタッフがいる時間帯を考慮し、具体的な日程と必要な部屋のタイプを明確に伝えましょう。ビザの種類や渡航目的も伝えると、より適切な対応を受けられることがあります。

デメリット: 時差のため連絡が取りにくいことがあります。また、返信が遅い、あるいは全く返信がないケースもあるため、複数のホテルに同時に問い合わせるのが賢明です。言語の壁も課題となることがあり、特に地方の小規模ホテルでは英語対応が限られている場合があります。

2. 現地旅行代理店の利用

サウジアラビア国内の旅行代理店は、多くのホテルと特別な関係を持っており、オンラインでは表示されない空室にもアクセスできることがあります。Al Tayyar Travel Group、Kanoo Travel、Elaf Group、Seera Groupなどが代表的です。これらの代理店は英語対応のウェブサイトやカスタマーサービスを提供しており、メールでの問い合わせも可能です。

デメリット: 代理店を通すと手数料が上乗せされることがあり、直接予約よりも割高になる可能性があります。また、海外からの問い合わせに対する反応が遅いことも珍しくなく、予約確定までに数日かかることもあります。さらに、クレジットカード情報を求められるケースがあり、セキュリティ面での不安が残ります。

3. サウジアラビア国内の予約サイトを利用する

サウジアラビア国内の予約サイトは、国際サイトよりも多くのホテルと連携していることがあります。Almosafer、Rehlat、Flyin、Wegoなどのサイトは現地の支払い方法にも対応しており、より多くの選択肢が見つかる可能性があります。

デメリット: これらのサイトはアラビア語が主体で、英語表示が限定的または翻訳が不完全な場合があります。また、海外発行のクレジットカードが受け付けられないことや、予約後の変更やキャンセルのプロセスが複雑なことも課題です。サイトのユーザーインターフェースが直感的でなく、予約完了までの道のりが複雑なこともあります。

4. 国際ホテルチェーンの会員プログラムを活用する

Hilton、Marriott、Accorなどの国際ホテルチェーンの会員プログラムに登録すると、一般公開されていない部屋にアクセスできる可能性があります。会員専用の予約枠があったり、ポイント利用で予約できたり、特別料金が表示されることもあります。

デメリット: 国際チェーンのホテルは一般的に料金が高めです。また、会員特典を受けるには上位会員資格が必要なことが多く、一般会員ではメリットが限られる場合があります。ポイントでの予約は空室状況がさらに制限されることもあります。

5. 日本の専門旅行代理店を利用する

中東専門の日本の旅行代理店は、サウジアラビアのホテル業界とのコネクションを持っていることがあります。言語の壁なく相談でき、ビザ取得のサポートも含めた総合的なアドバイスが受けられるのが大きな利点です。

デメリット: 手数料が高額になることが多く、予算が大幅に増える可能性があります。また、自由度が低下し、パッケージツアーの一部として予約することになるケースも多いです。予約変更の柔軟性も制限される傾向があります。

6. 宿泊直前に予約する

サウジアラビア特有の事象として、直前になると急に予約可能なホテルが増えるというものがあります。理由は定かではありませんが、限定開放されていた部屋が埋まりきらず、直前になって一般観光客向けに提供されたケースなどがこれにあたります。直前になればなるほどホテルの選択肢が増えていくので、チキンレース感覚でギリギリ予約に挑戦してみても良いかもしれません。

デメリット: 実際にどれくらい宿泊可能ホテルが増えるのかは、直前になるまでわかりません。当日になって泊まる場所が見つからないという最悪の事態を避けるために、事前にキャンセル可能な宿を押さえておくなど、バックアップ・妥協案を用意しておきましょう。

まとめ:計画的かつ柔軟に

サウジアラビアのホテル予約は、国際的な予約サイトだけを頼りにしていると難しい場合があります。しかし、複数のチャネルを活用し、戦略的に行動することで、希望に合った宿泊先を見つけることは可能です。

サウジアラビアは観光インフラがまだ発展途上であることを念頭に置いておくと、予約プロセスで生じるフラストレーションも軽減できるでしょう。時間と忍耐を持って取り組むことが、この独特な国での宿泊予約の鍵となります。

最後に、サウジアラビアは急速に変化している国です。近い将来、予約システムも国際標準に近づいていくかもしれませんが、現時点では少し「裏技」的な方法を知っておくことが、スムーズな旅行計画の成功につながります。

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