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アルザス・コルマールのクリスマスマーケットってどんな感じ?2024年末訪問レポート【フランス旅行】

今回は、フランスの東部、アルザス地方の宝石とも言われるコルマールのクリスマスマーケットを2024年の年末に訪れた様子をレポートします。アルザス地方は、フランスとドイツの文化が融合した独特の魅力を持つ地域で、特にクリスマスシーズンには幻想的な雰囲気に包まれます。

コルマールへのアクセス

私は今回、ドイツのフランクフルトからの日帰り訪問でコルマールを楽しみました。フランクフルトからは車で約2時間半、電車でも乗り継ぎを含めて3時間程度で到着できます。他にも、パリからコルマールへはTGV高速鉄道)で約2時間30分、ストラスブールからは地域列車で約30分という好アクセスです。

フランクフルトからの日帰りは十分可能で、朝早く出発して夕方まで十分に楽しめました。早朝に出発したおかげで、コルマールの朝の静かな雰囲気を堪能できたのは大正解でした。

コルマールの魅力

コルマールは「小さなヴェネツィア」とも呼ばれる美しい街で、スタジオジブリの「ハウルの動く城」の舞台のモデルとなった場所としても有名です。カラフルな木組みの家々が並び、ラウフ川が街を流れる姿は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのような感覚を覚えます。

朝9時頃にマーケットの店が開くタイミングで到着したのですが、この時間帯はまだ観光客がほとんどおらず、地元の人々が準備する姿や静かな朝の風景を楽しむことができました。朝早く訪れるなら、この時間帯がとてもおすすめです。静かな街を独り占めできる贅沢な時間です。

朝一番のコルマール

冬のコルマールは、想像していたよりもかなり靄がかかっていて、全体的に霧に包まれた幻想的な雰囲気でした。アニメや童話に描かれるような晴れ渡った青空の下の鮮やかな風景とは異なる、神秘的で少しアンニュイな美しさがありました。事前にイメージしていたからっとした天気とはかなり違う景色だったので、旅行される方はそのギャップに要注意です。ただ、これはこれで独特の魅力があり、むしろ現実離れした雰囲気を味わえて良かったです。

コルマールのクリスマスマーケット

コルマールのクリスマスマーケットは通常、11月下旬から12月30日まで開催されています。街の中心部に複数のマーケットがあり、それぞれ特色があります。主なマーケットは旧税関広場、ドミニク広場、リトルヴェニスエリアなどに位置しています。

朝9時頃の開店時間に訪れると、まだ準備中の屋台もあり、地元の人々がゆっくりと朝の時間を過ごしている姿が見られます。この時間帯は観光客もほとんどおらず、静寂の中で街の本来の姿を堪能できる貴重な時間です。

しかし、11時を過ぎる頃から状況は一変します。中でも特に週末は、フランス国内だけでなく、隣接するドイツやスイスからも多くの観光客が押し寄せ、正午頃には通りは人でごった返します。特に人気のリトルヴェニスエリアは、写真スポットを求める人々の行列ができるほど。静かな朝とは打って変わって、活気に満ちた雰囲気になります。

昼頃には近隣住民や観光客でごった返していました

マーケットでは伝統的なクリスマス装飾品やアルザス地方の特産品、温かい飲み物や軽食が販売されています。グリューワイン(ホットワイン)やフラムクーヘン(薄いピザのような料理)などが人気ですが、屋台によって提供されるメニューは様々です。ブレッツェルなどのアルザス地方の伝統的な食べ物も手軽に味わうことができます。また、クリスマスオーナメントやアルザスワインなど、お土産にぴったりの品々も販売されています。

ワインやプレッツェルを提供するお店

コルマールのクリスマスマーケットはとにかく広範囲。地元の常時マーケットもクリスマス仕様に。

リトルヴェニスの不思議な光景

リトルヴェニス(小ヴェネツィア)と呼ばれるエリアは、コルマールで最も写真映えするスポットとして有名です。カラフルな木組みの家々が運河沿いに立ち並び、その景色は絵葉書のようです。

朝早く訪れたときの光景は特に印象的でした。冬の朝、川からは不思議な湯気が立ち上っていたのです。おそらく川の水温が外気温よりも高いためでしょうか。この現象と朝霧が相まって、まるで異世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気を醸し出していました。

運河に沿って歩くと、霧の中からぼんやりと浮かび上がる色とりどりの家々、水面に映る建物の揺れる影、そして川から立ち上る湯気。この組み合わせが、「ハウルの動く城」を思わせる魔法のような景色を作り出していたのです。しかし、これはアニメで見るような明るく鮮やかな色彩の世界ではなく、より神秘的で深みのある風景でした。

朝なら、ほぼ貸し切り状態でこの美しい風景を堪能できますが、午後になると観光客で溢れかえり、同じ場所で写真を撮るのにも長い時間待たなければならないほどになります。

川沿いにはお洒落な雑貨屋やアンティークショップも多いので、のんびり散策するのがオススメ

いかがでしたでしょうか?

アルザス地方のコルマールを冬に訪れる醍醐味は、観光客で賑わう華やかな昼間の顔と、霧に包まれた神秘的な朝の顔、この二つの全く異なる表情を楽しめることかもしれません。

朝9時頃に訪れることで体験できる静寂と幻想的な風景は、「ハウルの動く城」の舞台として知られる街の本当の魅力を感じさせてくれます。しかし、それはアニメや写真集で見るような鮮やかな色彩の世界ではなく、靄がかかった神秘的な美しさを持つ冬の童話のよう。運河から立ち上る湯気、霧の中から浮かび上がる木組みの家々、静寂に包まれた石畳の小道…これらが織りなす魔法のような空間は、観光客でごった返す昼間には決して味わえない特別な体験です。

2024年のクリスマスシーズン、ヨーロッパへの旅行を考えている方には、ぜひフランクフルトからの日帰りでもアクセス可能なコルマールをおすすめします。ただし、もし可能であれば、朝の静かな時間帯から夜のライトアップまで楽しむために、1泊することをお勧めします。

そして何より、朝霧の中から姿を現す幻想的な風景を、ぜひ自分の目で確かめてみてください。それは、インターネットの写真では決して伝わらない、実際に体験してこそ価値のある魔法のような瞬間です。

(※2024年12月中旬、フランクフルトからの日帰り訪問。情報は訪問時点のものです)