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イランでレンタカーを借りるのはお得か?実際に検証してみた

旅行先でレンタカーを借りることは、フットワーク軽く自由に観光するための便利な選択肢です。しかし、イランという特殊な環境ではどうなのでしょうか?実際にイランを訪れ、レンタカーの利用を検討した経験から、その実態と注意点についてまとめました。

一見安くてお得

イランのレンタカー料金は、一見すると非常に魅力的です。一般的な国産セダンであれば、1日あたり約20〜30ドル相当で借りることができる上、ガソリン代はどれだけ走っても小銭程度しかかかりません。これは欧米や日本と比較すると確かに安いと言えるでしょう。

ただし外国製の車、特に日本車や韓国車を借りようとすると、料金は2〜3倍に跳ね上がります。また選択肢が非常に限られており、欧米のレンタカー会社のように多様な車種から選べる状況ではなく、「あるもの」から選ぶのが現実です。

価格だけ考えると非常にコスパが良いと感じるかもしれませんが、実際に車を借りようとなると、イランならではの事情がハードルとして立ちはだかることになります。

特殊な支払いシステム

インフレの進むイランでは、数百ドル分の現金を持ち歩くだけでも大変

イランでレンタカーを借りる際の最大の障壁は、独特の支払いシステムにあります。国際的な経済制裁の影響で、イランでは国際クレジットカードが使用できません。これは多くの海外旅行者にとって大きな問題となります。

通常、海外のレンタカー会社ではクレジットカードをデポジット(保証金)として登録し、車両の損傷や違反金などが発生した場合に備えます。しかしイランではこのシステムが使えないため、代わりに高額な現金を預ける必要があります。

例えば、普通車クラスでも300〜1000ドル相当の現金デポジットが要求されることが一般的に。この預け金は返却時に問題がなければ戻ってきますが、滞在中はその分の現金が使えなくなります。短期旅行者にとっては、この現金を滞在中に使い切ることができず、両替レートの悪い外貨への再交換を強いられる可能性もあります。

交通事情は場所によって天と地ほどの差

イランの交通状況は、場所によって大きく異なります。テヘランイスファハンなどの大都市では、交通ルールは存在するものの、実際の道路状況は非常にカオスです。急な車線変更や割り込みが日常茶飯事。信号無視も珍しくありません。

一方、郊外や地方都市では比較的落ち着いた運転が可能です。特に歴史的な観光地を結ぶ幹線道路は整備状態も良く、ドライブを楽しむことができます。ただし、道路標識はペルシャ語のみの場合も多いため、事前の経路確認と地図アプリの準備は必須です。

初めてイランを訪れる旅行者にとって、大都市での運転は強いストレスになることは間違いありません。交通事情に慣れるまでは、都市部では他の交通手段を利用し、郊外移動のみでレンタカーを使うという選択肢も検討する価値があります。

車両の状態と選択肢

イランで借りられる車両の多くは、国内製造の比較的古いモデルです。SAIPAやIran Khodroといったイラン国産メーカーの車が主流で、外観や内装は質素なものが多いです。エアコンが効きにくかったり、サスペンションの状態が良くなかったりすることも珍しくありません。

イラン国内では渋いセダンタイプの国産車が人気

長距離移動を計画している場合は、車両の状態をしっかり確認することをお勧めします。出発前に車の操作方法を細かくチェックし、タイヤの状態や各種ライト、ブレーキの効きなどを必ず確認しましょう。

しかし、一方でレトロなセダンでペルシャの大地を駆け抜ける体験は、まるでイラン映画の中に入り込んだかのような独特の魅力があります。イランの風景や田舎町の雰囲気を肌で感じながらのドライブは、冒険心のある旅行者や文化体験を重視する方にとっては何物にも代えがたい思い出になるでしょう。

コスパで考えるならタクシーやカーハイヤーに軍配

イランの魅力の一つは、公共交通機関や現地のタクシーサービスの圧倒的な安さです。例えば、テヘラン市内のタクシーなら数キロの移動でも数ドル程度、長距離のハイヤーでも日本円で数千円程度で利用できることも珍しくありません。

特に「スナップ」と呼ばれるイラン版Uberのようなアプリは、言語の壁を気にせず利用できる便利なサービスです。事前に行き先と料金が明確になるため、ぼったくりの心配もありません。

www.kosupatravel.com

純粋に経済的な観点から見れば、レンタカーよりもこれらのサービスを利用する方が圧倒的にお得です。特に都市部を中心に観光する場合や、限られた目的地間の移動が主である場合は、タクシーやハイヤーの利用をお勧めします。

結論:イランでのレンタカー利用はあまりおすすめではない

イランでのレンタカー利用は、一部の特殊なケースを除いて、あまりお得とは言えません。支払いシステムの複雑さ、現金デポジットの負担、車両の状態、そして何より現地の交通手段の安さを考慮すると、一般的な旅行者にとっては他の交通手段を利用する方が合理的です。

ただし、郊外の観光地を自分のペースで巡りたい場合や、人里離れた場所を訪れる予定がある場合、そして何より「時代遅れのセダンでペルシャの大地を駆ける」というイラン映画のような体験を求める冒険心あふれる旅行者には、レンタカーは魅力的な選択肢となるでしょう。その場合も、都市部での利用は避け、移動距離と滞在期間を考慮した上で判断することをお勧めします。

イランという魅力的な国を訪れる際は、その独特の環境と制約を理解した上で、最も自分の旅のスタイルに合った移動手段を選択してください。