イランの南西部に位置するシーラーズは、「バラの街」とも呼ばれる歴史と文化の宝庫です。ペルシア帝国発祥の地であるファールス州の州都であり、13〜14世紀には偉大な詩人を輩出し、18世紀にはザンド朝の首都として栄えた古都です。幸いなことに、シーラーズの街はコンパクトで、多くの観光スポットが徒歩圏内に集まっているため、旧市街を歩いて巡るだけでも多くの魅力を堪能することができます。
今回は、以前ご紹介した「Shiraz Traditional Hotel(Rashedi Historic House)」を拠点に、徒歩で巡れるシーラーズ旧市街の見どころとモデルプランをご紹介します。
Shiraz Traditional Hotelからの旧市街徒歩巡り
地下鉄Vakil駅からもほど近い「Shiraz Traditional Hotel」は旧市街の中心に位置し、250年もの歴史を持つ文化遺産として登録された建物です。中庭を囲む伝統的なペルシャ建築と、屋上テラスから眺める旧市街の景色は、それだけでも旅の醍醐味。このホテルを拠点に、旅の手始めにすべて徒歩15分圏内で巡れる旧市街の散策を始めましょう。
情緒あふれる迷路:旧市街の散策
シーラーズ旧市街の魅力は、有名な観光スポットだけではありません。Shiraz Traditional Hotelを起点に、目的地もなく旧市街の路地を散策するだけでも豊かな体験ができます。土壁の建物が立ち並ぶ迷路のような小道は、現代的な観光地とは一線を画す独特の雰囲気があります。
ところどころに古いセダンの廃車が置かれていたり、日常を送る地元の人々の姿を垣間見ることができたりと、ガイドブックには載っていないイランの古き良き情緒を楽しめるのもこの地域の特徴です。カメラを持って散策すれば、思いがけない絵になるシーンに出会えることでしょう。
ホテルのスタッフに尋ねれば、地元の人しか知らないような穴場スポットも教えてもらえるかもしれません。朝の散歩や、夕方の黄金色に染まる時間帯の散策が特におすすめです。
朝一番で訪れたい:ナスィーロル・モルク・モスク(ピンクモスク)
ホテルから徒歩わずか5分ほどの場所にあるのが、シーラーズで最も有名な観光スポット「ナスィーロル・モルク・モスク」、通称「ピンクモスク」です。このモスクはSNSでも話題のスポットで、朝日が差し込む時間帯(8〜9時頃)に訪れるのがベストタイミング。
早朝に差し込む光がステンドグラスを通して七色に輝き、モスク内部を幻想的に彩ります。朝食後にホテルから散歩がてら訪れれば、モスクが開くちょうど良い時間に到着できるでしょう。19世紀ガージャール朝時代に建てられたこのモスクには、シーラーズのシンボルであるバラをモチーフにしたタイルアートも美しく、写真愛好家にとっては天国のような場所です。
ちなみに、ピンクモスクの目の前に立地する、古い建築を生かしたリノベレストランが超絶オススメ。ピンクモスク観光の後は、是非ランチ&ファルーデ休憩を兼ねて、足を運んでみて下さい。
青いドームが印象的:サイード・アラディン・モスク
Shiraz Traditional Hotelのすぐ近くには、ホテルの屋上テラスからも見える「サイード・アラディン・モスク」があります。青いドームが特徴的なこのモスクは、シーラーズの旧市街でも非常にシンボリックな存在です。
ホテルからわずか数分の場所にあるため、朝の散歩や夕暮れ時の散策にぴったり。青いタイルで覆われたドームはイスラム建築の美しさを象徴しており、朝日や夕日に照らされると神秘的な輝きを放ちます。
内部も美しい装飾が施されており、ピンクモスクとはまた違った魅力があります。ホテルに滞在するならぜひ訪れてほしい、見逃せないスポットの一つです。
イスラム文化の学びの場:シャー・チェラーグ廟
Shiraz Traditional Hotelからも徒歩約15分の場所に位置する「シャー・チェラーグ廟」は、シーラーズ旧市街で最も神聖な場所の一つです。8代目イマーム・レザーの兄弟であるアフマドが祀られているこの霊廟は、イランでも有数の宗教的聖地として多くの巡礼者が訪れています。
内壁に張り巡らされた数えきれないほどの鏡を使用したモザイクは、まるで万華鏡の中に迷い込んだような幻想的な空間を創り出しています。「シャー・チェラーグ」という名前は「ランプの王」という意味で、この神聖な場所に一歩足を踏み入れると、その名の由来を実感することでしょう。
特筆すべきは、ここではガイドが詳しく案内してくれること。イランのシーア派イスラム教について多くを学べる貴重な機会です。聖地の歴史や宗教的意義、巡礼の作法など、通常の観光ガイドブックには載っていない深い知識を得ることができます。イランの文化や宗教に興味がある方にとっては、単なる観光名所以上の価値ある体験になるでしょう。
建物の外部にも美しいイスラミックアートが施されており、写真スポットとしても人気です。イスラム教シーア派の聖地であるため、訪問の際は適切な服装(女性はチャドルの着用が必要・入口で貸してくれます)に気をつけましょう。
夜の魅力:バザール散策と地元絶品レストラン
ヴァキール・バザールは日中ももちろん賑わっていますが、夕方から夜にかけて訪れるのもまた違った魅力があります。日が落ちてからのバザールは照明に照らされ、昼間とは異なる雰囲気に包まれます。地元の人々の買い物も増え、より生活感のある風景を楽しむことができます。
バザールでの夜の散策を楽しんだ後は、近くにある「رستوران بيروتبر」(レストラン・ベイルートバル)がおすすめです。このローカルレストランは地元で人気の食事処で、美味しい料理と親切なスタッフで知られています。以前イランビールに関する記事でも紹介したこのレストランでは、イラン料理の真髄を味わうことができます。
夕食後はホテルまで旧市街の夜の雰囲気を楽しみながら歩いて帰るのも素敵な体験。夜のシーラーズは安全なエリアが多いですが、一人歩きの際は念のため人通りのある大きな通りを選ぶとよいでしょう。
いかがでしたでしょうか?
コンパクトな街並みに歴史的建造物が点在するシーラーズの旧市街は、まさに徒歩観光に最適な場所です。朝のピンクモスク、昼のサイード・アラディン・モスクやシャー・チェラーグ廟、夕暮れ時の旧市街散策、そして夜のバザールとローカルレストランと、一日を通してシーラーズの様々な表情を楽しむことができます。すべてが徒歩圏内にあるので、リラックスしたペースで観光を楽しめるのも魅力の一つです。是非、ここで書ききれなかった旧市街地の魅力を、ご自身の目で発見してみて下さい!
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