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世界一醜い鳥、アフリカの怪鳥「マラブー」と戯れよう!エチオピア、コカ湖訪問レポート【アフリカハゲコウ】

アフリカを旅していると、どこからともなく現れる巨大な鳥に出くわすことがある。それが今回の主役、マラブーだ。この鳥、見た目はちょっと不気味で、正直言って美しいとは言い難い。しかし、なぜか憎めない愛らしさを秘めている不思議な存在なのだ。

アフリカハゲコウ──正式名称と驚きの特徴

 

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マラブーの正式な和名はアフリカハゲコウコウノトリの仲間だが、普通のコウノトリとは全く違う風貌をしている。英語名の「マラブー」はフランス語のマラブー(marabout)から来ていて、その語源をたどるとアラビア語で「ムスリムの聖者」を意味する言葉につながるというのは興味深い。確かに、あの独特な佇まいは何か神秘的な雰囲気を醸し出している。

とにかくでかい!規格外のサイズ感

Child riding bicycle by marabou storks

マラブーの最大の特徴は、その**とんでもない大きさ**だ。実際に目の前に立つと、その迫力に圧倒される。体長は120cm以上、翼を広げると3メートル近くにもなる。人間の子供なら軽々と持ち上げられそうな体重で、まさに空飛ぶ巨人といった風格だ。

見た目はというと、なんとも不思議な風貌をしている。頭と首がハゲていてピンク色の皮膚が丸出し、体は黒と白のツートンカラー。長いくちばしに長い脚、そして巨大な翼。パーツパーツは普通の鳥なのに、組み合わさると何ともシュールな存在になる。このハゲ頭が「世界一醜い鳥」なんて不名誉な呼び名をつけられる原因でもある。

ハゲ頭には深いワケがある

marabou

なぜマラブーはハゲているのか?これには実用的な理由がある。彼らは死んだ動物の肉を食べるスカベンジャーなので、腐った肉に頭を突っ込むことがしょっちゅうある。もし頭に毛が生えていたら、血や肉汁でべったべたになって不衛生極まりない。

そこで進化が編み出した解決策が「ハゲ頭」だった。毛がなければ汚れても簡単に洗い流せるし、太陽の紫外線で殺菌もできる。つまり、あの不気味なハゲ頭は、実は進化が生み出した完璧な衛生システムなのだ。見た目はちょっとアレだけど、とても理にかなっている。

自然界のお掃除屋さん──マラブーの重要な仕事

マラブースカベンジャー、つまり死んだ動物の肉を食べる掃除屋さんだ。「気持ち悪い」と思われがちだけど、実はとても大切な仕事をしている。

もしマラブーのようなスカベンジャーがいなかったら、アフリカの草原は動物の死骸だらけになってしまう。腐った死骸からは病気が発生するし、環境も汚染される。マラブーたちは自然界のゴミ処理業者として、生態系のバランスを保ってくれているのだ。

アフリカの漁港では、ゴミとして出た魚の内臓を漁師から与えてもらっている光景をよく目にする

食事の現場では、ハゲワシと一緒になることも。ハゲワシの方が鋭いくちばしで肉を引き裂くのが上手なので、マラブーは「ハゲワシが食べ終わるのを待つ」「こぼれた肉をもらう」「時には横取りする」といった、なかなか賢い戦略を使っている。まさに自然界の知恵である。

場所によって大違い!人間との関係性

マラブーはアフリカ全土に住んでいて、水辺でも内陸でも活動している。そして驚くことに、人間の住む場所にもよく現れる。特にゴミ捨て場なんかは彼らの大好きなスポットだ。場所によって人間との関係は大きく異なる。

ウガンダのガバ(Ggaba)地方では、漁港で出た魚の内臓などの生ゴミを処理してくれる「清掃係」として重宝されている。湖畔には何羽ものマラブーが待機していて、まるで漁師たちのパートナーのような存在だ。ここでは人間とマラブーが共生関係を築いている。

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一方、タイでは事情が少し違う。路上を堂々と闊歩するマラブーは「気持ち悪い」「車にぶつかったら汚れる」という理由で地元の人々に敬遠されがち。同じ鳥なのに、場所が変われば扱いもこんなに違うのは興味深い現象である。

マラブーの楽園を求めて──エチオピア、コカ湖への旅

どこにでもいるマラブーだが、今回は特にマラブーがたくさんいると噂のエチオピアのコカ湖(Koka Lake)を訪問してみることにした。果たして、どれだけのマラブーに出会えるのだろうか。期待に胸を膨らませながら、いざ出発!

圧巻!マラブーパラダイス

コカ湖に到着して、まず驚いたのがその光景だった。マラブーがいるわいるわ!視界に入るだけでも100羽くらいはいるのではないだろうか。まさにマラブーのパラダイスである。

体長1メートルほどの個体も多く、「子供を誘拐できそうな大きさ」という表現がぴったりくる迫力だ。二足歩行で直立している姿は、何となく目線が近くて不思議な感覚になる。まるで他人に見られているような錯覚に陥るのだ。この独特の存在感こそ、マラブーの魅力なのかもしれない。

湖畔に立ち並ぶ巨鳥たち

まるで人間に混ざって井戸端会議をしているかのようなサイズ感

湖の岸辺には、まるで会議でもしているかのようにマラブーたちが立ち並んでいる。一羽一羽が巨大で、遠くから見ても存在感は抜群だ。時折、翼を広げてバランスを取る様子は、まるで羽根を持った巨人のようでもある。

彼らの表情(?)は何ともユーモラスで、真剣そうでもあり、どこかとぼけているようでもある。この絶妙な愛らしさが、マラブーの魅力の源泉なのだろう。

絶妙な距離感を保つマラブー

せっかくなので、マラブーたちと少しでもふれあってみたいと思い、そっと近づいてみることにした。まさか握手できるとは思わないが、せめて写真を撮りたい。

しかし、マラブーたちも警戒心は強い。こちらが近づくと、ちょっとずつ距離を置いて、じわじわと遠ざかっていく。まるで「ここまでは来ないで」という見えないバリアがあるかのようだ。

それでも強引に近づこうとすると、「ささーっ」と予想以上に素早く逃げていってしまう。あの巨体からは想像できないほど機敏な動きを見せるのだ。

空を舞う巨翼の迫力

翼を広げて飛ぶ姿を見ると、その大きさにあらためて驚かされる。地上で見るよりもいっそう巨大に見え、まるで小型飛行機が飛んでいるような迫力がある。大きなこの鳥がそばで飛び立つときには「ブンブン」と羽ばたく音がひびき豪快だ。

翼を広げるとインパクトが一層大きい

ふれあいたい気持ちはあるけれど、彼らには彼らのペースがあるようだ。無理強いはせず、遠くから観察するのが一番のようである。

マラブーとの共存──現地の人々の知恵

コカ湖周辺では、地元の人々がマラブーと上手に共存している光景も見ることができた。漁師たちが魚を捌く際に出る内臓などを、マラブーが自然に処理してくれる。まさに自然の循環システムが機能している瞬間だ。

人間とマラブーの間には、お互いを尊重し合う絶妙なバランスが保たれている。これこそが、野生動物との理想的な関係なのかもしれない。

まとめ:愛すべき醜い怪鳥との特別な出会い

エチオピアのコカ湖で、たくさんのマラブーたちと出会うことができた。見た目は確かに「怪鳥」と呼ばれるにふさわしい不気味さがあるけれど、その独特の存在感と愛らしさは、一度見たら忘れられないものがある。

彼らの生態を知れば知るほど、自然界における重要な役割を担っていることがよく分かる。人間から敬遠されることもあるが、実は私たちの生活を支えてくれている貴重な存在なのだ。

人間との距離感を保ちながらも、私たちの生活圏で共存しているマラブー。彼らとの出会いは、アフリカ旅行の特別な思い出のひとつになった。そして、自然との共生について考えさせられる貴重な体験でもあった。

次回アフリカを訪れる機会があれば、また彼らに会いに行きたいと思う。今度はもう少し仲良くなれるだろうか?それとも、やはり絶妙な距離感を保ち続けるのだろうか。それもまた、マラブーの魅力の一部なのかもしれない。