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【ドーハの悲劇】カタール航空無料トランジットサービス(STPC)の現実:なぜ多くのケースで無料ホテルが与えてもらえないのか?メカニズムを徹底解説

以前、カタール航空の無料トランジットサービス「Complimentary Transit Service(STPC)」の申請手順をご紹介しました。しかし、実際に申請してみると無料ホテルが提供されないケースが多いらしく、「話が違う!」という声が海外フォーラムで頻繁に上がっています。今回は、なぜ無料ホテルが提供されない事態が発生するのか、その複雑な条件と現実を詳しく解説します。

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「話が違う」という声が続出する理由

Redditやフライヤートークなどの海外フォーラムでは、「Complimentary transit accommodation is a scam(無料トランジット宿泊は詐欺だ)」という旨の投稿が後を絶ちません。多くの旅行者が8時間以上の乗り継ぎで申請しても、「あなたのチケットでは利用できません」と拒否されているのが現状です。

ある利用者は、ヨーロッパからインドへの19時間の乗り継ぎで申請したにもかかわらず、「チケットが条件を満たしていない」という理由で拒否され、代わりに2人で150ドルの有料サービスを提案されました。この金額は、自分でホテルを予約するより高額の提案だったため、憤慨している様子でした。

私自身度々カタール航空を利用しますが、無料トランジットサービスの代わりに有料サービスを提案されるケースは確かに少なくないです。

無料STPCが拒否される本当の理由

実は「乗り継ぎ時間が8時間以上」という条件はあくまで表面的なもので、実際の判定には細かい規定が適用されています。以下が主な拒否理由です。

より早い接続便の存在: 最も多い拒否理由は、「より早い接続便が利用可能」というものです。たとえ料金が5倍高くても、8時間未満で接続できる便が一つでもあれば、無料STPCは利用できません。コードシェア便(他社運航の便にカタール航空の便名が付いているもの)も「利用可能な便」として扱われるため、多くの旅行者がこの規則に引っかかります。

運賃クラスの制限: 公式サイトでは「一部の割引運賃を除く」とされていますが、実際の基準は明確ではありません。片道400ドル未満のチケットでは拒否されるケースが多く、プロモーション運賃やエコノミーの格安チケットではほぼ利用できないと考えた方がよいでしょう。

ウェットリース便の扱い: ウェットリース便とは、他社の航空機と乗務員を借りて運航する便のことです(コードシェアとは異なり、機材も乗務員も他社のもの)。カタール航空オマーン航空の機材で運航する便などがこれに該当しますが、カスタマーサービスの担当者によって判定が分かれることがあります。

その他、8時間を超えているはずなのに、そもそも申請手続きの際に旅程選択ボタンがグレーアウトしているケースがあったりと、上記以外の理由によって申請不可となる場合があるようです。

カタール航空側の論理

カタール航空の立場から見ると、無料STPCは「やむを得ない場合のサービス」という位置づけです。より安い便や早い接続便が選択できる状況で、あえて長時間の乗り継ぎを選んだ場合は「乗客の都合」と判断されます。

しかし、この判定基準が一般的に知られていないため、多くの旅行者が「騙された」と感じているのが現状です。実際、利用者の多くは無料ホテルサービスを期待してカタール航空を選んでいるのです。

STPCの提供ルールについては、カタール航空公式ホームページで詳細が記載されています。提供がされず不服に感じた場合は、下記ページを参照して今一度条件を確認してみると良いでしょう。

www.qatarairways.com

代替案と対策

有料STPCの利用 無料サービスが拒否された場合、75-150ドル程度で有料STPCが利用できます。空港送迎は含まれていない場合もあるため、事前に確認が必要です。

Discover Qatar プログラム カタール航空乗客向けの割引ホテルプログラムで、4つ星ホテルが30ユーロ程度で利用できることもあります。ただし、既にフライトを予約済みの場合は利用できない制限があります。

空港内での過ごし方 Al Safwaラウンジの利用や、空港内の「Quiet Room」での仮眠など、空港内で快適に過ごす方法を検討することも重要です。20時間の乗り継ぎを空港で過ごした利用者も「意外と時間が過ぎるのが早かった」と報告しています。

まとめ:期待と現実のギャップ

カタール航空のSTPCサービスは、確かに存在する有用なサービスですが、利用条件が想像以上に厳しく、多くの旅行者が期待と現実のギャップに直面しています。無料ホテルサービスを期待してカタール航空を選ぶ前に、以下の点を念頭に置くことをお勧めします。

まず、無料STPCは「確実にもらえるサービス」ではなく「条件が揃えば利用できるサービス」だということです。特に格安チケットや、他に接続オプションがある場合は期待しない方がよいでしょう。また、有料STPCや代替ホテルの費用も旅行予算に含めて計画を立てることが重要です。

最後に、拒否された場合でも空港で再度相談する価値があります。オンライン申請と空港での判定が異なるケースも報告されているためです。カタール航空の長時間乗り継ぎを計画している方は、過度な期待を抱かず、様々なシナリオに備えた準備をしておくことが、快適な旅行への鍵となるでしょう。