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ドーハ乗り継ぎ約3時間で、トランジット観光のギリギリに挑む - 一か八かのカタール・タイムアタック旅行レポート

以前執筆した【2025春】トランジット時間でカタール観光!ドーハ・ハマド国際空港乗り継ぎでの暇つぶし方法一挙解説【ドーハ空港で暇つぶし】という記事で、私は「市中観光に出かける場合は少なくともトランジットが4時間以上でないと現実的ではない」と断言していた。

出入国手続きの所要時間、空港内移動、そして何より予期せぬ遅延のリスクを考慮すると、4時間未満では空港を一度出て戻ってくることすら相当危険である。最悪の場合、次の便に乗り遅れて旅程が完全にパーになる可能性が高いからだ。

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しかし、私はこれまでドーハで十数回の乗り換えを経験しており、ハマド国際空港はもはや我が家の庭同然。そんな私が今回、自分で限界を設定した「4時間ルール」に挑戦してみることにした。目標は市中のスーパーマーケットでの爆買いショッピング。まるで、サブ4に挑戦するマラソンランナーの心持だ。果たして3時間ちょっとのトランジットで、本当に市内に出て帰ってこれるのだろうか?

ミッション開始 - 3時間25分の挑戦

今回のトランジットは下記の通りだ。

到着便: カタール航空QR1302便(ドーハ着23:10)
出発便: カタール航空QR806便(ドーハ発02:35)
理論上の持ち時間: 3時間25分

しかし、この数字は現実を隠している:

  • 機内からの降機・空港内モノレール移動:最低20分
  • 入国審査:10-20分(混雑次第で大幅延長の可能性)
  • 空港からメトロ駅への移動:片道約10分
  • ボーディング時刻:出発の1時間前

つまり、実質的な市中滞在可能時間は約1時間半程度。かなりタイトなスケジュールである。

カイロからの飛行機が滑走路に降り立った瞬間、いよいよ時間との勝負が始まった。

第一関門 - スピード入国作戦

機内から降りた瞬間、本格的に時間との勝負が始まった。普段なら余裕を持って歩くところを、今回はできるだけ早歩きで進む。

空港内モノレールの待ち時間がもどかしい。スマホの時計を何度も確認してしまう。23:25...すでに15分が経過している。

ターミナル内のモノレールに乗車してターミナルを移動する。ハマド国際空港は徒歩で移動できないくらい広い

モノレール降車後しばらく歩き、イミグレーションカウンターが見えた瞬間、心臓の鼓動が早くなった。深夜の入国審査がどの程度混雑しているかは完全に運次第—ここで長蛇の列に遭遇すれば、その時点で計画破綻である。

幸い、この時間帯は比較的スムーズだった。審査官とのやり取りも手慣れたもので、10分足らずで入国手続きを完了(もっとも、審査官にはボーディング時刻は2時間後だから絶対に遅れないように、と念を押されたが)。まずは予定内だ。

交通手段の選択 - 確実性 vs スピードの判断

次の課題は交通手段の選択である。タクシーの方が移動は楽だが、深夜にタクシーが捕まらないリスクが気になる。以前、深夜のドーハコーニッシュ周辺でUberが全く捕まらず、30分以上待った苦い経験がよみがえった。

を取るか、を取るか」

この判断が重要だった。結果的にメトロを選択—空港からメトロ駅までは徒歩10分ほどの距離があるが、やむを得ない。リスクを最小化する判断である。

メトロ移動 - 時間制限との戦い

メトロ駅では一秒も無駄にできない。既に終電間際の時間帯だが、1日パス券の購入も、迷っている暇はなし。一人約250円と格安で、チャージの手間を考えれば断然お得—即決である。

00:06発の便に何とか間に合った。

深夜のメトロ車内は静寂に包まれている。しかし、その静けさに浸っている余裕はない。スマホの時計とにらめっこしながら、「順調に行ってくれ」と祈り続けた。

一つの遅延、一つのトラブルが即座に計画破綻につながる—かなり緊張感のある移動だった。

そうこうしているうちに、無事Umm Ghuwalina駅に00:17到着

目的地到達 - AL MEERAでの集中爆買いタイム

Umm Ghuwalina駅から数分歩き、深夜営業のハイパーマーケット「AL MEERA」へと急ぐ。

程なくして店舗へ到着。想像以上に広い大型ハイパーマーケットだが、果たして時間は足りるのだろうか。自動ドアが開いた瞬間、ようやく目的地に到着した安堵感と、限られた時間への焦りが入り混じった。

私のターゲットは中東で絶大な人気を誇るスナック菓子オマーンチップス」

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同行者はカタール限定のラクダ型ウォーカーショートブレッドやアラビックコーヒーが目当てだ。効率を考えて店内では別行動を取る。

ラクダのショートブレッドカタール土産にお勧めです

制限時間:約20分

この20分間は、まさに集中力との勝負である。事前調査で商品の陳列場所をある程度把握していたため、迷うことなく菓子コーナーへ直進。オマーンチップスのパーティーサイズを発見した瞬間、「やった!」という達成感が湧いた。

お目当てのオマーンチップス・パーティーパック

同行者も目当ての商品をバスケットに次々投入。しかし、レジ付近を見ると少し気になる光景が—他のお客さんが増え始め、会計待ちの列ができそうな気配である。

「やばい、時間がない」

もう少しショッピングを楽しみたい衝動を抑え、余裕を持って早めに会計に向かう判断は正解だった。レジでカードを取り出す手も少し震え、心の中で「早く、早く」と連呼。会計を済ませた時の安堵感は相当なものだった。

終電ギリギリの緊迫した攻防

しかし、本当の勝負はここからだった。復路の終電—Umm Ghuwailina発00:43、空港着00:54の便が本日絶対最終である。これを逃せば、文字通り飛行機に間に合わない可能性が高くなる。

駅に向かう途中、スマホの時計が00:41を表示。重い買い物袋を抱えながら、早歩きで駅へ向かう。

息が切れる中、何とか駅に到着。しかし、そこで聞こえてきたのは不安になる声だった。スタッフの女性が他の乗客に「もう乗れない」旨を告げているではないか。

「え!もしかしてもう終電過ぎた?!」

この瞬間、かなり焦った。せっかくここまで来たのに、最後の最後で失敗するのではないかと思った。

しかし、助かった—

スタッフから目的地を尋ねられ、「空港行きですね、じゃあ大丈夫」との言葉。どうやら上り方面のメトロが終電を過ぎていただけで、空港行きはまだ間に合うとのことだった。

「助かった...本当に助かった」

ほっとしながら、最後の電車に乗り込んだ。

最後の最後まで気が抜けない帰還

車内でようやくホッと一息つけた。しかし、まだ完全に安心はできない。予定通りの便で01:10頃に空港に帰還—ここからが最後の山場である。

爆買いした商品の整理、追加預け荷物としてのカウンター手続き、そして最後のセキュリティチェック。もしここで混雑していたら、すべてが水の泡になる。ここで急な腹痛を催したとしても、トイレに行く暇すらない。

01:20...01:25...01:28...

時計の針が容赦なく進む中、最後の力を振り絞って出国手続きを完了。セキュリティを通過した時、時刻は01:30だった。

搭乗開始時刻(通常は出発時刻の約1時間前)のほぼジャストで搭乗口に到着—ギリギリながらも完璧なタイミングである。搭乗口のスタッフに搭乗券を渡す瞬間、「何とか間に合った」という安堵感がどっと押し寄せた。

今回のチャレンジ

日本帰国便をリスクにかけながら勝ち取った今回の戦利品

今回のチャレンジは、私がドーハ空港に既に馴染んでいたからこそ可能だった。ドーハに1、2回しか来たことがない方は、絶対に真似しないことをお勧めする。万が一飛行機に乗り遅れたら、本当に大変なことになるからだ。

しかし、この挑戦によって一つの重要な事実が分かった。公表トランジット時間が3時間25分程度あれば、綿密な計画と冷静な判断があれば、ドーハ市内への「観光」は不可能ではない—ただし、それが果たして観光と呼べるのかは疑問だが。

成功のカギ

  • ドーハ空港への十分な熟知度(これは必須条件)
  • 徹底的な事前リサーチ(ターゲット店舗の確定)
  • 深夜便の比較的スムーズな入国審査(運の要素大)
  • 飛行機・メトロの定時運行(これも運)
  • 時間管理への強い意識
  • 冷静な判断力

失敗に直結するリスク要因

  • 入国審査の予期せぬ大混雑(30分待ちなら即アウト)
  • 飛行機・交通機関のトラブル・遅延
  • 買い物時間の延長(「あと5分だけ」が命取り)

最重要ポイント:事前調査の重要性

また今回の成功で最も重要だったのは、AL MEERAが確実にオマーンチップスを扱っていることを事前に確認していた点である。限られた時間での買い物では、「行ってみたら商品がなかった」「店が閉まっていた」は即座にミッション失敗を意味する。Google Mapsのレビュー、現地情報サイト、SNSでの情報収集—これらの入念な下調べがあったからこそ、20分という短時間で確実に目標を達成できたのだと感じる。

時間制限下での買い物成功の鉄則:

  1. ターゲット商品の取扱店舗を事前に確定させる
  2. 営業時間を複数ソースで確認する
  3. 店舗レイアウトを可能な限り事前把握する
  4. 代替案を必ず用意しておく
  5. 目当ての商品が見つからない場合は潔く諦める

チャレンジ精神旺盛で、かつ完璧な事前準備ができる方は、ぜひこの記録に挑戦してみてほしい。ただし、完全に自己責任でお願いする。私は一切の責任を負いかねるので、ご了承いただきたい。

それでも挑戦したい方へ:しっかり準備して、安全第一で頑張ってほしい。