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ドーハ経由はしばらく危険?ハマド国際空港の閉鎖リスクとカタール航空の行方を本気で考察する

中東情勢が急激に悪化した6月23日。中東情勢を踏まえた最新の航空事情について記事を執筆したところ、読者から「カタール航空は大丈夫なのか?」「欠航リスクはどの程度高いのか?」という質問を数多くいただくようになりました。

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正直に言うと、私もカタール航空の大ファンとして複雑な気持ちです。これまで当ブログでは、カタール航空のサービスの素晴らしさ、ハマド国際空港の快適性、ドーハ経由のコストパフォーマンスを繰り返し紹介してきました。それだけに「今後も安心して利用できるのか」という疑問は、読者の皆さんと同じように私の心の中にもあります。

そこで今回は、政治的・経済的・航空インフラの三つの観点から、カタール航空とハマド国際空港の将来を冷静に分析してみます。

現状整理:何が起きているのか

アメリカによるイラン核施設攻撃後、イランはカタールの米軍基地への報復攻撃を実行しました。ハマド国際空港は軍事基地ではありませんが、近接するアル・ウデイド空軍基地(約15km)が攻撃対象となったため、安全確保のため一時閉鎖されました。

現在は段階的に運航再開していますが、便数は通常の半分程度に制限されています。特に深刻なのはドーハ経由の乗り継ぎ便で、通常1-2時間の乗り継ぎが最低4時間以上に延長され、一部便では翌日振り替えや欠航も発生しています。

カタール航空という特異な存在

但し、カタール航空を理解する上で重要なのは、同社が「普通の航空会社」ではないということです。カタール政府100%出資の国営企業で、文字通り「国家の翼」として外交戦略と経済政策の中核を担っています。

数字で見ると重要性は明白で、カタールの2023年GDPは約2,380億ドルなのに対し、カタール航空の年間収益は約150億ドル(国家GDPの約6%)。関連産業を含めると、カタール経済の10-15%がカタール航空中心に回っているとされています。

この構図を理解すると、「カタール航空が長期停止する」ことがいかに経済的にハードルの高いことであるかが分かります。それは国家経済の心臓部を止めることに等しいからです。

過去の教訓:2017年外交危機を振り返る

カタール航空が直面した最大の危機は今回が初めてではありません。2017年、サウジアラビアなど4カ国がカタールとの外交関係を断絶し、陸海空の国境を完全封鎖しました。

この時カタール航空は一夜にして中東地域の主要飛行ルートを失いました。ドバイ、リヤド、カイロへの直行便が全て運航停止となり、燃料コストは跳ね上がりました。

しかし、カタール航空はこの危機を乗り切っただけでなく、むしろ強くなって戻ってきました。2017年当時3,200万人だった年間乗客数は、封鎖解除後の2022年には4,500万人超まで成長。政府が数十億ドル規模の緊急支援を実施し、航空会社維持を最優先事項として取り組んだ結果です。

長期閉鎖リスクの現実的評価

とは言え、カタール航空とハマド国際空港の長期凍結が完全にないとは言い切れません。最悪のケースは、イランとアメリカの軍事衝突が全面戦争に発展することです。ペルシャ湾全体が戦場となれば、民間航空機の運航は不可能になります。また、アル・ウデイド空軍基地への継続的攻撃により、空港施設そのものが損傷を受ける可能性も否定できません。

もっとも、現状カタールはイランとアメリカ両国と良好な関係を維持しており、仲介役として機能することが多いです。この外交的立場は、直接的攻撃対象となることを避ける要因として機能する可能性があります。

私の結論:短期リスク、長期安泰

これらを踏まえ、一カタール航空ファンとして、私の見解をまとめると「短期的な運航制限は避けられないが、長期的な閉鎖は現実的ではない」と言ったところ。

この判断の根拠は先述の経済合理性です。カタール航空とハマド国際空港は、カタール経済にとってあまりに重要すぎる存在。政府は必要であれば数百億ドル規模の投資を行ってでも、空港の安全と運航継続を確保するでしょう。

また、国際的圧力も閉鎖阻止に働きます。ハマド国際空港はアジア、ヨーロッパ、アフリカを結ぶ重要ハブで、長期閉鎖は世界的な航空ネットワークに深刻な混乱をもたらすため、国際社会も回避したい事態です。

ただし、過信は禁物。何が起きても対応できるように、中東方面への渡航の際には「戦争特約」つき海外旅行保険に入るなど、リスクヘッジを重ねておく必要があるでしょう。

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まとめ:信頼は変わらない

短期的には確実にリスクがあります。今後数ヶ月は運航の不安定性が続き、突発的キャンセルや大幅遅延の可能性があります。

しかし、長期的視点では、カタール航空の基盤は揺るがないと考えています。国家の全面バックアップ、優秀な経営陣、世界トップクラスの運航技術、そして過去の危機を乗り越えてきた実績があります。

私自身は、状況の安定化を期待し、引き続きカタール航空を利用したいと考えています。

ただし、それまでは慎重に。情報収集を怠らず、柔軟な判断を心がけることが大切です。カタール航空が再び安全に、世界最高峰の航空会社として羽ばたく日を、ファンとして静かに待ちたいと思います。

ドーハ空港乗り継ぎを予定している方は、こちらの記事もご参照ください!

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