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独断で選ぶ「世界三大優しい国」の真実 - 意外なあの国がノミネート?

ぼったくりやねだりが多く「世界三大ウザい国」代表格のエジプト

「世界三大うざい国」という表現は旅行者の間でよく知られているが、その対極として「世界三大優しい国」があるとしたら、どこを思い浮かべるだろうか。多くの人は日本、カナダ、ニュージーランドなどを挙げるかもしれない。しかし実際に世界各国を旅してみると、本当の意味での「優しさ」は意外な場所で出会うことが多い。

注意:この記事は完全に筆者の独断と偏見による選択であり、実際の旅行体験に基づく率直な感想として述べている。地域によって(都市部と地方など)人々の傾向は大きく変わる上、結局のところ、いい人か悪い人かは個人によるということは言うまでもない。本記事は、あくまで一つの考え方として楽しんでいただきたい。

今回基準として取り上げる「優しさ」

確かに日本やカナダ、北欧諸国などは礼儀正しく、サービスも行き届いている。しかし、これらの国々には良くも悪くも「無関心・無干渉」な傾向がある。丁寧だが一歩引いた距離感があり、困った時に積極的に助けてくれるかというと、必ずしもそうとは限らないのではないか。

真の優しさとは、見知らぬ外国人に対しても家族のように接し、損得を考えずに手を差し伸べてくれることではないだろうか。そんな観点で考えると、意外な国々が浮かび上がってくる。

イラン:「危険な国」というイメージを覆す究極のホスピタリティ大国

日本人の多くがイランに対して抱くイメージは「危険」「テロ」「反米」といったネガティブなものだろう。中東情勢や核問題などの報道の影響で、近寄りがたい国という印象を持つ人が大半だと思う。しかし、意外かもしれないが、イランを訪れた多くの旅行者が口を揃えて言うのは「人々の優しさが尋常ではない」ということだ。政治的なイメージとは裏腹に、個人レベルでの親切さは世界随一と言っても過言ではない。

実際の体験談として、現金が底をついて困っていた時のことがある。両替ショップも近くになく困っていると、現地の人が自分のカードを差し出してこう言ってくれた。「これを自由に使っていいよ。後で現金で返してくれれば大丈夫だから」。初対面の外国人に対して、これほどまでの信頼を示してくれる国が他にあるだろうか。

もう一つ印象的だったのは、旅人としてちょっとした迷惑をかけてしまった時のことだ。本来、非ムスリムの観光客は単独では入ってはいけないモスクに、ルールを知らずに朝早く一人で訪れてしまった。今思えば非常に申し訳ないことをしたのだが、そんな時でもスタッフの方々は怒るどころか、朝早い時間にも関わらず急遽近所から英語を話せるスタッフを呼んでくれて、私をモスク内まで丁寧に案内してくれた。その歓待ぶりには本当に感動した。

イラン人の優しさの根底にあるのは「メヘマンナヴァージー(客人をもてなす文化)」だ。客人は神からの贈り物という考え方が根強く、外国人旅行者は特別な存在として扱われる。家に招待され、最高のもてなしを受けることも珍しくない。とにかく「よくしてあげよう、優しくしてあげよう、助けてあげよう」という気持ちが人々の行動の原動力となっている。

中国:「マナーが悪い」というイメージの裏に隠れた人情大国

中国というと、日本では「マナーが悪い」「うるさい」「利己的」といったネガティブなイメージを持つ人が多い。観光地でのマナーの悪さや、ビジネスでの厳しい駆け引きなどが報道されることが多いため、そうした印象が定着している。しかし、意外かもしれないが、実際に困った状況に陥った時の中国人の親切さは驚くべきものがある。確かに一見すると不愛想で、語気も強く、怖い印象を受けることもあるが、その奥には深い人情が隠れている。

空港でフライトイレギュラーがあり困っていた時、空港スタッフとのやりとりに苦戦する私に対し、周りにいた数人の中国人が次々と声をかけてくれた。「どうしたの?力になろうか?」と。言葉の壁があっても、身振り手振りで一生懸命助けようとしてくれる姿に感動した。また観光地では、中国人専用アプリが利用できず、チケット購入に悪戦苦闘しているところを現地の方々に助けて頂くケースも多い。

確かに、日本人のイメージ通り、順番抜かしをする人がいたり、身内と外部の人とで態度がガラリと変わったりする傾向は実際に現地でも見られる。しかし、いざという時に本当に困っている人を見かけると、損得抜きで助けてくれるのが中国人の良いところだ。中国には「客人に優しくする」という深い文化的背景がある。表面上は厳しく見えても、一度仲良くなると家族のように扱ってくれる。14億人もの人口がいれば、当然ながら様々な人がいる。悪い人もいれば、とてつもなく優しい人もいる。メディアで報道されるのは往々にして悪いニュースばかりだが、実際に接してみると人情の厚さに驚かされることが多い。

オマーン知名度は低いが隠れた治安と親切の楽園

オマーンと聞いて、多くの日本人は「どこ?」という反応をするだろう。名前は知っている人でも「中東だから危険なんじゃないか」「イスラム教の国は厳しそう」といったイメージを持つかもしれない。湾岸戦争イラク戦争の影響で、中東全体に対する不安感を抱く人が多いのも無理はない。しかし、意外かもしれないが、オマーンは湾岸諸国の中でも特に穏やかな国として知られ、ここでも異常なほど良い人ばかりに出会う。治安の良さは世界トップクラスで、人々の親切さも格別だ。

現地の人との会話で印象的だったのは、治安の良さについての話だった。「日本は治安の良さに定評がある」という話をしていると、「いやいや、オマーンほど治安が良い国はないよ。車のカギを閉めなくても、財布を外に出していても、全く危険な目に遭わないからね!」という答えが返ってきた。

実際、オマーンでは夜中に一人で歩いても全く問題ない。それどころか、困っていると必ず誰かが助けてくれる。現地でお世話になったガイドの方は、とにかく世話焼きで驚いた私たち客人に対してはもちろんのこと、他の観光客が困っていると、彼らに対しても親切にサポートしてあげる(そのためにツアーの予定がどんどん後ろ倒しになっていったほどだ)。石油に頼りすぎない国づくりを進めているせいか、他の湾岸諸国に対し人々も落ち着いていて、外国人に対しても自然な優しさを示してくれる。

真の優しさとは何か

これらの国々に共通するのは、「表面的な礼儀正しさ」ではなく「人としての温かさ」だ。困っている人を見過ごせない、客人を大切にする、見返りを求めない親切さ─これこそが真の優しさではないだろうか。

ただし、繰り返しになるが、これらはあくまで個人的な体験に基づく印象であり、どの国にも様々な人がいることは言うまでもない。都市部と地方では人々の傾向が大きく異なることも多いし、同じ国の中でも地域によって文化や習慣が違う。イランでも首都テヘランと地方都市では接する人々の雰囲気が違うし、中国でも上海のような国際都市と内陸部の小さな町では全く違う体験をするだろう。

最終的に、いい人か悪い人かは個人の性格や価値観によるものだ。一概に「この国の人は優しい」と決めつけることはできない。しかし、文化的背景や価値観が人々の行動に与える影響は確実にある。イラン、中国、オマーンの人々が示してくれた優しさは、決して偶然ではなく、それぞれの文化に根ざしたものだと考えられる。

旅をする時、私たちはつい先入観や偏見を持ってしまいがちだ。しかし、実際にその土地を訪れ、現地の人々と触れ合ってみると、想像とは全く違う発見がある。今回紹介した国以外に、もしかすると貴方だけの「世界三大優しい国」が見つかるかもしれない。旅行に出かける際は、是非そんな観点で人々との交流を楽しんでみて頂きたい。