ピラミッドとスフィンクス、そして古代エジプトの神秘に魅せられてカイロを訪れた私。遺跡巡りの合間に「夕日を眺めながらビールでも飲めたらいいな」なんて軽く考えていたのですが、実際に現地に着いてみると想像以上に複雑な事情が待っていました。
イスラム教国でのお酒事情って、実際のところどうなの?コンビニで普通に買えるの?ホテルで飲めるの?そんな疑問を抱えながら過ごしたカイロ滞在で体験した、ちょっと笑える(そして勉強になる)お酒にまつわるエピソードをお話しします。
想像と現実のギャップ
カイロに向かう前、私はエジプトについて「イスラム教国とはいえ、そこそこお酒に寛容な国」という印象を持っていました。観光業が盛んだし、外国人向けのサービスも充実しているはず。てっきり滞在先のホテルでビールを注文して、気軽に飲めるものだと思っていました。
ところが、ホテルスタッフさんに「ビールはありますか?」と尋ねたところ、申し訳なさそうに「当ホテルではお酒の提供はしておりません」との回答。え、そうなんだ。まあ、それならコンビニで買ってきて、ホテルのテラスでピラミッドを眺めながら飲めばいいかな、と軽く考えていました。
しかし、ビールを飲む話をした際、フロントスタッフから「テラスでの飲酒は駄目だよ!」と言われてしまいました。持ち込みでもダメなのか!このあたり、ホテルによってルールがまちまちであることを後で知りましたが、最初は正直面食らいました。
コンビニでの意外な出会い
それなら街中のコンビニでビールを買って部屋の中で飲むのはどうだろう、と思って近所の小さな店を何軒か回ってみました。しかし、どの店を見てもビールらしきものは見当たりません。冷蔵庫の中を覗いても、ジュースと水ばかり。
そんな中、ビールを探している様子でとある店の前をうろついていると、店主らしき男性が「ちょっと奥に来なよ」と手招きしてくれました。ついていくと、店の奥で黒いビニール袋に包まれた缶ビールをちらりと見せてくれました。なるほど、表向きは売っていないけれど、実際には内緒で売っている店があるらしいです。
興味本位で「いくらだ?」と聞くと、缶ビール1本で900円とのこと。えっ、高すぎない?日本のコンビニなら200円程度で買えるビールが、なんと900円。しかも怪しげな取引のような雰囲気まで付いてきます(おそらく違法だと思われます)。
実は穴場!The Nile Ritz Carlton
そんな状況を踏まえると、エジプトでお酒を飲むなら市中のバーを利用するのが手っ取り早いかもしれません。
我々は、炎天下の観光に疲れた足で、エジプト博物館からほど近いリッツカールトン・ナイルのラウンジに向かうことに。カイロ市内にはお酒が飲めるバーがいくつかあることは事前に調べていましたが、どこもアッパーな雰囲気で敷居が高そうだったり、夜しか営業していなかったり、逆にアングラな雰囲気が強すぎて取っつきにくそうでした。
そんな時、やはり信頼できるのは国際ブランドのホテル。リッツカールトンなら間違いないとの判断。ただ、リッツのラウンジで飲むとなると一杯2〜3000円は覚悟しなければ、と財布の中身を確認しながら向かいました。
ところが、実際にラウンジでメニューを見てみると、なんとビール1瓶が900円!これには驚きました。あの怪しいコンビニの裏取引と結局同じくらいの値段で、ダウンタウンカイロの一等地という抜群のロケーションで、真昼間からラウンジで飲めるなんて。これは明らかにお得です。
ステラとサッカラ、エジプトビールの魅力
私たちが注文したのは、エジプトの代表的なビールであるステラビールとサッカラビール。どちらも現地の暑い気候にぴったりの爽やかな味わいでした。
ステラビールは、軽やかでクリーンな味わいが特徴的。観光で歩き疲れた体にすっと染み渡ります。後味もすっきりしていて、エジプトの強い日差しの中を歩いた後の渇いた喉には最高の一杯でした。ちなみに、エジプトのステラビールは、日本でよく見かけるベルギーの「ステラ アルトワ」とは全くの別物です。
一方、サッカラビールは少しコクがあり、麦の風味をより感じられます。ステラよりもやや重めの味わいで、ゆっくりと味わいながら飲むのに向いています。ナイル川の景色を眺めながら飲むには、こちらの方が落ち着いて楽しめるかもしれません。
どちらも日本のビールとは異なる独特の味わいがあり、「エジプトでしか飲めない」という特別感もあって、旅の思い出に花を添えてくれました。
リゾート地は別世界
余談ですが、カイロでの苦労とは対照的に、リゾート地では状況が全く違います。後日訪れたシャルム・エル・シェイクでは、お酒を提供しているレストランが普通にあり、ホテルのダイニングやバーでも当たり前のようにアルコールメニューが用意されていました。
特に驚いたのは値段で、リゾートホテルのバーでビール1杯がわずか2ドル(約300円)!カイロのリッツで900円だったことを考えると、同じ国内でこんなに差があるのかと驚かされます。
観光地とリゾート地では、明らかにお酒に対する規制や価格設定が異なります。カイロのような都市部では宗教的配慮や社会的制約が強く、リゾート地では観光客向けサービスが優先されるという構造なのでしょう。
ホテルによる違いを知っておこう
さて、今回の経験で学んだのは、同じエジプト国内でも、ホテルによって酒類提供に関するポリシーが大きく異なるということ。事前に調べていけば、もう少しスムーズだったかもしれません。
どうしてもお酒を楽しみたい旅行者は、ホテル選びの際に「アルコール提供の有無」「飲酒可能エリア」について確認しておくことをお勧めします。同じ料金を払うなら、制約の少ないホテルの方が快適に過ごせるかもしれません。
振り返ってみると、苦労して手に入れた分、カイロでのお酒は格別の味わいがありました。リッツカールトンのラウンジで、ナイル川を眺めながら飲んだステラビールの味は、今でも鮮明に覚えています。制約があるからこそ、その一杯がより特別なものになります。それもまた、エジプト旅行ならではの醍醐味なのかもしれません。
まとめ
カイロでのお酒探しの旅は、最初こそ戸惑いの連続でしたが、振り返ってみると貴重な体験でした。コンビニの裏取引から高級ホテルのラウンジまで、一杯のビールを巡る冒険は、現地の生の姿を教えてくれました。
確かに制約はありますが、だからこそ炎天下を逃れ高級ホテルのロビーラウンジで飲んだステラビールの味は格別でした。次回エジプトを訪れる時は、今回の経験を活かして、もっとスマートにお酒ライフを楽しみたいと思います。
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