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中東の人はちゃんと寝てるの?―祈りと暑さがつくる「夜型×多相性」睡眠スタイルとは

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夜中でも賑わう中東の街、でも朝の礼拝は欠かさない謎

中東の人たちって、なんだか夜遅くまで起きているイメージ、ありませんか?ドバイやリヤドの街を歩くと、夜中でもカフェは賑わい、家族連れが外を歩いていて、まるで夕方かと思うような光景が広がっています。しかも彼らはイスラム教徒として、日の出前には1日の最初の礼拝(ファジュル)を行う習慣があります。

「こんなに夜ふかしして、朝も早く起きるなんて、寝る時間あるの?」そう思った方も多いはず。でも実は、そこには中東ならではの文化や宗教、気候に根ざした"睡眠リズム"の秘密があります。

中東の人は「多相睡眠」でしっかり寝てる

結論から言ってしまうと、中東の人々は私たちが想像する以上にしっかりと睡眠を取っています。ただし、その方法が独特なのです。夜の主睡眠(5時間)、早朝の礼拝後の二度寝(2.5時間)、そして昼寝(30分)を組み合わせて、合計約8時間の睡眠を確保しているのです。

これは「多相睡眠」と呼ばれる睡眠パターンで、一度にまとめて寝る私たちの「単相睡眠」とは根本的に異なります。一見すると睡眠不足に見える中東の人々の生活も、実は理にかなった睡眠戦略だったのです。

なぜこんな睡眠スタイルが生まれたのか

では、なぜこのような独特の睡眠パターンが生まれたのでしょうか。その背景には、気候と文化の両方が深く関わっています。

まず最も大きな要因は暑さです。昼間は40℃を超えるような地域が多いため、人々は自然と涼しくなる夕方以降に行動を集中させます。レストランやカフェは夜中まで営業し、23時を過ぎても屋外のテーブルがほぼ満席なんてことも珍しくありません。

また、家族や親戚とのつながりを大切にする文化も夜型生活を後押ししています。夕食後に家族で団らんしたり、友人とカフェに集まったりすることが多く、夜が"人とつながる時間"として重要な役割を果たしているのです。

多相睡眠を支える宗教的な仕組み

しかし、夜型生活だけでは8時間の睡眠は確保できません。ここで重要な役割を果たすのが、イスラム教の礼拝制度です。

イスラム教徒にとって、1日の中で重要な区切りとなるのが5回の礼拝です。特に最初の礼拝「ファジュル」は夜明け前に行われるため、朝早くに一度起きる必要があります。たとえば夏の時期のカイロでは、ファジュルの時間は朝4時半前後。夜更かしした翌朝にも、いったん目を覚まし、礼拝を行ってから再び眠りにつくのです。

この「早朝に一度起きる→また寝る」という生活パターンが、中東の多くの人々に共通する"多相性睡眠"の土台になっています。

具体的にはどんなスケジュール?

理論はわかったけれど、実際の生活はどうなっているのでしょうか。ここで、中東の都市部に住むオフィスワーカーの典型的な1日を見てみましょう。

  • 4:30 起床してファジュル(朝の礼拝)
  • 5:00 再び就寝(2度寝)
  • 7:30 起床・朝食・出勤準備
  • 9:00~12:30 勤務
  • 12:30 ズフル(正午の礼拝)
  • 13:00~14:00 昼食と短い昼寝(30分)
  • 14:00~16:00 勤務再開
  • 16:00 アスル(午後の礼拝)
  • 16:30~19:00 勤務再開・退勤
  • 19:00~21:00 夕食・マグリブ(夕方の礼拝)・家族時間
  • 21:30 イシャー(夜の礼拝)
  • 22:00~23:30 友人とのカフェタイムや自由時間
  • 23:30 就寝

※礼拝の時刻はあくまで目安。実際には日によって細かく変わってきます。

このスケジュールを見ると、睡眠は夜の主睡眠(5時間)、早朝の再睡眠(2.5時間)、昼寝(0.5時間)の3つに分割され、合計約8時間の睡眠を確保しています。

昼寝が持つ特別な意味

このスケジュールで特に重要なのが昼寝です。これは単なる疲労回復ではなく、厳しい暑さと夜型生活を両立させるための重要な戦略なのです。多くの職場では昼休みに短い仮眠を取ることが一般的で、この昼寝があることで夜遅くまで活動するエネルギーを確保できるのです。

でも現実はそう簡単じゃない

ここまで読むと「中東の睡眠システムは完璧だ」と思われるかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。現代化の波は中東の睡眠文化にも大きな影響を与えています。

特に都市部では、夜更かし文化が極端になりすぎて、深夜2~3時までSNSやテレビを見て寝不足という若者も増えています。また、国際的な企業で働く人々は、グローバルなビジネス時間に合わせて「朝型リズム」を強いられ、礼拝の時間ともぶつかって睡眠が犠牲になりがちです。

年に一度の大変化:ラマダン期間

通常でも複雑な中東の睡眠パターンですが、年に一度、これがさらに劇的に変化する時期があります。それがイスラム暦断食月ラマダン」です。

日中の飲食が禁止されるため、多くの人が日没後の食事と活動の後、深夜に寝て、夜明け前に再び起きて食事を取り、礼拝をしてから再び就寝するという、より細切れな睡眠スタイルになります。この時期は社会全体が「夜型化」し、昼間は静かで、夜が最も活気づく時間帯になります。

旅行者として体験するには

これらの知識を踏まえて、実際に中東を訪れる際はどのようなことを意識すれば良いのでしょうか。

夜遅くまで営業している店や施設を楽しみ、朝は早朝の礼拝の美しいアザーン(呼びかけ)を聞き、昼間は無理をせずに休憩を取る。このリズムに合わせることで、現地の人々の生活をより身近に感じることができるでしょう。

まとめ-中東の人は「しっかり寝ている」が「分割型」

結論として、中東の人々は文化や宗教に合わせて分割型の睡眠(多相性睡眠)でしっかり睡眠を確保しています。夜ふかし文化が強い一方で、朝の礼拝の後の再睡眠、昼寝などを上手に組み合わせて、意外とちゃんと寝ているのです。

これは、厳しい環境と宗教的制約の中で何世紀もかけて培われてきた、実践的な生活の知恵なのです。旅先で中東の夜のにぎわいを見たとき、そして朝の静けさの中で聞こえるアザーンを耳にしたとき、その背後にある人々の1日のリズムを少しでも感じてもらえたら、きっと旅がもっと深く、味わい深いものになるはずです。