エジプト旅行で限られた時間の中、「とにかく色々なエジプト料理を食べたい!」という欲張りな願いを叶えてくれる場所がギザにあります。ピラミッド観光の後に徒歩で立ち寄れる便利な立地にある「Restaurant Pyramids」は、豊富なメニューで一度の食事で効率よく本格エジプト料理を堪能できる、まさに旅行者の強い味方です。今回は、実際に訪問した体験をもとにレポートをお届けします。
現地の人も太鼓判を押す、期待以上の名店

事前にRestaurant Pyramidsを調べて訪問を検討していた私たち。店の前で外観を眺めながら中の様子を伺っていると、通りがかった現地のおじさんが「ここのレストランはこのあたりでベストだよ!」と豪語して教えてくれました。
もともと候補に挙げていた店でしたが、現地の人からの太鼓判で確信に変わります。観光地にありがちな「観光客向けの高額店」かと身構えていましたが、確かにイスラミックカイロなどの下町エリアと比べると多少高めながら、まだ良心的な価格設定のようで安心しました。

店内に足を踏み入れると、古代エジプトを彷彿とさせる装飾が施された内装に圧倒されます。壁には象形文字のようなデザインが描かれ、照明も少し暗めに統一されていたり、まさにピラミッド観光の余韻に浸りながら食事ができる雰囲気。地元民だけでなく観光客でも賑わっており、多言語でのメニューも用意されているあたり、観光地慣れした運営が感じられます。
しかし何より印象的だったのは、厨房から漂ってくる香辛料の香りです。クミン、コリアンダー、そして何種類もの香辛料が混ざり合った、まさに「本場エジプト」の香り。この香りだけで、期待値は一気に跳ね上がりました。
一軒で完結!効率重視の旅行者には最適な豊富なメニュー

Restaurant Pyramidsの最大の魅力は、なんといってもその充実したメニューです。ハマーム・マハシー(鳩料理)、コフタ、モロヘイヤスープ、ターヒーナなど、エジプト料理の定番がずらりと揃っています。
我々のように「限られた日数の中、エジプト料理をとにかく色々食べたい」と考える旅行者には、まさに救世主のような存在。通常であれば複数の専門店を回らなければ味わえない多彩な料理を、一軒で済ませられるのは大きなメリットです。移動時間も節約できて、効率よく食べ歩きができます。
メニューを眺めていると、見慣れない料理名がずらりと並んでいて、「これは何だろう?」「あれも気になる」と選ぶのに苦労するほど。結局、代表的な料理を一通り注文してしまいました。「食べ過ぎかな?」という不安もありましたが、せっかくエジプトまで来たのだから、後悔のないよう攻めの姿勢で臨むことに。
実食レポート
注文から約15分。特に昼時はごった返しており、料理がなかなか来ないこともあるようですが、これは決して手抜きではなく、丁寧に調理しているからこそ。エジプトならではの「ゆったり時間」を楽しむつもりで、のんびり待つのが正解です。
ハマーム・マハシー(鳩料理)

最初に運ばれてきたのが、かねてから食べてみたかった鳩料理、ハマーム・マハシーでした。大きな皿に鎮座する小ぶりな鳩の丸焼きを見た瞬間、思わず「おおっ!」と声が出てしまいます。これがかの有名なエジプトの鳩料理か、と感慨深い気持ちになりました。
見た目は確かにインパクト抜群で、初見では「これをどうやって食べるんだ?」と戸惑います。恐る恐るナイフで切り分けてみると、確かに可食部は思っていたより少なめ。鳩のサイズを考えれば当然ですが、やはり肉だけを期待していると物足りなく感じるかもしれません。
しかし、驚くべきはその中に詰められたライスです!鳩の旨味をたっぷり吸い込んで、もはや別次元の美味しさに昇華されています。
一粒一粒に鳩の濃厚な味わいが染み込んでいて、正直このライスだけでご飯3杯はいけそうな勢いです。鳩のジューシーな肉汁が米に完全に浸透しており、口に含むと旨味が口腔全体に広がります。これまで食べたどんなピラフや炊き込みご飯とも違う、まさに「鳩エキス炊き込みご飯」とでも言うべき独特の味わいです。
鳩肉自体は少し野生的な風味がありますが、決してクセが強すぎるわけではありません。鶏肉とウサギ肉の中間のような、上品でありながらも深みのある味わい。日本では絶対に味わえない、まさに「エジプトでしか食べられない体験」だと実感しました。食べ終わった後も、その独特の余韻が口の中に残り続けます。
コフタ(エジプト風ハンバーグ)

続いて登場したコフタを一口食べた瞬間、「ああ、これが本物か」と膝を打ちました。東京のエジプト料理店などで食べる「なんちゃってコフタ」とは、もう次元が違います。まず香りからして別格。クミン、コリアンダー、そして何種類もの香辛料が絶妙にブレンドされた、複雑で奥深い香りが鼻腔をくすぐります。
見た目は細長いハンバーグのようですが、食感は全く異なります。日本のハンバーグのようなふんわり感は一切なく、むしろぎゅっと詰まった密度の高い食感。ちょっとチキンティッカっぽい。しかしパサつきは一切なく、しっとりとしながらも肉の繊維がしっかり感じられる絶妙な仕上がりです。
噛むたびに肉汁があふれ出し、その肉汁にはスパイスの複雑な風味が凝縮されています。スパイスは確かに効いているのに、辛さは全くありません。むしろ温かみのある風味で、日本人の舌にもすんなり受け入れられる優しい味付け。この絶妙なスパイス使いこそが、本場の技術なのでしょう。
一緒に出てきたライスとの相性も抜群です。コフタの肉汁がライスに染み込んで、これまた絶品。しかしここで気づいたのが、このライス、どこかで食べた味だということ。そう、先ほどのハマーム・マハシーの中に詰められていたライスと全く同じものではないですか!
思わず「え、これ鳩の中のと同じやつじゃん!」とツッコミを入れてしまいました。
冷静に食べ比べてみると、確かにベースは同じ。しかし鳩の体内で長時間蒸されたものの方が、より深い旨味を纏っているのは事実でした。
モロヘイヤ

そして登場したのが、前回記事でも紹介したモロヘイヤスープです。ココットに入った鮮やかな緑色の液体は、まさに以前私が書いた記事で紹介した通り「あおさ汁」のような見た目。よく見ると無数の細かい葉の粒が浮いており、スプーンですくうと確かにとろりとした粘り気があります。
一口すすった瞬間、その優しさに思わずほっとしました。鶏ガラベースの澄んだスープに、モロヘイヤの独特な風味がふわりと広がります。塩分、ニンニク、コリアンダーのシンプルな味付けなのに、なぜこんなに奥深い味わいになるのでしょうか。化学調味料などは一切使っていないであろう、自然な旨味だけで構成された滋味深いスープです。
しかし最も感動したのは、その「体への染み渡り方」でした。ピラミッド観光で2時間近く炎天下を歩き回り、汗をかきまくった後だったからか、この素朴だがしっかりとした塩味が、まさに体が求めていた味そのものだったのです。一口飲むごとに、疲れが取れていくような感覚。細胞レベルで「これが欲しかった!」と叫んでいるような感じでした。
モロヘイヤ特有のぬめり成分が、胃腸にも優しく作用するのか、飲み終わった後は体の芯から温まった感覚があります。これがクレオパトラも愛したスープかと思うと、感慨深いものがあります。古代から現代まで愛され続ける理由が、確かに理解できました。
オルゾスープ

そしてもう一品、忘れてはいけないのがオルゾスープ(正式名称不明)です。オルゾという小さなパスタが、見た目は本当に米粒のようで、初見では「またライスか」と思ってしまいましたが、よく見ると微妙に形が違います。実際に食べてみると、確かにパスタ特有の食感があり、米とは明らかに異なる歯ごたえでした。
オルゾ(Orzo)は米粒状の小さなパスタで、イタリア語で「大麦」という意味ですが、実際は小麦粉で作られています。中東地域でもよく使われている食材で、澄んだスープにこのオルゾが浮いており、シンプルながら上品な味わい。
日本ではあまり馴染みのないパスタですが、一度食べるとその優しい食感に魅了されます。モロヘイヤスープとはまた異なる塩味の強い風味が疲れた体にガツンと染みます。あくまで付け合せ的なポジションで提供されたのですが、個人的には一番好きな味でした。
ターヒーナ

パンと一緒に出てきたターヒーナも、期待を裏切らない一品で、同行者からは大好評でした。見た目は地味な黄土色のペーストですが、一口舐めてみると、ゴマの濃厚な風味が口いっぱいに広がります。日本で食べるゴマペーストとは明らかに違う、深いコクと香ばしさがあります。
フムスよりもさらに濃厚で、ナッツのような香ばしさと微かな苦味が絶妙なバランス。エジプトの伝統的なパンにたっぷりつけて食べると、これだけでも十分満足できる一品です。シンプルながら奥深い味わいに、「脇役」として軽視していた自分を反省しました。
まとめ:効率重視の旅行者には間違いなくおすすめ
Restaurant Pyramidsは、限られた旅行日程の中で効率よく本格エジプト料理を楽しみたい旅行者にとって、まさに理想的なレストランでした。ピラミッド観光とセットで楽しめる抜群の立地、一度で複数の名物料理を味わえる豊富なメニュー、そして何より現地の人も認める確かな味。
「一度でエジプト料理を総なめしたい」という欲張りな願いを持つ旅行者なら、Restaurant Pyramidsは間違いなく期待を裏切らない選択肢です。観光地価格ではありますが、この内容であれば十分納得できる価格設定だと感じました。
唯一の注意点は、昼時の混雑による提供待ち時間の長さですが、ピラミッド観光で疲れた体を休めながら、ゆったりとエジプト時間を楽しむと考えれば、それも旅の醍醐味の一つ。美味しい料理をじっくり堪能するため、時間には十分余裕を持って訪れることをお忘れなく!