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【交流編】中国寝台列車旅に挑戦レポート④ 朝の目覚めから敦煌到着まで 旅人との出会いと別れ

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前回の乗車編では、期待していた賑やかな酒盛りとは裏腹に、他の乗客は既に就寝モード。一人静かに星空を眺めながら晩酌を楽しみ、その後は耳栓をして翌朝7時まで爆睡することができました。思っていた以上に快適な睡眠でしたが、果たして朝は交流のチャンスがあるのだろうか。

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朝日とともに目覚める車内

翌朝、外の光とともに自然に起床しました。時刻は7時前くらい。


気づいたら既に窓の外は明るくなりつつあります。方角的には日の出は見えない北向きの窓ですが、おそらくそろそろ日昇だろうと外の景色を眺めていました。

そんなふうに外の景色を眺めていたら、相部屋の乗客たちも外の景色に反応し、みんなで窓を覗く感じに。私の上の段で寝ていたおじさんは敦煌までは乗車せず途中駅で降車していきましたが、朝日とともに旅のワクワクをシェアする旅の一体感を味わいました。

コンセントハブが繋いだ交流

ここで、どうやらこの個室には電源コンセントが1つしかないことが判明しました。スマホ社会の現代中国で、充電問題は死活問題です。みんなが同時にスマホの残量を気にし始め、誰から充電するか少し気まずい空気が流れます。

瓜州手前あたりの巨大な風力発電地帯

そこで私が持ってきていたコンセントハブを取り出すと、同乗者たちの目が一気に輝きました。3人で仲良く電源をシェア。これがきっかけで会話が弾みます。二人組は、中国国内とは言え最南部の三亜から飛行機で西寧に来て、私と同じくそこから列車で来たとのこと。

三亜と聞いて、私も興味津々でした。海南のビーチの話、現地の食べ物の話。色々話が盛り上がります。私が日本人だと伝えると、少し驚いた様子でした。中国で旅をしていると、決まって韓国人かと聞かれます。日本人はまだビザ解禁になったばかり。まだまだ珍しいのでしょう。

食堂車での朝の風景

さて、朝飯でも物色しに食堂車へと行ってみることにしました。車両を繋ぐ連結部分を通るたびに、振動が足元から伝わってきます。

食堂車では若者たちが何やら弁当のようなものを食べています。作りたてのホカホカ料理といった感じではなく、どこか冷めた感じの容器に入った炒飯のようなもの。あまり食欲をそそる見た目ではありません。

しかし、ちょうど列車が途中のローカル駅・龙口坝駅前に停まっており、旅情を感じられる時間です。少しばかり席をお借りしてチルアウト。

なお、朝っぱらから時折大声が車両内に響き渡るから何だと思ったら、どうやら車内販売のお姉さんだったらしいです。ミネラルウォーター、コーラ、各種おつまみ、そしてカップ麺と、ワゴンには様々な商品が並んでいます。これを利用してベッドに座って食事をしている人が大半のようでした。

温水器を活用

私は、持ってきた紙コップに、タブレット状の茶葉を入れて、温水器でお湯を注ぎます。温水器のお湯は少し温めですが、朝イチのカフェインを取るには十分です。茶葉がゆっくりと開いていく様子を眺めながら、プーアル茶の香りが立ち上ってきます。

カップを両手で包み込み、車窓を眺めます。相変わらず荒涼とした風景が続いていますが、朝の光の中では昨晩とはまた違った表情を見せています。

朝ごはんを食べようと、今度は持参した蘭州ラーメンカップヌードルにお湯を注ぎます。3分待つ間、個室へと戻っていると、珍しく白人老夫婦の姿を見つけました。この列車で外国人を見たのは初めてです。

タフなオーストラリア人夫婦との出会い

思い切って声をかけてみると、どうやら我々3人がこの列車の唯一の外国人らしいと分かり、一気に盛り上がることに。彼らはオーストラリアからやってきた夫婦で、なんと20年前にもカシュガルへ旅行したことがあるのだとか。

今回も西安から20時間の列車旅で敦煌へ、そしてその後も西方方面へ列車旅を続けるとのこと。70代と思われる二人が、そんな過酷な旅程をこなしているなんて、何とタフなのでしょう。

この列車のチケットは、偶然空き席が出たタイミングで抑えることができたそうです。彼らの軟臥の個室にお邪魔し、しばらく談笑。スマホを取り出して、DiDiの使い方や中国のキャッシュレス決済について説明してくれる様子は、まさにハイテクじいちゃんばあちゃん。恐るべしです。

敦煌の何処かでまたばったり会うかもしれないね、なんて話しながら別れを告げました。

談笑に夢中になっていたら、蘭州ラーメンはすっかり伸びました

硬臥車両の朝の活気

名残惜しくも個室へ帰る前に、ちらりと硬臥の朝の様子を覗いてみました。硬臥の車両では、通路にまで人があふれ出ています。3段ベッドの中段に座って窓の外を眺める人、下段に腰掛けてカップ麺をすする人、通路の折りたたみ椅子に座ってスマホをいじる人。

まさに中国鉄道旅らしい活気ある朝の風景です。人々の話し声や笑い声が車両内に響き渡り、昨夜の静けさとは対照的な賑やかさです。

セキュリティや体力温存にそこまで興味がなく、中国語でのコミュ力に自信がある方は、あえて硬臥を選んでも楽しいかもしれません。ベッドの質自体は軟臥とそこまで変わらないように見えましたし、何より人との距離が近い分、交流のチャンスは圧倒的に多そうです。

ちなみに軟臥の車両も、通路には折りたたみできる座席がちょこんちょこんとあります。皆、寝転びながらゆったりしているからか、こちらはあまり人がいませんが、電源コンセントがあるためスマホの充電をしに座っている人もちらほら見かけました。

オアシスへの接近

個室に戻りしばらく車窓を眺めていると、だだっ広い礫砂漠だった風景にだんだんと緑が現れてきました。最初はポツポツと点在する灌木から始まり、やがて畑らしきものが見え始めます。そして綿花畑も。真っ白な綿の塊が、朝日を浴びて輝いています。

だんだんとオアシス都市に近づいてきた感じです。車窓に映る風景が、荒涼とした砂漠から生命力あふれる緑へと変化していく様子は、まさにシルクロードの旅そのもの。何千年も前の隊商たちも、この同じ景色の変化に胸を躍らせたのでしょう。

敦煌駅到着

そして敦煌駅に到着しました。相席のグループに別れを告げます。荷物を入念にチェックして、忘れ物がないか確認。10時間を共にした車両を、少し名残惜しい気持ちで後にします。

ちらりと硬臥シートも覗いてみました。最上段は外の景色が全然見えないつくりになっていますね。

プラットフォームに降り立つと、乾燥した空気が肌に当たりました。西寧とはまた違う、砂漠のオアシスならではの空気感です。

敦煌駅は比較的新しくできた駅で、莫高窟や市街地に近いとても便利な場所に立地しています。しかし、駅デザインは少し特殊でした。特に中国の鉄道駅名物のあの赤い鉄道名のサイン、あの独特のフォントのものがありません。代わりに、金色の煌々としたフォントで駅名が掲げられています。

シルクロードの玄関口にふさわしい、異国情緒あふれるデザインです。ここから敦煌での旅の始まりです。

まとめ:予想外の展開と素晴らしい出会い

4回にわたってお届けした中国寝台列車旅レポート、いかがでしたでしょうか。

想像以上の激戦から始まった列車旅。月光を浴びながらの晩酌や、旅人同士の一期一会の出会い。飛行機では味わえない、陸路ならではの旅情がそこにはありました。中国を旅する機会があれば、ぜひ一度、寝台列車という選択肢を検討してみてください。きっと忘れられない思い出になるはずです。

次の目的地は、敦煌の街。莫高窟仏教美術、鳴沙山の砂漠、月牙泉のオアシス。また別の記事で、敦煌の滞在レポートを執筆させていただきます。

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