
2024年11月、ようやく再開された中国へのビザ免除措置。しかも滞在期間は15日から30日へと倍増した。これまでのトランジット特例では主要都市の滞在が中心だったが、30日あれば雲南の山奥や甘粛省のシルクロード、内蒙古の草原まで足を延ばせる。ディープな中国を味わいたい旅行好きには朗報だった。
ところが、この制度には見過ごせない「期限」がある。2025年12月31日まで。つまり、もともと期限付きの暫定措置として再開されたものなのだ。2025年10月に高市早苗氏が自民党総裁に選出されたことで中国側の反応が注目を集めているが、それ以前から延長されるかどうかは不透明だった。
果たして2026年以降、このビザ免除は続くのか。それとも再び停止されるのか。旅行を計画している人間として、知っておくべき現実を整理してみた。
※【続報】11月4日アップデート!:晴れて、ビザ免除が2026年末まで延長されることが決定しました!制度詳細については、下記の続報記事をご確認ください。
期限付きビザ免除
現在、日本人は30日間ビザなしで中国に滞在できる。観光はもちろん、商用、親族訪問、通過目的での渡航が対象だ。以前の15日から倍増したことで、地方都市を周遊するような旅程も組みやすくなった。
中国側は、この措置を2024年11月30日から2025年12月31日までの期間限定として設定した。延長するかどうかは、おそらく日中関係全体の状況を見ながら判断するつもりなのだろう。高市新総裁の誕生は、その判断材料の一つに過ぎない。
中国メディアは新総裁の結果について関心を示しているが、問題は、もともと期限が設定されていたという事実だ。つまり中国側は最初から「様子を見る」スタンスだったということになる。
2026年以降、考えられる3つのシナリオ
さて、免除期限後に考え得るシナリオについて整理しよう。
シナリオ1:延長・恒久化
経済的実利を優先し、観光・ビジネス交流促進のため措置を継続するパターン。日本人観光客は中国にとって重要な収入源であり、完全に締め出すメリットは少ない。ただし期限付きで再開した経緯を考えると、すんなり恒久化する可能性は高くない。
シナリオ2:条件付き短期延長
半年から1年単位で延長を繰り返すパターン。最も現実的なシナリオだが、旅行者にとっては不安定さが増す。半年先の計画すら立てづらくなるだろう。
シナリオ3:打ち切り・再停止
措置を再び停止するパターン。過去にも停止された経緯があるため、可能性としては否定できない。
もしビザ免除が終わったら?
仮にビザ免除が終了しても、トランジット特例は残る可能性が高い。これは二国間の政治関係というより、国際ハブとしての競争力向上を目的とした経済政策だからだ。実際、日本向けビザ免除が停止されていた期間中も、この制度は継続していた。
従来は72時間または144時間の滞在が認められていたが、2024年12月17日からは240時間(10日間)に拡大された。ただし、どこでも自由に滞在できるわけではない。利用できる出入国地点と滞在可能エリアは限定されている。
主な対象都市は、北京・天津・河北省、上海・江蘇省・浙江省、広東省、成都・重慶、遼寧省、陝西省など。「東京→上海→バンコク」のような第三国へ抜けるルートなら利用できるが、「東京→上海→東京」は不可。純粋な中国旅行というより、他国への旅の経由地として立ち寄る形になる。
細かいルールは、下記の記事で詳しく解説しているので、渡航予定のある方はしっかり読んでいただきたい。
なお、トランジット特例を利用せず中国旅行をしようと思うと通常の観光ビザ(Lビザ)を取得する必要が生じるだろう。東京・名古屋・大阪の中国ビザ申請サービスセンター、または各地の総領事館で申請できるが、それなりの手間がかかる。
申請には往復航空券やホテルの予約確認書、在職証明書など複数の書類が必要で、申請から取得まで通常4営業日かかる。費用はシングルビザで約8,400円、サービス料を含めると1万円程度。郵送対応がないため、地方在住者は直接申請センターや総領事館に出向く必要がある点も面倒だ。
つまり、思い立ったらすぐ行けるビザ免除の手軽さとは比べものにならない。
個人的な見解:強い期待はできない

正直に言えば、延長してほしい。中国は広大で、ディープな中国を味わうには30日という自由さが不可欠だ。
だが現実を見れば、延長への期待は薄い。中国側がもともと期限付きで再開したという事実が、すべてを物語っている。様子見のつもりなのだろう。経済的メリットはあっても、延長するかどうかは慎重に判断するはずだ。
確実にビザなしで行けるのは2025年末まで。2026年以降どうなるかは誰にもわからないが、少なくとも今より便利になる可能性は低い。
ビザ免除の延長を願いつつも期待せず、今できることをする。それが旅行者としての現実的な判断だと思う。2025年末までに、できるだけ多くの中国を見ておくべきだろう。
まとめ:2025年が最後のチャンスかもしれない
中国ビザ免除措置は2025年12月31日まで。延長の可能性はあるが、期限付きで再開された経緯を考えれば楽観視はできない。仮に終了しても、トランジット特例(240時間)や通常ビザ取得という手段は残るが、手軽さでは今の30日ビザ免除には及ばない。
確実なのは、今ならビザなしで自由に中国を旅できるということ。地方の奥深くまで、思い立ったらすぐに行ける。この自由を活かすなら、今しかない。
渡航前には中国国家移民管理局や在日中国大使館で最新情報を必ず確認すること。制度は流動的だが、だからこそ情報収集を怠らず、柔軟に対応することが大切だ。
※【続報】11月4日アップデート!:晴れて、ビザ免除が2026年末まで延長されることが決定しました!制度詳細については、下記の続報記事をご確認ください。
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