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【チュニジア】サハラ砂漠の秘境へ!Ksar Ghilaneクワッドバイク・ツアー体験記①【出発・ノマド編】

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チュニジア南部を旅していると、必ず耳にする場所がある。それが「Ksar Ghilane(クサールギレン)」だ。

映画『イングリッシュ・ペイシェント』のロケ地としても知られるこの場所は、多くの旅行者が「本物の砂漠体験」を求めて訪れる聖地のような存在。今回は実際にクワッドバイクツアーに参加してきたので、その魅力的すぎる体験をレポートしたい。

Ksar Ghilaneとは?サハラ砂漠に浮かぶ奇跡のオアシス

Ksar Ghilane(クサールギレン)は、チュニジア南部のサハラ砂漠にぽつんと存在するオアシスの町だ。「Ksar」はアラビア語で城砦都市を意味し、古代から隊商路の重要な拠点として栄えてきた歴史がある。

現在も湧き続ける天然温泉があり、周囲には古代の城砦遺跡「Old Ksar Ghilane」が風化しながらも威厳を保っている。まさに砂漠のオアシスという言葉がぴったりの場所で、文明から隔絶されたこの地でしか味わえない特別な体験がそこにはある。何世紀もの間、砂漠を旅する隊商たちの生命線として機能してきたこの場所は、今でも訪れる人々に深い感動を与え続けている。

クワッドバイクツアーを利用


サハラ砂漠を見に行こう」と決めた私たちは、クワッドバイク(バギー)ツアーを選択。予約はWhatsApp経由で、驚くほどスムーズだった。南チュニジアでは英語が通じないことが多いが、こちらのガイドさんは英語ペラペラで安心。

料金は一人35ユーロ。決して安くはないが、本物のサハラ砂漠を駆け抜ける体験と考えれば、むしろ安いくらいかもしれない。

当日集合すると、なんと私たち2名に対してガイド1名がつくプライベートツアーだった。本来はサンセットツアーが人気らしく、オレンジに染まる砂丘を眺めながらのツアーは確かに魅力的だ。しかし私たちは後の予定があったため、特別に早い時間にアレンジしてもらった。

ツアールートは、クサールギレンオアシス内のベースを出発し、まず砂漠で暮らすノマドの家族を訪ね、彼らの生活を支える井戸を見学し、最後にOld Ksar Ghilaneの遺跡を探訪するという、まさに砂漠の全てを体感できるコース。

さらっと使い方レクチャーを受ける。運転免許は不要な模様。

ついに砂漠の世界へ

「これがないと砂が目に入ってデザートアイになるから気をつけて」

ガイドさんにそう言われてゴーグルを装着する瞬間、ついに本格的な砂漠の冒険が始まるのだという実感が湧いてくる。使い方の説明を受け、私たち2名とガイドさん1名の計3台のクワッドで、ベースを後にした。

オアシスのダートロードを進んでいく。基本的には原付バイクと同じような動作だが、でこぼこの砂漠路となるとまるで別物。砂の抵抗でハンドルを取られ、思った方向に進まない。かなりのバランス感覚と体幹が必要で、思った以上にハードだった。

出発してしばらくすると、同行者がクワッドに四苦八苦し始めた。砂漠の砂は想像以上に深く、タイヤが埋まってしまう。思うように進まず、みるみる遅れをとっていく。エンジンを吹かせば吹かすほど砂に埋まり、エンジン音だけが空虚に砂漠に響く。

周りを見渡せば360度砂漠。文明の痕跡は一切ない。この瞬間、私たちは完全にサハラ砂漠の中にいるのだということを痛感した。

このままでは日が暮れる...そう判断したガイドさんが、なんと自分のクワッドを砂漠のど真ん中に乗り捨てて、同行者のクワッドに飛び乗った。瞬間、操縦がガイドさんに委ねられると、さっきまでの苦戦が嘘のようにスイスイと進み始める。さすが砂漠を知り尽くしたプロの判断だった。

ノマドの暮らしに触れる

しばらく走ると、砂漠の荒れ地のど真ん中で信じられない光景に出会った。ヤギの牧畜現場だ。黒や茶色、そして白いヤギたち、さらにはヤギの子供たちが私たちクワッドに興味深そうに近づいてくる。

「べぇぇぇ、べぇぇぇ」

その鳴き声が砂漠の静寂を破る。何もないと思っていた砂漠に、こんなにも生命が溢れているとは。ヤギたちの瞳は澄んでいて、厳しい砂漠環境に適応した強い生命力を感じさせる。

ノマドファミリーとともに

ノマドファミリーがちょうどヤギに水を与えているところだった。彼らの肌は砂漠の太陽に焼かれて深い褐色に染まり、目元には砂埃から身を守るためか深いシワが刻まれている。それでも彼らの表情は穏やかで、この過酷な環境を受け入れて生きることの強さを物語っていた。

「この水、飲めるの〜?」

軽いノリで顔を近づけるフリをしたら、ガイドさんが血相を変えて「やめろやめろ!」と制止。冗談のつもりだったが、ここは都市部ではない。生きるか死ぬかの砂漠で、汚い水を安易に飲むことは文字通り生死に関わる問題なのだ。

井戸での水汲み体験

さらに奥へ進む。砂漠の中には道路標識も建物も、一切の人工物がない。ただ砂と空だけの世界を、ガイドさんは迷うことなく進んでいく。GPSもない時代、彼らの祖先はどうやってこの広大な砂漠で道を見つけていたのだろうか。星座か、砂丘の形か、それとも風の向きか。そんなことを考えているうちに、また別のノマドの拠点に到着した。

砂漠の中にぽつんとある井戸。直径1メートルほどの穴が、地面に口を開けている。覗き込むと暗闇の向こうに水面が光って見える。こんな乾燥した場所でも地下には水脈が流れているのだ。クサールギレンオアシスの地下水脈の力は想像以上に広範囲に及んでいるらしい。

「君もやってみろ」

ガイドさんに促され、井戸に垂れ下がったロープを握る。手作りの滑車を使って、ポリバケツを井戸の底まで下ろし、再び引き上げる。想像していたより遥かに重い。水の重量もそうだが、この深さから引き上げる作業そのものが重労働だった。

腕の筋肉がパンパンになりながらも、なんとか水を汲み上げる。これを毎日、何度も繰り返すノマドたちの体力には本当に頭が下がる。汲み上げた水は透明で、砂漠の厳しい環境にも関わらず清潔に保たれていた。

汲み上げた水を足元の木製の器に注ぎ込むと、待っていたヤギたちが「べぇべぇ」と大合唱しながらやってきた。喉の渇きを潤そうと必死に水を飲む姿は、生きることの根本的な欲求を思い起こさせる。

さらに、はるか地平線の向こうから聞こえてくる「べぇべぇ」という声。小さな点のようにしか見えなかったヤギたちが、水の気配を察して列をなして水飲み場に向かってくる光景だった。砂漠の静寂の中、この生命の営みだけが動いている。まるで何千年も前から変わらない、砂漠の永遠の光景を見ているようだった。

第1回まとめ:砂漠で生きる智恵に触れて

井戸での水汲み体験を終えた時点で、既にこのツアーは期待を大きく上回る体験となっていた。ノマドたちの暮らしに触れ、砂漠という厳しい環境の中でも人と動物が共存して生きている現実を目の当たりにした。

まだツアーは半分も終わっていないが、既に35ユーロの価値は十分に感じられる。この後待っているOld Ksarの遺跡探訪と、砂丘での爽快体験への期待が高まる。

【ショップ情報】

  • 料金: 35ユーロ/人(時期や内容によって変更の可能性有り)
  • 予約方法: WhatsApp(+21625115277)
  • 所要時間: 約90分
  • 言語: 英語対応可