定番ツアーはもう飽きた?ローカル旅行情報発信サイト「コスパトラベル」

パッケージツアーやガイドブックに頼った旅行に飽きた大の旅行好きの方々向けに、ローカル&コスパの良い旅行情報を集めたポータルサイト

プロヴァンス〜コートダジュール鉄道旅完全ガイド - 予約必要性や席配置、実際の乗車体験についてレポート

記事内にはスポンサーリンクが含まれる場合があります。

紺碧の地中海を眺める南仏鉄道旅をご紹介

フランス南部の美しい海岸線を鉄道で巡る旅は、ヨーロッパ鉄道旅行の中でも特に人気が高い。今回、実際にマルセイユからニースを経由してマントンまでの路線に乗車してきたので、その魅力と実用的なアドバイスをお届けしよう。

ルート概要:地中海の宝石を巡る鉄道の旅

f:id:ymdxd:20250927162839j:image

今回の旅程は、マルセイユ〜ニース、そしてニース〜マントンという、まさにコートダジュールのハイライトを巡るルート。この路線は地中海沿岸を走る区間が多く、車窓からの景色は圧巻の一言に尽きる。

特にマルセイユからニースにかけての海岸線は、青い地中海と白い砂浜、そして赤い屋根の家々が織りなす絶景が連続する。まさに「これぞ南仏!」という風景を存分に楽しめる区間だ。

列車選びの極意:鈍行こそが最高の選択

普通列車の利用がおすすめ

この区間には有料特急TGVやIntercitésなどの有料特急も運行しているが、正直なところあまりおすすめしない。理由は単純で、所要時間がそれほど変わらない割に料金が高いからだ。

マルセイユ〜ニース間で比較すると:

- 鈍行(TER): 約2時間45分、20-30ユーロ程度

- 有料特急: 約2時間15分、50-70ユーロ程度

たった30分程度の短縮のために倍以上の料金を払うのは、正直もったいない。しかも鈍行なら座席指定の必要がないため、当日でも気軽に乗れるのが大きなメリットだ。

そもそもこの路線の醍醐味は、美しい海岸線をのんびり眺めることにある。急いで目的地に着いても、車窓の絶景を見逃してしまっては本末転倒だ。実際に鈍行に乗ってみると、適度なスピードで海沿いを走るため、写真撮影にも最適。特急だとあっという間に過ぎ去ってしまう絶景ポイントも、鈍行なら存分に堪能できる。

予約の必要性

普通列車を利用するとなると、原則チケットの事前予約は不要。しかし、実際には駅の券売機を使用しているローカル民は殆どおらず、皆事前にアプリでQRチケットを発券している。理由は単純で、駅の発券機は混雑する上動作が不安定だから。

便の本数も限られ、電車を一本逃すだけで後の旅程にも大幅に支障が出るため、駅でバタバタするのは避けたい。乗車時間の目処が立ったらOmioなどのアプリで事前にチケットを抑えておくと良いだろう。

また、数日間にわたりヨーロッパで鉄道を何度も利用する予定がある場合は、単発でチケットを購入するのではなく、Eurailパスなどのフリーパスを購入するのが得策。過去記事でも利用方法を解説しているので参考にしていただきたい。

www.kosupatravel.com

座席選びの極意:2階席の海側窓際が絶対条件

この区間で使用される車両の多くは2階建て。絶対に2階席を確保しよう。1階席と2階席では見える景色のスケールが全く違う。2階席から見下ろす地中海は、まるで宝石のように美しく輝いて見える。特に午後の西日を受けて光る海面は、一生忘れられない光景だ。

座席を選ぶ際は、必ず海側(南側)の席を選ぼう。路線図を確認すると分かるが、この区間の線路は基本的に海沿いを走るため、南側の席からしか海は見えない。北側の席だと山側の景色になり、せっかくのコートダジュールの魅力を半分も楽しめない。

そして言うまでもなく窓際席は必須。通路側の席だと、隣の人に頼んで写真を撮らせてもらったり、景色を見せてもらったりする必要が出てくる。特に絶景ポイントでは多くの乗客が窓に向かうため、通路側では十分に楽しめない。

マルセイユ出発時点では席にはかなり余裕があった。しかし段々東へと向かうにつれて混み合ってくるので、席は譲り合うようにしましょう。

鈍行なら自由席なので早い者勝ちだが、そこまで神経質になる必要はない。私たちは8月のピークシーズンにマルセイユから乗車したが、普通に2階席の海側窓際を確保できた。確かに人気の席ではあるものの、電車が混雑しすぎるということはなく、常識的な範囲で早めに乗車すれば大丈夫だった。むしろ8月は海水浴も楽しめる絶好のシーズンなので、景色と合わせて最高の時期と言える。

絶対に見逃せないビューポイント

マルセイユを出発して最初の大きな絶景ポイントがSanary-sur-Mer(サナリー・シュル・メール)周辺。ここは小さな漁港の町で、典型的な南仏の美しい海岸風景が広がる。車窓から見えるのは、紺碧の地中海に浮かぶ小さなヨットや漁船、そして海岸に並ぶカラフルな家々。特に午前中の光の下では、海の色が信じられないほど美しく見える。

この区間は生憎の曇天だったが、それでも活気に満ちたビーチをいくつも眺められてほっこり

そして全ルートの中で最も美しいのがSaint-Raphaël(サン・ラファエル)からNice Ville(ニース中央駅)にかけての区間だ。ここは美しいビーチと海岸線が途切れることなく続く。特にカンヌ周辺では世界的に有名な海岸線が一望でき、高級リゾートホテルが立ち並ぶクロワゼット通りも車窓から確認できる。アンティーブ〜ニース間も特に美しく、地中海の深い青と、海岸に打ち寄せる白い波、そして背景の山々が織りなす景色は絵画のようだ。

ニースからマントンに向かう際には、Villefranche-sur-Mer(ヴィルフランシュ・シュル・メール)とEze(エズ)周辺の景色が圧巻。ヴィルフランシュの美しい湾と、断崖に建つエズ村の景色は、まさにコートダジュールの代表的な風景だ。

ニース〜マントン区間はリゾートらしい風景が楽しめる

なおモナコ区間は地下トンネルに入ってしまうため景色は見えないが、トンネルを抜けるとすぐにマントンの美しい海岸線が現れる。

まとめ:一生に一度は体験したい絶景鉄道旅

プロヴァンスコートダジュールの鉄道旅は、ヨーロッパの鉄道旅行の中でも特別な体験だ。地中海の美しい海岸線を眺めながらのんびり進む列車の旅は、移動手段を超えた一つのアトラクションと言える。

有料特急に飛び乗って急いで移動するのではなく、鈍行でゆっくりと景色を楽しむ。2階席の海側窓際で、青い海と白い砂浜を眺めながら過ごす数時間は、きっと忘れられない思い出になるはずだ。

南仏を訪れる際は、ぜひこの素晴らしい鉄道旅を体験してみてほしい。車とはまた違った、鉄道旅ならではの特別な時間がそこにはある。

【実用情報まとめ】

おすすめ列車: TER(鈍行・自由席)

座席: 2階席・海側(南側)・窓際

所要時間: マルセイユ〜ニース約2時間45分

料金: 20-30ユーロ程度(予約タイミングによって変動)

ベストシーズン: 8月なら海水浴も楽しめて最高!