近年、中国高鉄の予約競争は想像を絶するほど熾烈になっています。予約開始とほぼ同時に席が埋まってしまうことも珍しくなく、特に寝台列車や週末などの人気時期には予約が取れず、旅程全体が破綻するリスクさえあります。私自身、広州から成都への夜行列車が取れず、泣く泣く飛行機に変更したことがあります。
さらに外国人短期旅行者にとって深刻なのが、中国鉄道公式アプリ「12306」が実質的に使えないという問題です。中国の携帯番号が必要なだけでなく、電話発信による認証が求められるため、外国人が登録すること自体が極めて困難なのです。これにより、現地住民に対して大きくビハインド。
しかし、諦める必要はありません。この記事では、外国人でも使える携程旅行(CTrip)を活用した予約の裏ワザを徹底解説します。これを知っているかどうかで、中国旅行の計画の立てやすさが大きく変わるのです。
携程旅行(CTrip)とは?

携程旅行(別名:CTrip)は、中国最大手のオンライン旅行会社が運営する予約プラットフォーム。1999年に上海で創業し、現在では中国国内で圧倒的なシェアを誇っています。ホテル、航空券、列車チケット、ツアーなど、旅行に関するあらゆる予約を一括で管理できる総合旅行サービスとして、中国人旅行者の間では知らない人がいないほどの存在です。
中国国内での影響力が絶大で、鉄道会社との強固なパートナーシップを持っているため、予約処理のスピードと成功率が高いのが最大の特徴です。独自の予約システムと豊富なデータを活用した代替ルート提案機能は、他のプラットフォームでは真似できない強みとなっています。
Trip.com(国際版)との決定的な違い
そんなCTripは、実はお馴染みのTrip.com(トリップドットコム)が運営している中国向けサービス。要するに、国際版がTrip.comで、中国版が携程旅行、という棲み分けになっています。とはいえ、完全に同一サービスかというと、実は機能面で大きな違いがあります。
Trip.com(国際版)は、英語・日本語など多言語対応で外国人向けにシンプル化されたインターフェースを持っています。外国の電話番号でも問題なく予約でき、使いやすさは抜群です。しかし、中国国内の鉄道予約においては基本的な予約機能しか搭載されておらず、価格もやや高めに設定されています。
一方、携程旅行(CTrip中国版)は中国語がメインですが、中国国内ユーザー向けの全機能を搭載しており、中国国内の鉄道や宿泊予約において手は、価格が安く処理速度も速いのが特徴です。そして何より、これから紹介する高度な検索機能と裏ワザ機能が使えるのは中国版だけなのです。
外国人が携程旅行を使う際の壁とその突破法
ここで重要な問題があります。携程旅行はアカウント開設自体は外国の電話番号でも可能なのですが、国内線高鉄を予約する際に中国電話番号でないとエラーが出てしまうのです。
「じゃあ結局使えないじゃないか」と思われるかもしれませんが、ここで諦める必要はありません。eSenderというサービスを活用すれば、この問題を解決できます。eSenderは中国の電話番号をオンラインで取得できるサービスで、SMSの受信が可能です。携程旅行の認証に必要なSMS認証コードを受け取ることができるため、外国人でも携程旅行で高鉄予約ができるようになります。
中国電話番号を持っていない方は、この機会にeSenderの利用を検討してみてもよいかもしれませんね。
予約の大原則:解禁時刻との戦い
裏ワザを紹介する前に、まず大原則をお伝えします。中国高鉄の予約は、解禁時刻と同時に即座に予約するのが鉄則です。人気路線では数分、場合によっては数秒で満席になることもあります。これは誇張ではありません。
中国の高鉄は、出発日の2週間前~1か月前から予約可能とされているケースが多く、予約開始日・時刻は路線によって異なります。携程旅行では各路線の予約開始時刻を確認できるので、必ず事前にチェックしておきましょう。
私は以前、予約解禁から数十秒ほど遅れてアプリを開いたら、すでに目当ての列車が満席になっていたことが多々あります。日本の人気コンサートチケット争奪戦を想像してもらえれば、その熾烈さが伝わるでしょう。たくさんの人口を抱える中国となると、その度合いも日本とはレベチになりますね。
裏ワザ1:多買(前の駅から購入)で予約解禁日をフライング
ここからが本題です。携程旅行の最も強力な裏ワザの一つが、「前の駅から買う」機能です。

例えば、広州南から香港西九龍への直通列車が満席だったとします。普通ならここで諦めるか、別の時間帯を探すしかありません。しかし携程旅行で検索すると、「有票先上車、向前多買1站」(先に乗車して1つ前の駅から購入)などという選択肢が表示されます。
ここが最大のポイントなのですが、実際に前の駅まで移動する必要はありません。例えば、江門から広州南経由で香港西九龍へ向かるチケットを購入しても、広州南駅から乗車することができるのです。つまり、江門→広州南の区間は使わずに、広州南から乗り込めばいいだけなのです。

実は、中国の高鉄システムでは、途中駅からの乗車が認められています。乗り継ぎなどを組み合わせても問題なく、これが携程旅行の裏ワザの核心部分です。
また、なぜこの手法が裏ワザとして有効なのかというと、手前の駅からのルートは予約解禁日より早く予約できるケースがあるからです。これは各路線の予約開始タイミングが異なるため起こる現象で、長距離区間ほど解禁タイミングが早い傾向があります。このケースだと、広州南発の列車の予約開始を待つ必要はなく、江門発の列車の予約開始時刻に合わせて予約すれば、他の人より早く席を確保できるのです。
もちろん、不要区間分の費用も発生する、という金額上のデメリットはありますが、予約解禁に先駆けて席を確保できるメリットは計り知れません。特に限られた日程で旅行している場合、この裏ワザは旅程破綻を防ぐ救世主となります。
裏ワザ2:智能中転(スマート乗り換え)で不可能を可能に
直通列車が全滅していても、まだ諦めるのは早いです。携程旅行の「智能中転」(スマート乗り換え)機能は、複数の乗り換えを組み合わせた代替ルートを幅広く提案してくれます。

例えば、陽朔から広州南への直通が満席だったケースを考えてみましょう。携程旅行で「智能中転」モードで検索すると、恭城乗り換え、賀州乗り換えなど、様々な乗り換えパターンが表示されます。もちろん、本来直通一本で移動できるところを、わざわざ複数電車を乗り継いで移動しなければならないのはデメリットですが、旅程破綻を防ぐためには非常に有用な代替案となります。
同一PNR予約での中転(駅構内乗り換え)の威力
この方法で予約すると、複数の列車が一括PNR(予約番号)で管理されます。これこそが、CTripで乗り換えルートを使う上での最大のメリットです。
一括PNRで予約すると、「中転」という特別な乗り換え方式が使えます。これは駅構内で乗り換えができるシステムで、一度駅を出て再入場する必要がありません。
通常、別々に予約した列車を乗り継ぐ場合、最初の列車を降りたら駅の外に出て、手荷物検査を受けて再度入場する必要があります。中国の大きな駅では、この手続きだけで30分以上かかることもあります。しかし「中転」を使えば、駅構内の専用通路を通って次の列車のホームに直接向かうことができるのです。
これにより、本来なら厳しいと思われるタイトな旅程も実現可能に。わずか20分の乗り換え時間でも、中転システムを使えば十分に間に合います。巨大なターミナル駅でも、駅を出ずに移動できるため、時間のロスが最小限に抑えられるのです。
裏ワザ3:抢票機能(予約待ち)の賢い使い方

似たような機能はTrip.comにも備わっていますが、携程旅行の予約待ち機能は遥かに優秀です。満席の列車には「暂无余票、可候補抢票、成功率較高」(現在空席なし、予約待ち可能、成功率高)という表示が出ます。ここで抢票機能を利用すると、キャンセルが出た際に自動的に購入してくれる予約待ちリストに登録されます。
もちろん必ずしも成立するとは限りませんが、特に出発数日前になると予定変更でキャンセルする人が増える傾向があります。実際、私の友人は上海から杭州への人気列車を候補機能で取ることができました。出発2日前に突然アプリから通知が来て、無事に予約が確定したそうです。ダメ元でも登録しておく価値は十分にあります。
裏ワザ4:直前の空席出現を狙う戦略
最後の裏ワザは携程旅行に限ったものではありませんが、出発日が近づくと空席が出るという現象を利用するものです。予定変更や直前キャンセルにより、数日前から前日にかけて突然席が出現することがあります。そのため、予約が取れなかった場合は諦めずに、毎日アプリで空席をウォッチすることをおすすめします。
ただし、個人的には限られた旅程の中で効率的に、破綻なく動くためには、これまで紹介した裏ワザ1〜3を使って確実に押さえておいたほうが良いと考えています。直前の空席狙いはリスクが高く、結局取れなかった場合に代替の移動手段(飛行機など)を手配すると、時間的にも金銭的にも高くつく可能性があるからです。この戦略は、あくまで保険的な位置づけとして考えるのが賢明でしょう。
まとめ:外国人でも中国高鉄予約マスターになれる
中国高鉄の予約争奪戦は確かに激しいですが、携程旅行とeSenderの組み合わせ、そして今回紹介した裏ワザを使いこなせば、外国人でも十分に戦えます。
前の駅発ルートで予約解禁日をフライングし、中転システムで賢い乗り換えを実現し、優秀な予約待ち機能で最後まで諦めない。これら4つの武器を手に入れれば、予約難易度は劇的に下がります。
中国語に不安があっても、今やスマホの翻訳機能と携程旅行の視覚的なガイドを使えば十分操作可能です。安くて速く、そして機能が豊富な携程旅行を、ぜひ次の中国旅行で活用してみてください。予約開始時刻にスタンバイして、裏ワザを駆使すれば、あなたも中国高鉄予約マスターになれます。快適な中国高鉄の旅を、心から応援しています!
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