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ブッキングドットコム「パートナーシップ終了」から4か月 - 実はまだ生きていたアカウントと、突然振り込まれた未払い報酬金

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2025年6月、Booking.comとのパートナーシップは予定通り終了した。以前の記事「ブッキングドットコムから突然「パートナーシップ終了のお知らせ」メールが届いた!」で詳述した通り、30日間の猶予期間を経て、アフィリエイトパートナーセンターへのアクセス権は完全に失われた。

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当時、私のアカウントには複数のPending(保留中)予約が存在していた。これらの報酬が実際に支払われるのか、それとも契約終了と共に消滅するのか——明確な情報はなく、私を含む多くの旅ブロガーが不安を抱えたまま状況を見守るしかなかった。正直なところ、時間が経つにつれて「おそらく支払われることはないだろう」と半ば諦めていた。

ところが終了から4か月が経過した本日、予想外の展開が訪れた。その顛末を、データ検証の結果と共に報告したいと思う。

突然の銀行からの通知

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ある日、銀行から外国為替取引に関する通知書が届いた。差出人はBooking.com B.V.。金額は115ユーロ、日本円換算で約2万円強である。すっかりBooking.comのことを忘れかけていたタイミングでの入金通知に、一瞬目を疑った。

実は私は、パートナーシップ終了通知を受け取った直後、万が一のトラブルに備えてパートナーセンターの情報を詳細に記録していた。全Pending予約のスクリーンショット、各予約の報酬額と予約日、月次のCredit Splitレポート、そして累積報酬額の推移である。今回の入金を受けて、これらの記録と照合したところ、金額はほぼ完全に一致していた。

つまり、Booking.com側は契約終了後もシステム上で報酬計算を継続し、100ユーロの最低支払基準額に達した時点で自動的に送金処理を行ったということになる。この事実は重要である。なぜなら、多くのアフィリエイトプログラムでは、契約終了時に未払い報酬が放棄される、あるいは特別な申請が必要となるケースが少なくないからだ。

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Booking.comのアフィリエイトプログラムには、累積報酬が100ユーロに達するまで支払いを保留する規定がある。契約期間中、この仕組みについては認識していたものの、契約終了後にも適用され続けるかどうかは不明だった。終了後も毎月「Credit Split」の通知メールは届いていたが、パートナーセンターにアクセスできないため詳細は確認できず、これらが単なる自動送信なのか、実際に報酬計算が継続されているのか判断がつかなかった。今回の入金により、契約終了後も報酬システムは正常に機能し続けていたことが証明された形だ。

企業としての信頼性と評価修正

前回の記事では、Booking.comの対応について複数の懸念点を指摘した。「Termination(終了)」という強い表現の選択、わずか30日間という移行期間の短さ、報酬体系変更に関する情報不足、そしてコミュニケーション不足による混乱である。これらの批判は、当時の状況を考えれば正当なものだったと今でも考えている。

しかし、今回の報酬支払いという事実は、Booking.comが契約上の義務を誠実に履行する企業であることを示している。特に注目すべきは、こちらから問い合わせや催促を一切行わなかったにもかかわらず、システムが自動的に処理を完了させた点だ。これは単なる善意ではなく、適切に設計されたシステムと企業文化の表れと言える。

突然の通知メールによって引き起こされた混乱や不安は確かに問題だったが、最終的には約束された報酬は確実に支払われた。企業の評価は一時的な対応だけでなく、最終的な結果によっても判断されるべきだろう。その意味で、Booking.comは批判すべき点もあったが、本質的な部分では信頼に足る企業であったと言える。

「強制移行」が導いた予期せぬ収益向上

振り返れば、あの「パートナーシップ終了」通知は、完全な終了ではなくAwinへの移行提案だった。当時は「強制移行」という印象が強く、多くのブロガーが反発を覚えたのも事実である。しかし今となっては、この移行は結果的に収益多様化の契機となった。

私は最終的にBookingが推奨するAwinではなく、Stay22というサードパーティープラットフォームを選択した。複数のOTAを統合表示できるこのシステムは、Booking.com単独時代よりも高いパフォーマンスを示している。Booking.com単独時代と比較して、月次収益は約6倍程度に増加した。

もしBooking.comとの関係が継続していれば、おそらく新しいプラットフォームを試す動機は生まれなかっただろう。安定した収益源がある時、人は現状維持を選びがちである。その意味で、あの「終了通知」は強制的ではあったが、結果的には私のブログビジネスを次のステージに押し上げる転機となった。

記録の重要性と他のコンテンツクリエイターへの提言

今回の経験から得られた重要な教訓の一つは、記録を残すことの絶対的な重要性である。今回は結果的にBooking.comに誠実な対応を取っていただけたが、私がパートナーシップ終了時にスクリーンショットやレポートをダウンロードしていなければ、今回の入金が正当なものかどうかさえ検証できなかった可能性がある。実際、入金額が正確だったからこそ安心できたのであり、記録がなければ不信感だけが残っていただろう。

同様の状況に直面している、あるいは将来直面する可能性のある旅ブロガーに対して、私は以下のことを強く推奨したい。今後他のアフィリエイトプログラムにおいても、契約終了通知を受け取った時点で、全てのPending予約の詳細をスクリーンショットで保存し、報酬レポートを可能な限りダウンロードし、契約条件や規約のコピーを取り、メールでのやり取りも記録として残すべきである。これらは万が一のトラブル時に唯一の証拠となる。

さらに重要なのは、収益源の多様化である。今回の件で明確になったのは、単一のアフィリエイトプログラムへの依存がいかにリスクであるかという事実だ。Stay22やAwin、さらにはホテル直接提携など、複数の選択肢を常に用意しておくべきである。一つの収益源が突然失われても、他の収益源があれば影響は最小限に抑えられる。

業界動向の文脈で見る今回の変更

Booking.comのパートナープログラム再編は、実は業界全体の流れの一部である。ExpediaやAgodaなども、アフィリエイト管理をネットワーク経由に集約する動きを仄めかせている。背景にあるのは、運営コストの最適化、標準化の推進、データ分析の高度化、そしてポストパンデミック戦略としてのコスト構造見直しだろう。

数千のパートナーを直接管理するには、専任スタッフやシステム開発、個別対応など膨大なリソースが必要となる。統一されたプラットフォームでの管理が効率的であり、ネットワーク経由であれば業界全体のベンチマークも可能になる。この文脈で考えれば、Booking.comの決定は特異なものではなく、むしろ業界標準への適応と言える。今後、他のOTAでも同様の動きが加速する可能性は高いだろう。

まとめ

今回の報酬入金とデータ照合により、いくつかの重要な事実が確認された。契約終了後も報酬計算システムは継続稼働し、100ユーロの最低支払基準は終了後も有効であり、報酬額は事前の記録と一致して正確に計算されており、催促や問い合わせなしに自動的に処理される。これらは記録を残していたからこそ検証できた事実である。

今回の一連の経緯から得られる教訓は明確だ。デジタル時代において、スクリーンショットやデータのダウンロードは最も基本的なリスク管理であり、単一のプラットフォームへの依存は避けるべきである。そして何より、「終了」という言葉に過度に動揺する必要はない。変化は不安をもたらすが、同時に新しい機会への扉でもある。

Booking.comは批判すべき点もあったが、最終的には約束を守った。そしてその「別れ」は、Stay22という新しいパートナーとの「出会い」につながり、結果的に収益向上という形で報われた。旅ブログのマネタイゼーション環境は今後も変化し続けるだろう。その中で生き残るために必要なのは、常に記録を残し、変化に柔軟に対応し、複数の選択肢を持ち続ける戦略的思考である。