定番ツアーはもう飽きた?ローカル旅行情報発信サイト「コスパトラベル」

パッケージツアーやガイドブックに頼った旅行に飽きた大の旅行好きの方々向けに、ローカル&コスパの良い旅行情報を集めたポータルサイト

【新着速報】中国、日本人向けビザ免除措置を2026年末まで延長で、もう1年ビザなし観光OKに! - 入国で見逃してはならない「注意点」をおさらい

記事内にはスポンサーリンクが含まれる場合があります。

f:id:ymdxd:20251104000008j:image

中国に渡航を予定している日本人にとって、大きな発表がありました。2025年11月3日、中国外務省はこれまで2025年末までとされていた日本人向けビザ免除措置を2026年12月31日まで延長すると公表。短期滞在(最大30日以内)であれば、これまで通りビザを取得せずに入国できることが確定しました。

「今年いっぱいで終わるかもしれない」という不安が、一旦払拭されたかたちです。

ビザ免除措置の内容:自由度の高い滞在が可能に

改めて、この制度の内容を整理しておきましょう。

この制度では、観光・ビジネス・親族訪問など、幅広い目的で30日以内の滞在が認められています。北京で会議を行い、週末には成都や桂林へ小旅行といった滞在も自由。移動範囲に制約もなく、中国全土を気兼ねなく巡る旅が実現できます。

以前当ブログで解説した「トランジット時のビザ免除政策」と比較すると、その違いが分かります。トランジット免除でも24の省・自治区直轄市への移動が認められており、北京・上海といった主要都市だけでなく、比較的広いエリアをカバーしていました。ただし、甘粛省新疆ウイグル自治区など一部の地域には行けない制約がありました。また、「第三国へ抜ける」というルールもあり、純粋に中国を目的地として訪れたい旅行者には使い勝手の面で制約がありました。

今回の30日間ビザ免除措置なら、そうした制約がなく、ディープな中国旅行を楽しみたい方にも対応できる、より自由度の高い制度と言えます。

なぜ延長されたのか?複合的な政策背景を読み解く

この措置は、コロナ禍の2020年3月に停止されて以来、2023年11月に約4年半ぶりに復活したもの。当初は2024年末までの期限とされ、その後2025年末まで延長されていました。そして今回、さらに1年間の延長が決定したわけです。

今回の延長は単なる日程の延長以上の意味を持ちます。表面的には「観光客や出張者を呼び戻す」ための経済施策に見えますが、その裏側には外交、内政、国際戦略が複雑に絡んでいます。

国際関係の"再調整フェーズ"と外交的シグナル

2025年10月末、習近平国家主席高市早苗首相が韓国で初会談を行い、日中の「戦略的互恵関係」を推進する方針を確認しました。それまで停滞していた対話路線が再び前へ動いた形です。

この局面において、両国が経済協力や人的往来の再活性化を重視していることは明らかです。ビザ政策の緩和を打ち出すことで、両国間の信頼回復やビジネス環境の改善を国内外に示す狙いがあります。これは単発のイベント的措置ではなく、今後の対外関係を円滑に進めるための"恒久的な土台作り"の一環とも受け取れます。

互いの経済に依存度が高い以上、緊張緩和は双方の利益に直結します。大きな政治的意思表示として、今回の措置は「関係改善の象徴」という側面を持っているのです。

観光業と外資誘致:循環効果への期待

コロナ禍後、中国を訪れる外国人客数はまだ完全回復していません。特に日本人観光客はコロナ前の5〜6割程度までしか戻っていないと言われます。

都市部の小売・飲食・宿泊産業は回復基調にあるものの、サービス業全体の回復にはまだ差があります。短期的に人の流れを取り戻すことは、地域経済の活性化だけでなく、国際展示会やビジネスマッチングによる投資回帰にも繋がります。加えて、消費者の購買行動が回復すれば、関連するサプライチェーンや物流にも好影響を与えるため、国家的なマクロ政策の「補完策」としての意味合いもあります。

不動産と内需が伸び悩む中、外資と観光は経済の重要な柱。ビザ免除は海外マネーの呼び水なのです。

国際戦略上の"開かれた姿勢"のアピール

近年の国際関係の変動は、多くの国にとって"開かれたイメージ"と"影響力の維持"という二つの課題を同時に要求しています。ビザ免除を拡大・延長することで、観光や人的交流を通じたソフトパワーの回復を図ると同時に、「ビジネスで来やすい国」としてのポジショニングを強化する効果が期待できます。

特に日本は地理的・経済的に重要なパートナーであり、人的往来の回復は両国の企業、研究、文化交流にとって即効性のある利得をもたらします。ビザ免除対象は2025年に入ってから40ヵ国以上に拡大しており、ブラジルやロシアなど、複数の国を対象に措置を拡大中です。日本もそのライン上に位置づけられているわけです。

門戸開放に伴う運用上の課題

こうした緩和継続措置にはコストも伴います。国内における治安や労働市場の管理、入国管理の運用強化など、政策運営上の技術的課題を同時に解決しなければなりません。だからこそ「ビザ免除」という緩和措置と同時に、入国審査の運用が慎重になる傾向が見られるわけで、結果としてビザは要らなくても入国審査の厳しさは残る、という逆説が生まれています。

総じて言えば、今回の延長は外交的アピール、経済的刺激、国際戦略という三つの目的が重なって実行された政策です。それぞれの目的が相互に補完し合う一方で、現場レベルでは「入国のハードルが下がったわけではない」という現実が旅行者に突きつけられる。だからこそ、制度を「使う側」の準備がこれまで以上に重要になっているのです。

ビザ免除でも入国審査は厳格に

ここが最も大事なポイントです。ビザが不要だからといって無条件で入国できるわけではありません。

入国審査が厳格化していると感じている旅行者が増えています。これは中国に限らず、多くの国で見られる傾向ですが、不法滞在・不法就労に対する取り締まりを強化する流れの中で、特に「理由が曖昧な短期訪問者」に審査官は慎重になっています。

入国審査で注意すべきポイント

例えば、次のような状況は審査で不利になる可能性があります。

帰り(または第三国)の航空券を持っていない場合、宿泊先が決まっていない場合、旅程について質問されても答えられない場合などです。「とりあえず来た」「ノープランです」という回答は、検査官にリスクがあると判断されがちです。

そして注意すべきは、その場で入国を認められず、次便で帰国、しかも全額自費という流れが起こり得るということ。さらに入国拒否の記録が残れば、次回の渡航時にはより慎重な審査を受けることになります。

結論:準備した人には最高の追い風

ビザ免除の延長はポジティブな朗報です。中国を訪れやすい状況が続きます。

しかし現在の入国審査は、これまで以上に「安心して入国させられる人か」を確認する傾向にあると言われています。これは世界的な潮流でもあり、中国に限った話ではありません。

行きやすくなった今こそ、"行ける準備"が求められている。その一点さえ押さえれば、中国旅行はこれまで以上に魅力的な選択肢となるはずです。

ただし、今回の延長は2026年末までです。その後どうなるかはまだ分かりません。中国への渡航を考えている方は、この点も頭に入れておくといいでしょう。

※国際情勢や制度は変化することもあるため、渡航前には必ず最新情報を確認しましょう。外務省「海外安全ホームページ」や在日本中国大使館の公式サイトで、最新の渡航情報や注意事項をチェックしておくことをおすすめします。