サハラ砂漠の砂丘、シディ・ブ・サイドの白と青のコントラスト、カルタゴ遺跡、マトマタの穴居住宅。チュニジアには、ドローンで撮影したくなる絶景スポットが数多く存在します。
しかし、中東・北アフリカ地域では、多くの国でドローンの持ち込み自体が厳格に制限されています。イランでは外国人のドローン持ち込みは事実上不可能で、サウジアラビアやUAEでも複雑な事前申請が必要。エジプトやヨルダンも観光客がドローンを使用するには高いハードルが設けられています。
チュニジアはどうでしょうか?実は公式な申請制度は存在します。しかし、その制度設計を詳しく見てみると、外国人旅行者を対象として想定していない可能性が高いかもしれません。
本記事では、そんな規制の実情と、代替案について紹介します。
チュニジアのドローン規制:申請すれば飛行可能?
チュニジア政府は、ドローンによる空撮許可の申請手続きを公式に定めています。表面上は外国人を排除する文言はなく、個人の観光目的での撮影も申請可能とされています。つまり原則として規制はなく、申請さえ通れば外国人でも飛行・持ち込みが可能ということになります。
申請は飛行予定日の1ヶ月前までに行い、審査期間は30日間、許可の有効期間は1ヶ月間です。一見すると、ちゃんと申請すれば問題なさそうに見えますよね。
問題1:申請書類はアラビア語のみ
ここからが問題です。実はこの申請、外国人旅行客にはあまりにもハードルが高すぎるのです。
まず、申請用紙を見てみましょう。政府サイトからダウンロードできる申請書類(書式1)は完全にアラビア語で書かれています。
申請書には、機関名、法的代表者の氏名(父の名前と祖父の名前まで)、撮影の目的、撮影予定地域、撮影日、使用するカメラの種類、フィルムの種類、航空機の種類と登録番号、操縦者や撮影チームの詳細(氏名、父の名前、祖父の名前、生年月日、出生地、国籍、身分証明書番号またはパスポート番号)などを記入する必要があります。
これらをアラビア語で記入しなければならないということは、外国人にとって最初の大きな壁となります。
表面的には「外国人は不可」とは書かれていませんが、制度設計そのものが国内の事業者や国民を対象として作られており、外国人旅行者が申請することは想定されていない可能性が高いのです。
問題2:申請するための「悪循環」
さらに、申請書類はチュニスにある航空・海事サービス総局のオフィスに直接持参する必要があります。メールやオンラインでの申請は一切受け付けていません。申請先はインフラ・住宅省 航空・海事サービス総局(Avenue Habib Christa 1002 Tunis)です。
つまり、こういう流れになります。ドローンを使いたいから申請が必要、申請するにはチュニスのオフィスに行く必要がある、チュニスに行くにはチュニジアに入国する必要がある。しかし、許可を取得する前にドローンを持って入国しようとすると、空港で没収されます。結果として、ドローンなしで申請に行くことになり、意味がありません。
これが、外国人旅行者にとってチュニジアのドローン申請が事実上不可能な真の理由です。
私が当局に問い合わせた結果
チュニジア旅行を計画していた際、私は事前に航空・海事サービス総局にフランス語でメールを送りました。内容は「249gの小型ドローンを観光目的で持ち込みたい。必要な手続きを教えてほしい。メールで申請できるか?」というシンプルなものです。
結果、一切返信なし。電話での問い合わせも検討しましたが、対応言語はアラビア語またはフランス語のみで、英語での対応は期待できません。つまり、事前に詳細を確認する手段すらないのが現状です。
【補足】もし申請するなら:必要書類一覧
チュニジアに何度も渡航する予定がある方や、現地でドローンを購入する予定がある方、アラビア語を話せる方など、一部の特殊なケースでは申請の余地があるかもしれません。その場合の必要書類を以下にまとめておきます。
すべての書類を4部ずつ準備する必要があります。
申請書類一式(アラビア語で記入)には、機関名、法的代表者の氏名(父の名前と祖父の名前を含む)、撮影の目的、撮影予定地域と日時、使用するカメラの詳細、航空機の種類と登録番号、操縦者と撮影チームの詳細情報を記載します。
撮影予定地域を地図上で明確に示した資料、使用する機材(カメラなど)の技術仕様書も必要です。地図作成の場合は、カメラの技術仕様、写真の縮尺、カバー率、焦点距離、カメラの技術検査・調整証明書も求められます。
航空機またはドローンの関連書類のコピーも提出します。特に重要なのは、チュニジア国内で有効で撮影期間全体をカバーするドローン保険証明書です。
操縦者と運用者のパスポートのコピーも必要です。
申請書類は4つの省庁(インフラ・住宅省、国防省、内務省、運輸省)で審査され、すべての省庁の承認が得られて初めて許可が発行されます。標準的な審査期間は30日間です。
確実で安全な代替案:Insta360 Xシリーズ

ここまで見てきた通り、チュニジアでのドローン使用は公式な手続きが存在するものの、外国人旅行者にとっては事実上利用不可能な制度設計になっています。そこで私が強くおすすめしたいのが、Insta360のXシリーズと3mの自撮り棒の組み合わせです。

360度カメラと長い自撮り棒を使えば、ドローンで空撮したかのような迫力ある写真や動画を撮影できます。特に注目すべきは「見えない自撮り棒」機能で、編集時に自撮り棒が自動で消去されるため、まさに空中から撮影したような仕上がりになります。
Insta360を選ぶ最大のメリットは、没収リスクがゼロであること、治安当局に呼び止められる心配がないこと、そして事前申請や30日間の審査を待つ必要がないことです。飛行禁止エリアを気にする必要もなく、遺跡や文化財の近くでも使用できます。コストもドローンの半額以下で、防水対応のため砂漠の砂埃を気にせず使用できます。人が多い観光地でも安全に使用でき、荷物も軽く、持ち運びが簡単です。

特にチュニジアのような砂漠地帯では、Insta360の真価が発揮されます。3m自撮り棒を伸ばせば砂丘の上から壮大なパノラマを撮影でき、マトマタの穴居住宅やシディ・ブ・サイドの白と青の街並み、サハラ砂漠のラクダキャラバンなど、チュニジアの絶景を何の心配もなく確実に記録できます。
結論:制度は存在するが、外国人旅行者向けではない
チュニジアのドローン状況をまとめると、こうなります。公式には申請制度が存在し、表面上は外国人を排除していません。しかし実際には、申請書類がアラビア語のみで作成されており、記入項目も「父の名前と祖父の名前」など国民を前提とした内容になっています。そもそもこの制度は外国人を対象として想定されていない可能性が高いのです。
さらに、申請書類をチュニスのオフィスに直接持参する必要があり、メールやオンラインでの事前申請ができません。そのためには一度入国しなければなりませんが、許可なしでドローンを持って入国すればほぼ確実に没収されるという矛盾した状況です。
審査には30日間かかるため、短期滞在の旅行者には現実的ではありません。問い合わせへの返信もなく、事前に詳細を確認する手段もありません。予測不可能なリスクを冒すよりも、Insta360のような代替手段を選ぶのが賢明な判断と言えるでしょう。
せっかくのチュニジア旅行を、ドローントラブルで台無しにしないためにも、慎重な判断をお勧めします。

