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【評判レビュー】ベトジェットエアの安全性は大丈夫?炎上ニュースの真相と実際の搭乗体験から徹底考察レポート

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2025年10月、関西国際空港で起きたベトジェットエア(VietJet Air)の大規模欠航トラブルが、日本のメディアとSNSで大きな話題となった。「ベトジェットの人間は日本にはいません」という現場スタッフの言葉、怒号が飛び交う搭乗カウンター、SNSで拡散される炎上動画。このニュースを見て、多くの人が同じ疑問を抱いたはずだ。「ベトジェットエアって、本当に大丈夫なのか?」

globalnewsasia.com

時々驚くほど安い運賃が出るベトジェット。ベトナム路線を利用する旅行者にとって、その価格競争力は無視できない魅力だ。しかし、華々しいプロモーション運賃の裏側には、何が隠れているのか。メディアが報じる「LCCの限界」は本当なのか。実際の搭乗体験と客観的な事実から、この問いに向き合いたい。

ベトジェットエアとは何者か

Vietjet (1)

ベトジェットエアは2007年に設立されたベトナムの格安航空会社だ。ベトナム初の民間航空会社として誕生し、それまで国営ベトナム航空が独占していた市場に風穴を開けた存在として知られている。

2011年の就航開始から急成長を遂げ、現在ではベトナム国内はもちろん、東南アジア、東アジア、オセアニアへと路線網を広げている。日本路線も複数の都市に就航しており、特にホーチミンハノイとの間を結ぶ便は多くの旅行者に利用されている。

ベトジェットの最大の武器は、その圧倒的な低価格戦略だ。プロモーション運賃では、ホーチミン-ハノイ間が数千円、国際線でも信じられないほど安い運賃が設定されることがある。この低価格を実現するため、機材の高回転率運用、最小限の地上スタッフ配置、受託手荷物や機内食の有料化など、あらゆる面で徹底したコスト削減を行っている。この効率追求が、後述するトラブル時の脆弱性につながっているのも事実だ。

昨今のニュース:関空欠航トラブルが露呈したもの

2025年10月4日、関西国際空港ハノイ行きVJ939便で発生した大幅遅延・欠航トラブルは、日本におけるベトジェットの評判を一夜にして変えてしまった。

当初の出発予定時刻から大幅に遅延し、最終的に欠航。搭乗カウンターに詰めかけた乗客からは、「ビデオ通話で本社につなげ」「今すぐ空港で返金しろ」といった要求が次々と出されたが、対応にあたった業務委託先のグランドスタッフは、「ベトジェットの人間(社員)は日本にはいません」と答えるしかなかった。意思決定権を持つ本社スタッフは遠く離れたベトナムにいて、現場で即座に対応できる人間は誰もいない。

この様子を捉えた動画がSNSで急速に拡散され、「ベトジェット欠航、『社員不在』で怒号飛び交う関空LCCの限界と現場直撃のカスハラ」といったニュースなどが報じられた。

このトラブルが浮き彫りにしたのは、LCCの構造的な問題だ。機材の高回転率運用のため予備機材が少なく、わずかな遅延が連鎖的な欠航を引き起こしやすい。現地に自社社員を配置していないため、トラブル時に意思決定権を持つ人間が現場にいない。そして企業側の体制問題が、最前線で働く委託スタッフへの理不尽な要求や暴言という形で現れた。

結果としてSNS上では「もうベトジェットは使わない」「やっぱりLCCは危険」といった声が溢れることとなった。

実際の搭乗体験

この度私は、連休最終日にホーチミン発羽田行きVJ820便に搭乗した。お盆最終日の激混み便だったが、この体験から見えてきたのは、報道とは異なる「通常運航時のベトジェット」の姿だった。

空港でのチェックイン

タンソンニャット空港に到着すると、既に長い列ができていた。カウンターでチェックインを行った。連休最終日の帰国ラッシュということもあり混雑していたが、スタッフの対応は手際よく、それほど待たされることはなかった。

ベトジェットの機体は特徴的な赤い塗装で、エンジンカウルにはベトナム国旗の星マークが描かれている。曇り空の下、トーイングされる機体は写真映えする鮮やかさだ。搭乗口前には様々な年齢層の乗客が集まっており、ベトナム人の帰省客、日本人観光客、ビジネス客が入り混じっていた。

機内の様子

機内に入ると、LCC標準のシンプルな仕様が目に入る。座席は革張りで清潔感があり、3-3の座席配置。通路は狭めだが許容範囲内だ。何より印象的だったのは、機内がきちんと清掃されており、清潔に保たれていたことだった。

客室乗務員は伝統的な衣装を思わせる制服を着用している。離陸前の安全説明は英語とベトナム語で行われ、スタッフの表情は柔らかく、笑顔で接客していた。

意外とアリな機内販売

離陸後しばらくすると、「SkyBoss」というプレミアムサービスの宣伝カートを押した客室乗務員が通路を通り始めた。機内販売が始まったのだ。

普段、コストパフォーマンス重視のトラベラーとして、機内での余計な出費は避けている。LCCの機内販売は割高というイメージがあったからだ。しかし、ベトジェットの価格を見て驚いた。機内食が思いのほか安く、町中で買うのとそこまで違わない金額だったのだ。

提供されていたのは、食事に加え、ビールなどの飲みもの、カップラーメン、そしてベトナムらしいスナック類。地味に長いフライトなので、せっかくならばと思い注文してみた。

結果は予想以上に良かった。辛ラーメンは熱々で提供され、深夜便の小腹を満たすには十分。ビールも冷えていて、機内で飲むにはちょうどいい。何より、この価格でこの質なら文句はない。町中のコンビニとそう大きく変わらない価格設定は、LCCの機内販売に対する先入観を覆すものだった。

気になって買ってみた御当地スナック

客室乗務員の販売スタイルも押し付けがましくなく、丁寧に商品を説明してくれた。言葉の壁はあるものの、笑顔でコミュニケーションを取ってくれる姿勢は好印象だった。

フライトの定刻性

最も重要なポイントは、このフライトがほぼ定刻通りに出発し、問題なく羽田に到着したことだ。連休最終日の混雑便にも関わらず、機材繰りもスムーズで、大きな遅延はなかった。関空での欠航トラブルが記憶に新しいだけに、この「普通に飛ぶ」ことがいかに重要か再認識させられる。

夜間フライトということもあり、多くの乗客は離陸後すぐに睡眠モードに入った。機内は比較的静かで、約6時間のフライトを快適に過ごせた。到着時刻も予定通りで、羽田での入国手続きもスムーズに進んだ。

これまでの利用経験

今回のVJ820便に限らず、私はこれまで何度もベトジェットを利用してきたが、トラブルに遭遇したことは一度もない。時々出る激安運賃のおかげで、ベトナム旅行のコストを大幅に抑えられており、コストパフォーマンス重視の旅行者として非常に重宝してきた。

機内の清潔さ、スタッフの対応、そして何より定刻運航という基本的な部分は、これまでの経験でも一貫して問題なかった。LCCだから何かが劣るということはなく、むしろ「やるべきことをきちんとやっている」という印象が強い。

まとめ:ベトジェットは大丈夫なのか?

通常運航時のベトジェットは問題ない。定刻性、清潔性、スタッフの対応いずれも、LCCとして期待されるレベルは十分に提供している。プロモーション運賃を活用すれば、信じられないほど安い価格でベトナム路線を利用できるコストパフォーマンスは抜群だ。

ただし、関空トラブルが示したように、欠航・大幅遅延時の対応力はフルサービスキャリアに大きく劣る可能性がある。現地社員不在、予備機材なし、他社便振替なしという体制では、万が一の時に頼れない。これはベトジェット固有の問題というより、LCC全般が抱える構造的な課題だ。

つまり、ベトジェットは「条件次第」で十分に使える航空会社だ。スケジュールに余裕がある旅程、乗り継ぎがない直行便、万が一の代替手段を事前に検討できる場合であれば、強力な選択肢となる。一方で、重要なビジネス予定の前日や、タイトなスケジュールでの乗り継ぎといった場合は避けた方が賢明だろう。

重要なのは、「ベトジェットが危険」という単純な結論ではなく、「LCCとはそういうビジネスモデルである」という理解だ。その特性を理解した上で、賢く使えば非常にコストパフォーマンスの高い選択肢になる。正しく理解し、正しく利用すれば、ベトジェットは十分に使える航空会社なのだ。