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【準備編】フィジー離島の「Yaqeta Village」で伝統的ホームステイ① 現地の生の暮らしを体験するなら「Yasawa Homestays」を利用しよう

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せっかくフィジーに行くなら、リゾートのプールサイドでカクテルを飲むだけじゃ面白くない。現地の人々が何世代にもわたって守ってきた暮らし、文化、伝統を実際に体験したい。そんな思いで調べていたら、理想的な、いや、想像をはるかに超える本物の体験を見つけた。それが「Yasawa Homestays」だ。

ディズニー映画『モアナと伝説の海』を観た人なら分かると思うが、あの映画で描かれる南太平洋の島々の暮らし、伝統的な高床式の家、海と共に生きる人々の姿は、単なるファンタジーではなく実際に今もフィジーの島々に息づいている文化なのだ(もっとも、あの映画はフィジーを舞台にしたものではないのだが)。

結論から言うと、このYaqeta村でのホームステイは期待を遥かに上回る素晴らしい体験だった。本当に行ってよかったと心から思う。

我々部外者を温かく迎え入れて下さった村の方々には、感謝をしきれない。

だからこそ、まずはじっくりと「準備編」を綴ることにした。軽い気持ちで訪れてほしくないからだ。「なんか面白そう」「インスタ映えしそう」という程度の気持ちで行くと、あなたも苦労するし、村の人々にも迷惑をかけ得る。何より、文化への敬意を欠いた振る舞いをされては、この素晴らしいコミュニティに申し訳が立たない。

この準備編では、良いことも厳しいことも不便なことも、すべて正直に書く。その上で、それでも行きたい、覚悟の上で本物の文化体験をしたいという旅人が現れることを確信している。

Yasawa Homestaysという選択

フィジーの中でも随一海が美しいと言われる、ヤサワ諸島

Yasawa Homestaysは、フィジーのヤサワ諸島に点在する11の村で運営されているホームステイプログラムだ。ここで重要なのは、これらは観光客のために作られた村ではなく、フィジー人が実際に何世代にもわたって暮らしている本物の村だということ。

www.yasawahomestays.com

予約は公式サイトから直接メールで行う。OTAは通さない。希望の日程を伝えると空いている村を提案してくれる。私の場合、1泊だけの滞在を希望したところ、Yaqeta島のYaqeta村を提案された。

Yaqeta島、Yaqeta村。住民は200人程度とこぢんまりしているが、これでもYasawa諸島では最も大きい村らしい。

料金は1泊416フィジードル(約3万円、2名分、3食付き、ボート送迎込み)。数枚の写真と、村人がとにかくフレンドリーという事以外の前情報は全くなかったのだが、その謎めいた村に気が付けばすっかり興味が湧いていた。

デポジットは35%をPayPalで、残金は現地で現金払い。クレジットカードは使えない。この時点で、これが普通の観光旅行ではないことは明白だった。

正直すぎる公式紹介

公式サイトを見て驚いたのは、その正直すぎる説明だ。

ここは入念に作られた観光リゾートではなく、それ自体のために存在している本物のフィジー村だという。村には電気は太陽光パネルのみ、WiFiはなし、商店もレストランもなし。24時間電気が使えるわけではなく、西洋的な基準で物事が進むわけでもない。壊れているものもあれば緩んでいるものもある。村の子供たちの服がピカピカに洗濯されているとは限らないし、時間の概念も違う。シャワーは水圧が弱く、お湯は出ない。食事の選択肢は限られ、村の日常は西洋的な効率や清潔さの基準とは違う。

実際に、多くの家屋では、政府から支給された太陽光パネルを使用して生活に必要な電力を発電し、雨水をタンクにためて大切に使用している。

伝統的なブレ(フィジー式の家屋)には面白い諺がある。どのブレにも自分のネズミがいる、と。食べ物を出しっぱなしにすればネズミが訪れるかもしれないということだ。

そして最後に、こんな問いかけがある。文明的な便利さを求めているか? 蚊にアレルギーがあるか? 船酔いしやすいか? 虫が怖いか? 英語を話せないか? グルメな休暇を期待しているか? インフルエンサーで何か見返りを期待しているか? もしこれらに一つでも当てはまるなら、本当にこの場所があなたに合っているかよく考えてほしい、と。

こんな正直な警告を出す観光施設も珍しい。でも、これこそが誠実さの証だ。

我々が泊まった家はトタン屋根だったが、中には藁ぶきのブレもある

村には独特のルールがある

予約確認のメールには、長文の案内が添付されていた。読んでいくと、村には様々なルールがあることが分かる。フィジー人、特に離島の住民たちはマナーや伝統に非常に敏感だ。その中でも、特にユニークで印象的なものをいくつか紹介しよう。

帽子も日傘もサングラスも禁止

カンカン照りであろうと容赦なし、帽子はご法度。

村の中心部では、帽子、日傘、サングラスの着用が完全に禁止されている。南国の強烈な日差しの下でこれらが使えないなんて驚いたが、これは首長以外は誰も許されない厳格なルールで、例外は一切ない。

案内には医療上の理由でも例外は認められず、従えないなら別の宿泊施設を検討してほしいとはっきり書かれていた。実際に現地で確認したところ、日傘も同様にNGだそうだ。村には日陰が多く設けられているので、そこで休めばいい。女性は膝下まで覆うスル(フィジー式のスカート)を着用する必要がある場合があるが、持っていなければ貸してもらえる。

食事の前に祈りを待つ

食事が運ばれてきても、すぐに食べ始めてはいけない。ホストファミリーが祈りを捧げることがあるからだ。また、食事を作った村人があなたが食べる様子を見守ることがあるが、これは失礼ではなく伝統だ。専属のウェイターのように、あなたのニーズに応えてくれる存在として、そこにいる。

アルコールは控えめに

ちなみにアルコールの持ち込みは可能だが、村人の前で公然と飲むのはNG。飲むなら控えめに、酔ったらブレの中で休む。これが村の文化を尊重するマナーだ。

セブセブ ―― 村に入るための儀式

そして、最も重要かつユニークなのが「セブセブ(Sevusevu)」という贈呈品だ。

マーケットに並ぶカヴァの束

これは単なる手土産ではない。村を訪れる余所者が首長に対して行う伝統的な贈呈の儀式で、村に入る正式な許可を得るための儀礼だ。例外は一切認められない。

確認メールにもはっきりと書かれていた。すべての訪問者は到着時に首長にセブセブを提示しなければならず、これを適切なタイミングで確認しない場合、予約がキャンセルされることもあるという。つまり、セブセブなしでは村に入れない。

Yaqeta村でのセブセブは、カヴァの根の束を贈ることで行われる。カヴァは、フィジーで儀式や社交の場で飲まれる伝統的な飲み物の原料となる植物だ。粉末ではなく、根の束そのものが必要で、他の根では代用できないなどの細かい規定もある。

贈呈したカヴァは、カヴァセレモニーで使用される。ホームステイするからには是非ともカヴァセレモニーに参加しよう。

カヴァの根は、ラウトカ市場やナンディ市場で購入できるとのことで、朝6時には開いているので、フェリーに乗る前に立ち寄る必要がある。空港やフェリー乗り場では売っていないため、入念な移動計画が必要となる。

村に到着したら、ホストに頼んで首長またはその代理人とのセブセブの儀式に参加する。この儀式を通じて初めて、正式に村のゲストとして迎え入れられるということだった。これは観光アトラクションではない。何世代も続く本物の伝統で、余所者である私たちが村という共同体に入らせていただくための、敬意を示す行為なのだ。

アクセスの実際

ヤサワ諸島へは2つのフェリー会社が運航している。Yasawa Flyerという大型クルーズ船と、Tavewa Seabusという小型のジェッティーだ。前者のほうが高くて遅く、後者の方が安い上に速い。私たちは早朝5時50分着のフライトだったので、8時45分のYasawa Flyerを利用することにした。デナラウマリーナから出発し、約4時間で到着する。

高くて遅いYasawa Flyerと、安くて速いTavewa Seabus。どっちに乗るのが正解か、次回以降の記事でレポートしよう。

重要なのは、Yasawa Flyer利用の場合、Yaqeta村へのピックアップポイントはNavutu Stars Resortの停船場のみだということ。Yaqeta Homestayという停船場は存在しない。フェリーのクルーにはYaqeta村のYaqeta Homestayに行くと伝え、Navutu Stars Resortで降りる必要がある。

ヤサワ諸島には港や桟橋がほとんどないため、フェリーは沖合で停船し、小型のグラスファイバー製ボートに乗り換える。フェリーの周りには複数のボートが集まるので、乗り込む前に必ずボートの船頭にYaqeta Homestayに行くのか確認すること。これを怠ると、別の島に連れて行かれる可能性がある。移動一つ取っても、他の国とは大きく勝手が異なり、非常に難易度・破綻リスクが高い。

現金を忘れずに

今回、デポジットPayPalで支払ったが、残金276フィジードル(約2万円)は到着時に現金で支払う必要がある。クレジットカードは使えない。外貨も受け付けない。フィジードルの現金のみだ。

ヤサワ諸島には銀行がなく、唯一のATMも大抵故障している。ナンディやラウトカで十分な現金を引き出しておく必要がある。アクティビティも別料金で現金払いなので、1人あたり1日50~150フィジードルの余裕を持っておくといい。

覚悟の上で予約を確定

長い案内文書を読み終えて思った。これは本物だ、と。演出ではなく、生活そのもの。観光客向けに飾られた村ではなく、フィジー人が実際に暮らし、何世代にもわたって守ってきた文化が息づいている場所。セブセブの儀式も、服装のルールも、食事の作法も、すべてが本物だ。

確かに大変そうだ。不便なことも多いだろう。でも、それこそが私が求めていた体験だった。

私は返信した。Yaqeta村のYaqeta Homestayに滞在すること、フェリーのスタッフにそのことを伝えること、そしてセブセブを持参することを確認した。

PayPalデポジットを支払い、予約が確定した。あとは当日を待つのみだ。

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次回の記事では、実際のYaqeta村への移動、滞在体験、セブセブの儀式、村人との交流、そして本当に心に残った瞬間について詳しくレポートしていく。

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