前回までの記事では、Yaqeta村でのホームステイに向けた準備とセブセブ(カヴァ)の調達、そしてYasawa Flyerでの4時間の船旅について綴ってきた。Yasawa Homestayの準備・移動に関するシリーズと、Yasawa Flyerでの移動に関するシリーズ、2つに分けて執筆したので、両方チェックしてほしい。
今回は、いよいよYaqeta村への到着と、村での最初の数時間についてレポートする。
Yasawa Flyerから小型ボートへ、そしてさらに乗り換え
話は、Yasawa Flyerを下船するところから始まる。

Yaqeta島の沖合で船が停泊し、小型ボートが接舷してきた。私たちは名前を呼ばれ、Navutu Stars Resort行きのボートに乗り込んだ。
エンジン音を響かせながら、小型ボートはNavutu Starsという同島のリゾートの前へと向かった。しかし、今回私たちの目的地はここではない。Yaqeta村だ。
リゾートの前の沖で、また別の小型ボートが待っていた。ここでさらに乗り換える。このボートに乗っていたのが、Yaqeta Village Homestayのホスト、Rustyさんだ。

フィジー人の中年男性で、笑顔が印象的だ。Bulaと明るく迎えてくれ、荷物をボートに積み込む。いよいよ村へと向かう。
島を巡りながら村へ
ボートは島をグルッと回りながら村へと向かう。

この海の道すがら、お互いに自己紹介をしたり、長旅だったかといった話を交わす。Rustyさんは英語が流暢で、時折ユーモアを交えながら話してくれる。
村でホームステイをやっているのはRustyさんの家族だけで、しかも去年始めたばかりなのだという。私たちは2組目のゲストだそうだ。
まさに始めたばかりのホームステイ。これは本当に、ありのままの村の暮らしを体験できそうだ。
ボートからは、透明な海越しにサンゴ礁や魚が見える。海の色は浅瀬のエメラルドグリーンから、深い場所の濃紺まで、グラデーションを描いている。遠くには他の島々も見える。このロケーションだけで、既に来た甲斐があった。
村の岸辺に到着
そして、村の岸辺に到着した。

何ときれいな海!遠浅のエメラルドグリーンの海が延々と続き、それに面する形で村がある。白い砂浜は柔らかく、波が穏やかに打ち寄せている。
ビーチをひょいと上がると、広々とした芝生が広がる村エリアへと入った。

フィジーの独特な村の景観を形作っているのが、この芝だ。サバンナのような短い草が一面に広がっているのだが、よく見るとカットされている。誰かがメンテナンスしているのだろう。裸足で歩くと、柔らかくて気持ちいい。おそらくは暑さを和らげる工夫でもあるのだろう。

この芝生エリアこそが、前回の記事で説明した村の中心部であり、帽子や日傘、サングラスが禁止されているエリアだ。日陰はあるものの、南国の日差しは容赦ない。でも、これが村のルールだ。
村の中を歩く
Rustyさんについて、村の中へと歩いていく。

左右には、色とりどりの洗濯物を天日干ししている家々が並んでいる。木材やトタンで作られた簡素な家々だが、それぞれに個性がある。カラフルに塗られた壁、ヤシの葉で作られた屋根、庭先に置かれた手作りの椅子。

途中、村で一番大きな教会が見えてきた。白い壁に十字架が掲げられている。Rustyさんによれば、この村には6つの教会があるのだとか。200人強程度の規模の村にしては、かなり多い。フィジーはキリスト教の影響が強く、村ごとに複数の教会があるのは珍しくないが、それにしても6つは多い。

Yaqeta村は、ヤサワ諸島で最も人口の多い村なのだという。
そして、この村はとにかく人々が人懐っこいという評判を聞いていた。するとやはり、私たちの東洋人顔が珍しいのか、村の子供たちや青年たちが次々に話しかけてくる。
Yasawa Flyerの中で、アテンダントから村民に会ったら元気に挨拶をするのがマナーだと聞いていた私たち。負けずと元気な声でBulaと返す。

子供たちは人懐っこくて、手を振ったり、一緒に写真を撮ろうと言ってきたりする。大人たちも笑顔で迎えてくれる。この温かい雰囲気が、Yaqeta村の魅力なのだと実感した。
教会の近くには墓地もあった。フィジーの村では、教会と墓地が村の中心的な場所にある。ここに先祖が眠り、村人たちが日々祈りを捧げる。生活と信仰が密接に結びついている。
ホームステイ先に到着

とにかくコンパクトな村だ。ビーチから3分ほど歩くと、ホームステイ先に到着した。
外から見ると、小さなな白い建物だ。しかし中に入ると、ピンクを基調としたカラフルで可愛らしい内装になっている。小さなダイニングルームと、寝室用の小部屋が2つ。片方はストックルームとして使用されているようだ。

この家はもともとRustyさんの家族が住んでいた家なのだが、昨年改装工事をしたのだそう。その際に縁があってホームステイを始めた。
最初はホームステイとは言ってもゲストハウスのようなものだろうと思っていたが、現地に着いて分かったのは、これが本当の意味でのホームステイだということだった。

この家は、普段はRustyさんが自分の家として使って寝ているらしい。私たちが滞在中は、Rustyさんはなんと隣のキッチンで寝ているのだそう。自分の寝床を譲ってくれているのだ。
これには驚いた。本当の意味でのホームステイ、つまり家族の一員として迎え入れられているのだと実感した。

寝室に案内される。中はシンプルだが清潔だ。ダブルベッドが一つ、小さなテーブルと椅子、そして蚊帳が設置されている。窓からは村の芝生エリアが見える。
荷物を置いて少し落ち着くと、さっそくランチを頂いた。食事の内容は、決してリゾートレストランのような洗練されたものではないが、フィジーの文化を知ることができる興味深いものだった。食事の詳細については、語ることが多くあるため、別途別記事で詳しく紹介したい。
簡単な説明とハウスルール
食事をしながら、Rustyさんから簡単な説明を受けた。
まず、施錠の仕方。ドアには南京錠がついており、外出時は自分で鍵をかける。ハウスルールとしては、靴は玄関で脱ぐこと。
そして、村のルールについても改めて確認。村の中心部では帽子や日傘、サングラスは禁止。

次に、電気について。この家は政府支給の太陽光発電システムを使っているため、夜間は電気が使えない。日中の間に、スマホやカメラのバッテリーを充電しておく必要がある。当然、エアコンや冷蔵庫もない。自然の風と、昼だけ使える扇風機が頼りだ。
トイレとシャワー、そして水事情
トイレとシャワーは屋外に別棟として建っている。Rustyさんに案内してもらった。

トイレは水洗式だ。水はどうやら雨水をタンクに溜めて使っているらしい。シャワーも同じく雨水を利用しており、太陽で温められた水が出る。お湯ではないが、冷たくもない、ちょうどいい温度だ。
ちなみに説明を受けた後、実際に使おうとしたら、鍵がかかっていた。あれ?とおろおろしていると、通りかかった他の村民が、これは鍵がかかってるようだよ、と教えてくれた。
Rustyさんはおちゃめな人なので、不思議に思うことがあったら、遠慮なく聞こう。
また、飲料水についても聞いてみた。Rustyさんによれば、ボトルウォーターを販売しているとのこと。しかし、この日は切らしており、わざわざ近くのリゾートまで買いに行ってくれた。

ただ、実際は村人たちは恐らく溜めた雨水を水道からそのまま飲んでいるように見えた。もっとも、胃腸の慣れない旅行客は、真似するのは控えたほうが良さそうだが。
セブセブとカヴァセレモニー
そして、私たちが持参したカヴァの根を見て、Rustyさんが話してくれた。
夕方からカヴァセレモニーがあるから、是非参加してほしいとのこと。噂に聞いていたカヴァセレモニーだ!

てっきり、セブセブの儀式は訪問時に村長の家を尋ねて行うような硬い感じのものかと思っていたが、そこまで形式的ではないらしい。このカヴァセレモニーがそれを兼ねるようだ。私たちのカヴァをRustyさんに託し、Rustyさんが村長へ渡すという形になる。
てっきりカヴァセレモニーは毎日やっているものだと思っていたが、そうではない。カヴァは高価なので、特別な理由がないと頻繁には行われない。この日は、先々月にRustyさんの家族が亡くなったため、それを偲ぶという名目でセレモニーが行われるのだという。
あるいは、そういう口実で村人達で集まって賑わいたい、という背景があるのかもしれないが、とにかく、この日にここに来られたことはラッキーだ。
まとめ
こうして、Yaqeta村での最初の数時間が過ぎた。
人懐っこい村人たち、素朴な家、シンプルだが清潔な部屋、太陽光発電のみの電気、屋外のトイレとシャワー、雨水を利用した水事情。そして何より、Rustyさんが自分の寝床を譲ってくれている本物のホームステイ。すべてが、ありのままの村の暮らしだ。観光化されたリゾートとは全く違う、本物のフィジー村。
次回の記事では、村内の散策の様子や、夕方から始まるカヴァセレモニーについて詳しくレポートする。村の伝統と、人々との深い交流が待っている。