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ホーチミンのロンタイン新国際空港、「市内まで2時間かかる」説は本当か?通説を覆す、新たな交通網整備に注目

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ホーチミンのロンタイン国際空港は市内から2時間かかるらしい、成田みたいに不便になりそう、タンソンニャットのほうが絶対楽だったのに——2026年6月の開港を前に、旅行者の間でそんな声が広がっている。市街地から約40km離れたドンナイ省に建設中のロンタイン国際空港。数字だけ見れば、東京都心から60km超の成田空港と重ねたくなる気持ちもわかる。

ところが最近、ちょっと面白い動きが出てきた。順を追って見ていくと、意外と期待できるかもしれない。

なぜ、新空港が必要になったのか

話の起点は、ホーチミン市の爆発的な成長にある。

現在の玄関口であるタンソンニャット国際空港は、市街地のど真ん中に位置する都市型空港だ。アクセスの良さという点では申し分ない。ところがベトナム経済の急成長と観光客の急増によって旅客数が限界に達し、慢性的な混雑と遅延が常態化。滑走路の拡張も市街地に囲まれているため物理的に難しく、このままでは東南アジアのハブ競争に勝てないという危機感が高まっていった。

そこで浮上したのが、郊外に大型の新空港を建設するという構想だ。年間旅客処理能力2500万人、将来は1億2000万人超、滑走路4000m——ロンタイン国際空港はベトナムの次の100年を見据えたプロジェクトとして位置づけられている。

国際線をどちらの空港に振り分けるか問題

新空港の建設が進む中で、旅行者にとって最も気になる問題が浮上した。タンソンニャットとロンタイン、国際線はどちらに飛ぶのかという問題だ。

東京では羽田・成田に国際線が分散し、ハブ機能が弱まったとして長年批判されてきた。バンコクでもスワンナプームとドンムアンの役割分担が混乱を招き、一時は旧空港の閉鎖計画が撤回される事態にまで発展した。こうした前例を踏まえ、ベトナム空港公社(ACV)が検討しているのが2つの案だ。

第1案はタンソンニャットの全国際線をロンタイン空港に一括移管し、国内線を残すもの。第2案は長距離国際線を中心にロンタイン空港へ80%を移し、20%はタンソンニャットに残すものだ。現状では第1案が最有力とされており、日本発着のホーチミン線を含む全国際線が新空港へ移る見通しになっている。東京・バンコクの失敗を繰り返さない、という意識的な判断でもある。

アクセス問題という壁が立ちはだかった

ここで旅行者の不安が現実味を帯びてくる。

全国際線が移管されるとなれば、旅行者は必ずロンタイン空港を使わなければならない。ところが市街地から約40km、現状のアクセスは主に高速道路頼みで所要時間は最大2時間。渋滞が慢性化しており、鉄道はおろかまともな高速バス網すら整備途中だ。開港に間に合うのか、利便性を無視して規模だけ大きくするつもりか——旅行者だけでなく現地からも疑問の声が上がっていた。

トップの一声が入った

そこに朗報が飛び込んできたのが2026年2月のこと。ベトナムのトー・ラム党書記長がホーチミン市を訪問し、市街地からロンタイン空港まで30分でアクセスできる環境を整えるよう直接指示したのだ。

e.vnexpress.net

トップが公式の場で具体的な数字を示して明言する——これはベトナムの政治スタイルにおいて、かなり強いコミットメントを意味する。実際そういった圧を受けてかインフラ整備は加速しており、総事業費1200億円超の橋梁2本が2026年1月に着工済み。794億円規模のカットライ斜張橋の設計も公表され、メトロ1号線のロンタイン延伸(総事業費3600億円)もドンナイ省レベルで正式承認された。遠くて不便な空港というイメージは、少なくとも計画上は急ピッチで塗り替えられつつある。

それでも開港直後は試運転期間になる

とはいえ、計画と現実の間には常にギャップがある。

橋梁や道路の整備は2026年6月の開港に間に合うのか。バス7路線の新設は渋滞下で機能するのか。メトロの延伸が完成するのは早くても2030年代の見通しで、開港時点では鉄道アクセスはゼロだ。市内のど真ん中でさえ30分かかることがあると地元から指摘する声もある。

トップの指示は確かに力強い。でも命令が出たからといって即日解決するわけではないことも、世界中のインフラ整備の歴史が教えてくれている。開港直後の混乱期を踏んでしまった旅行者がどんな体験をするか——それはまだ誰にもわからない。

まとめ:期待したい。だからこそ、今行くという選択もアリかもしれない

整理するとこうだ。タンソンニャットの限界→郊外に新空港建設→全国際線移管の方針→アクセスが心配→トップが30分を指示→インフラ整備が加速中。この流れを見ると、数年後のホーチミンは今よりずっと快適な空港アクセスを手に入れている可能性は十分ある。

でも、だとしたら逆説的にこんな問いが生まれないだろうか。今のホーチミンは、変わる前の最後の姿を見られるタイミングなのではないか、と。

タンソンニャット空港から市内まで30分。ごちゃごちゃとした到着ロビー、バイクタクシーの呼び込み、渋滞の中から見えてくるあの街並み——それもひっくるめてホーチミンの体験だったと、後から懐かしく思う日が来るかもしれない。

新空港が整って快適になってから行くのも正解だ。でも旅行好きなら、変わり目を目撃しておきたいという気持ちもわかるんじゃないだろうか。

あなたはどっち派? コメントで教えてください。

 

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参考:VnExpress International(2026年2月10日)、sky-budget(2025年8月22日)、VIETJO(2025年12月11日)