ドバイもドーハも、今は使えない。
中東ハブが機能停止し、中東各国が領空閉鎖をする今、「ヨーロッパ方面へ渡航するにはどこ経由で飛べばいいのか」という問い合わせをブログ読者から多数いただいています。前回の記事では代替ルートの概要を紹介しましたが、その中で特に注目したいのがエチオピア航空とアディスアベバ・ボレ国際空港です。
実は私、以前エチオピア航空を実際に利用したことがあります。日本発ではなく別の国からの搭乗でしたが、乗り継ぎ体験を含めて、いろいろと見えてきたことがありました。今回はその体験を正直にお伝えします。
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なぜ今、エチオピア経由が注目されるのか

エチオピア航空(Ethiopian Airlines)は、アフリカ最大の航空会社です。アディスアベバを拠点に、アジア・中東・欧州・南北アメリカ・アフリカ全域を結ぶネットワークを持ちます。
重要なのは、エチオピアが今回の中東紛争と直接的な関係を持たない国だという点です。イスラエルともイランとも国交はありますが、軍事的な巻き込まれ方をするポジションにはありません。ボレ国際空港は現在も通常運航を継続しており、欧州・アフリカ向けの迂回ルートとして実際に機能しています。
日本からであれば、成田・羽田発(仁川経由)でアディスアベバを経由して、ヨーロッパ、またはアフリカ各国への接続が可能です。
実際に乗ってみた
私がエチオピア航空を利用したのは2020年2月のこと。少し昔の話ではありますが、ルートはキガリ(ルワンダ)→アディスアベバ→ディレダワ(エチオピア国内線)という旅程でした。日本からではなく東アフリカ域内での搭乗でしたが、乗り継ぎや機材のリアルな姿を目の当たりにしたので、参考としてレポートします。
深夜のキガリ発

雨に濡れた夜のキガリ国際空港エプロンで、エチオピア航空のB737とルワンダエアのB737が並ぶ中、タラップを上って機内へ。ドバイやドーハのようなシームレスな搭乗橋はなく、雨の中をそのまま歩いて乗り込むスタイルです。ここはある意味、覚悟が必要です(もちろん、このあたりの仕様は空港によって異なるので、日本発の場合はそこまで気にする必要が無いでしょう)。

機内食はB737-800のエコノミー。チキンとライス、ロールパン、フルーツという構成で、可もなく不可もなく。「アフリカの航空会社だから粗末」というイメージとは違い、きちんと出てきます。
アディスアベバ・ボレ国際空港

深夜に到着したボレ国際空港。ライトアップされたターミナルに「ADDIS ABABA BOLE INTERNATIONAL AIRPORT」の文字が浮かび上がり、思いのほか整備された空港だという印象を受けました。

ここで重要な情報をお伝えします。ボレ国際空港のターミナルは近年新しくなっています。私が訪れた当時のターミナル内部はやや古い雰囲気で、乗り継ぎ通路は薄暗く細長い廊下が続くシュールな空間でした。ガラスブロックの壁と赤みがかった床が続く回廊を深夜に一人で歩いた感覚はもの悲しく、今でも記憶に残っています。しかし現在は大規模な新ターミナル(ターミナル2)が開業しており、乗り継ぎ環境は格段に改善されているはずです。

そしてボレ空港には、旅行者にとって見逃せないメリットがあります。空港が市内中心部に非常に近いのです。頑張れば歩いていけるほどの距離感で、タクシーなら数分。これは乗り継ぎ時間に余裕がある場合、アディスアベバの市街地をちょっと覗いてみるという選択肢が現実的に取れることを意味します。長時間乗り継ぎの退屈さをプラスの経験に変えられる、他のハブ空港にはなかなかない魅力です。
アディスアベバ国内線——ダッシュ8でエチオピアの大地へ

アディスアベバからディレダワへの国内線はボンバルディア・ダッシュ8というターボプロップ機(プロペラ機)でした。エプロンでは乗客がタラップから搭乗し、ディレダワ空港では岩山を背景にした滑走路に機体が停まる、なんとも開放的な風景が広がっていました。

窓の外に広がるエチオピアの大地——茶色い耕作地が幾何学的に広がり、遠くに霞む山々が連なる。エチオピア航空の緑・黄・赤のロゴカラーが映える翼越しに眺めるその景色は、アフリカを旅しているという実感が強烈に押し寄せてくる瞬間でした。
エチオピア経由、現実的な注意点
体験談を踏まえた上で、代替ルートとして検討する際の注意点を整理します。
①入国ビザの問題
ここが最も重要なポイントです。エチオピアへの入国には原則としてビザが必要で、料金もそれなりにかかります(以前私が確認した際は50ドル前後でした)。ただし、乗り継ぎのみの場合(空港制限区域内トランジット)は入国扱いにならないため、通常ビザは不要です。ボレ空港内でのトランジットであれば、ビザなしで乗り継ぎハブとして利用できます。
先ほど紹介した「市内に出られる」メリットは、あくまでも入国ビザを取得した場合の話です。乗り継ぎだけなら市内観光はできません。ビザを取得して一度入国してみる価値は十分にありますが、それは別の機会の話として。
ビザ要件は変更される可能性があります。必ず出発前にエチオピア大使館または外務省の海外安全情報で最新情報を確認してください。
②フライト時間と乗り継ぎ時間
日本からアディスアベバまでは直行便で約12〜13時間。そこから欧州主要都市へはさらに7〜8時間程度かかります。ドバイやドーハ経由より飛行時間が長くなる場合があり、乗り継ぎ時間も含めると総移動時間が20時間を超えるケースもあります。体力的な余裕を持った旅程計画が必要です。
③機材と快適性
長距離路線(日本〜アディスアベバ、アディスアベバ〜欧州)にはB787やB777などの近代的な機材が使われており、快適性は十分です。ただし国内線や短距離路線ではダッシュ8のようなプロペラ機も現役で活躍しています。乗り継ぎ先の路線によって機材が大きく変わる点は覚悟しておきましょう。
④アフリカ向けには特に強力
エチオピア航空が特に威力を発揮するのは、アフリカ全土へのアクセスです。アフリカ内の多くの都市への直行便を持つのはエチオピア航空くらいのもので、中東ハブ経由でしか行けなかったアフリカ各地も、アディスアベバ経由なら代替できます。欧州向けだけでなく、アフリカを目的地とする旅行者にとっては特に心強い選択肢です。
私の総評
カタール航空やエミレーツのような豪華さは期待しないほうがいい。でも「飛んで、つないで、着く」という旅の基本機能は十分に果たしてくれます。
特に今この時期、中東ハブが使えない状況で欧州やアフリカへ向かう必要がある方にとって、エチオピア航空とボレ国際空港は現実的で信頼できる選択肢です。
コスパ旅行ブログとして正直に言えば、運賃も中東系ハブ経由と比べて大きく変わらないケースが多く(場合によってはかなり安いことも)、むしろ穴場として狙い目になることもあります。
中東情勢の先行きが見えない今だからこそ、エチオピア経由というルートを選択肢として持っておく価値は十分にあると思います。
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この記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています。ビザ要件・運航状況は変更される場合があります。必ず公式情報を確認してください。