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【北朝鮮旅行】平壌行き列車・直行便フライトが6年ぶり復活——北朝鮮へ簡単に遊びに行ける時代が少しずつ近づいている

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2025年9月、金正恩総書記が約6年半ぶりに訪中し習近平主席と会談。そこから半年も経たないうちに、動きが急加速している。

3月12日、北京〜平壌間の旅客列車が約6年ぶりに再開された。さらに中国国際航空(エアチャイナ)が3月30日から北京〜平壌の直行便を週1便で再開させることも明らかになっており、中国のオンライン旅行サイトでチケットの販売も始まっている。

アクセスという面だけ見れば、確かに扉が開きつつある。ただ「じゃあ行けるのか」という話は、もう少し複雑だ。

直行便が戻ってくる

Air China Cargo 747-400SP

エアチャイナの再開第1便は、北京首都国際空港を現地時間の午前8時ごろ出発し、約2時間で平壌順安国際空港に到着する。4月以降も毎週月曜日に予約を受け付けており、当面は週1回の運航になるとみられる。

飛行時間は約2時間。成田〜上海よりも短い。地図を見れば当然の距離感なのに、これまで空路が閉ざされていたことの異常さを改めて思い知らされる。

なお北朝鮮国営の高麗航空は2023年に先行して運航を再開していたが、外国人が普通に予約できる状況ではなかった。今回のエアチャイナ参入により、国際的な旅行者にとってより現実的な選択肢が加わることになる。

列車は8時間の国境越え

鉄路については、3月12日の運転再開を機に、北京と平壌を結ぶ路線が週4回(月・水・木・土曜)、中朝国境の中国側の街・丹東と平壌を結ぶ路線が毎日1回運行している。丹東発は午前10時、平壌着は午後6時15分の約8時間の旅だ。

この路線は1954年運行開始の朝中友好の象徴的ルートで、2022年には貨物が先行再開していたが、旅客が戻ったのは今回が初めてだ。現地メディアの映像には、笑顔で窓から手を振る乗客の姿と、制服姿で緊張した面持ちの人が並んでいた。この対比が今の段階をよく表している——扉は開いたが、まだ誰でも乗れるわけではない。

なぜ今、両方同時に?

Sunan Airport, North Korea.

今回の動きの背景には中朝関係の急速な修復がある。北朝鮮とロシアが急接近したことを受けて2024年には中朝関係がぎくしゃくしていたが、昨年9月に金正恩総書記が約6年半ぶりに訪中し習近平主席と会談するなど関係改善が進んだ。そこから半年も経たないうちに、列車も飛行機も動き出した。

タイミングとして無視できないのが、トランプ大統領の今月末の訪中だ。中国が米朝対話の仲裁役を担おうとする動きの中で、北朝鮮との往来を急加速させているという見方がある。中国には、ロシアに傾いた北朝鮮を引き戻し、朝鮮半島への影響力を維持する狙いがある。旅客輸送の復活は外交の副産物でも、布石でもある。

「行ける」と「行けない」の間にある高い壁

アクセスが増えたとはいえ、北朝鮮が「普通に旅行できる国」になったわけではない。現状、外国人の観光旅行には根本的な壁がいくつもある。

まず制度として、北朝鮮旅行は団体ツアーのみが許可されており個人旅行は一切不可能だ。すべてが北朝鮮政府が認可した旅行会社を通じてのみ手配される。入国できたとしてもガイドが終日同行し、自分で行き先を決めたりガイドなしで歩くことは許されない。申込時にはパスポートや職業、訪問歴、写真から思想信条まで問われ、「入国審査の前に選別される」のが普通だ。日本人については政治的・歴史的背景から入国を断る旅行会社もある。

日本政府側からも制約がある。外務省は2017年以降「目的のいかんを問わず、北朝鮮への渡航は自粛してください」という要請を出し続けており、2026年現在も有効だ。法律的な禁止ではないが、北朝鮮に日本大使館・領事館が存在しないため、万が一トラブルに巻き込まれても日本政府による直接の支援を期待できない。

観光再開の見通しは?

コロナ前の北朝鮮旅行がどんなものだったかというと、実は「意外と普通」だったという意見も多い。ガイドが常時同行し、行ける場所は限られているものの、平壌冷麺を本場で食べ、温泉宿に泊まる——そういう旅行が実際にできていた。年間約20万人の外国人観光客が訪れており、その約80%が中国人で、「昔の中国を感じられるレトロな観光地」として高齢層に人気だったという。日本人は年間約300人ほど。制約は多いが「行ってみたら意外と楽しかった」という体験談は珍しくない。

その状況がコロナで完全に途絶えた。2025年2月に羅先経済特区で試験的に再開されたが、わずか3週間で中止となり、4月の平壌マラソンを最後に西側観光客の入国は再び途絶えた。中国拠点の旅行会社「ヤングパイオニアツアーズ」も「北朝鮮は公式に外国人観光を禁止している」と現在も告知している。

一方で小さな光明もある。その後いくつかのツアー会社が営業再開をしていることに加え、2026年4月の平壌マラソン参加を目的とする特別な団体ビザでの入国が可能になる見通しがあり、これは日本人も対象とされている。観光ビザではなくマラソン参加という特殊な枠組みだが、「入れる可能性がある」という意味では現状最もリアルなルートだ。

まとめ

日本人が手頃なコストで気軽に北朝鮮を旅行できる日は、まだ相当先の話だ。個人旅行が不可能という制度的な壁、渡航自粛要請、日本人というだけで断られる可能性、大使館がないという現実——これらは列車や飛行機が増えても消えない問題だ。

それでも、陸と空の両ルートが同じ月に復活したという事実は重い。中朝間の往来が本格化し、将来的に中国人観光客の受け入れが再開されれば、それが外国人全体への観光解禁への道筋になりうる。

鴨緑江鉄橋を渡る列車が個人観光客を乗せる日、あるいは東京から乗り継ぎ2本で平壌に降り立てる日が本当に来るのか。その答えはまだわからないが、6年ぶりに動き出したこの流れは、少なくとも「ゼロではない未来」を感じさせる。