前回の記事では、「日本人はウズベキスタンでレンタカーを借りられない」というネット上の定説が、実際には根拠の薄い誤解であることを検証した。パスポート・自国免許・IDP・滞在証明書の四点セットが揃えば合法的に運転できること、そしてそれはレンタカー会社でも警察の検問でも実際に認められたことをお伝えした。
今回はもう一歩踏み込んで、実際の手続きがどのように進んだかをリポートする。法律上は問題なくても、現場でスムーズにいくかどうかはまた別の話。その現実も含めて、正直にお伝えしたい。
言語の壁——ある程度の英会話力は必須

今回お世話になったAVENTUS RENT A CARとは、事前にWhatsAppでコンタクトを取っていた。この時点での対応は非常に安心感があった。担当者が流暢な英語でテキストのやり取りに応じてくれ、書類の件も含めて丁寧に回答してくれたからだ。
ただ、当日ショップに足を運んでみると、運悪くか、英語を話せるスタッフが一人もいなかった。
面食らいながらも、事前にWhatsAppで連絡していた旨を伝えると、「英語が喋れるスタッフに電話でつなぐから少し待って」ということになった。そこからの手続きは、電話口の担当者を介した三者通話方式で進んでいった。筆者が英語で担当者に話す→担当者がウズベク語に翻訳して現地スタッフに伝える→現地スタッフが対応する、という流れだ。
これは英語わしゃでない観光客にとっては、少々ハードルが高い可能性がある。英語力に不安があるのであれば、事前に担当者と細かい条件まですべてWhatsAppで詰めておき、当日は書類の確認だけで済むような状態にしておくのが賢明だ。
最終的には、親切なスタッフさん達の協力のおかげで、その後はスムーズに手続きを進めることができた。
車種と料金
もともと筆者が目をつけていたのは、1日300,000Som(約3,500円前後)のセダンだった。ところが当日ショップに行くと、安い車種はすべて出払っていた。

そのため550,000Som(約6千円)の上位車種をレンタルすることになった。この度旅程に不確定要素が多く、事前に車種を確約する予約を入れていなかったことが裏目に出た形だ。希望の車種を確実に押さえたいなら、事前予約の段階で車種まで確定しておくことを強くすすめる。もっとも、上位車種は、続編記事で綴る通り、ウズベクの悪路を走行する上で非常に安定感のあるパフォーマンスを発揮してくれたので、結果的には大正解の選択肢だったが。
なお、この料金はあくまで基本料金であり、保険は別途オプションとなる。フルカバー保険は基本料金の35%で付帯できる。筆者は海外でのレンタカーには必ずフルカバー保険をつける主義なので、迷わず選択した。結果、1日のトータル費用は8,000円前後といったところか。上位車種かつ1日のみの利用という条件を考えると多少割高ではあるが、それを差し引いてもなかなかコスパのよい金額設定だと感じた。
現金主義の根強いデポジット
手続きで一番の曲者になりうるのが、デポジットだ。
金額は3,000,000Som。ただし、これはおそらくウズベキスタン全般においてカード決済を行う際の慣習なのだと思われるが、デポジットをカードで預けて後日返金してもらう場合、12%ほどの手数料が発生してしまう。金額にすると4,000円弱。地味に痛い出費だ。
そのため、デポジットは現金で払うのが断然おすすめだ。現金で支払い、返却時に国際送金で返金してもらう方式であれば、余計な手数料を取られずに済む。

とはいえ、3,000,000Somもの現金をそう簡単に持ち歩いているわけもなく、筆者の場合はUSDで支払った。このあたりはある程度柔軟に対応してもらえるので、手持ちの通貨について事前に相談しておくとよいだろう。
ちなみに、スピード違反などの交通違反があった場合は、この預けたデポジットから差し引かれる仕組みになっている。安全運転あるのみだ。
※追記:その後、ウズベキスタンの特殊な決済事情が故、デポジットを日本の銀行宛に電信送金しようとするとSWIFT扱いとなり高額な手数料が発生するがわかった。私はStripe Paymentを使用して、手数料を最小限に抑えながらデポジットを受け取ることができたが、可能であれば事前に受け取り手段については確認しておくことが望ましい。
知っておきたいレンタル条件の細かい話
その他、いくつか日本のレンタカーとは勝手が違う点があったので整理しておく。
走行距離制限については、今回のプランでは1日あたり200kmまでという規定だった。結果的に走行距離は180kmほどで収まったが、担当者いわく、多少超過したとしても極端に高額な追徴が発生するわけではないとのことだった。
ガソリンのルールは、世界的に多いFull to Full(満タン返し)方式ではなく、「借りたときと同じ量で返す」方式だ。出発前にガソリンメーターの目盛りをしっかり確認しておき、返却時に同じ水準まで入っていれば問題ない。シンプルではあるが、出発時の確認だけは怠らないようにしたい。
クリーニングについては、車種によっては返却時に清掃が必要なものもある。こちらも基本は「借りたときと同じ状態で返す」という原則に則ったものだ。面倒を避けたいのであれば、最初からある程度の使用感がある車種を選んでおくと気が楽かもしれない。

ありがたいローカル対応
このショップ、本来の営業時間は19時までだ。しかし担当者は「お客さん優先だから、何時に返却してもいいよ」と言ってくれた。
これが本当に助かった。この日は深夜(早朝5時半)の高速鉄道でブハラを発つ予定だったため、本来であれば返却後から出発まで相当な時間が空く。そのため少し長めに借りさせてもらい、車内で仮眠と暖を取るという荒技で時間をやり過ごした。ブハラの夜は冷え込むため、暖を取れる空間があるのとないのとでは大違いだ。

そして深夜3時ごろに返却手続きを済ませた際、旧市街を少し散歩しようと思っていると伝えたところ、対応してくれた担当者がわざわざ旧市街まで送迎してくれた。深夜に、である。思わず胸が熱くなるような気遣いだった。もちろん毎回こういった余裕があるとは限らないが、こういった場面に出くわすと、旅をしていてよかったと心底思う。ローカル会社ならではの温かさを、存分に感じた瞬間だった。
ただし、返却に関して注意点が一つある。オフィス自体は閉まっているため、返却の際にはスタッフに来てもらう必要がある。少なくとも返却の2時間以上前には連絡を入れておくこと。これを忘れると、返却できずに詰む。
まとめ
手続き面をまとめると、法律上の問題さえクリアできれば、あとはほぼ普通のレンタカー契約と変わらない。ただし、英語対応・デポジットの支払い方法・事前の車種確約という三点は、事前にしっかり準備しておかないと現地で余計な手間とコストが発生する可能性がある。
この記事では、手続き上の癖や注意点についても赤裸々に書いてきたため、ネガティブな印象を受けた方もいるかもしれない。しかしそれは、読者によりピースフルな気持ちでレンタカーを利用してほしいからだ。実際のところ、AVENTUSのスタッフたちが持っているのは、とにかくお客さんのために全力を尽くすという姿勢だ。言語の壁があっても、営業時間を過ぎていても、その姿勢は一切ぶれなかった。ウズベキスタンならではの癖のある部分さえあらかじめ理解して臨めば、ここでのレンタカーは非常にコスパに優れた、最高の移動手段になる。それは自信を持って言える。
次回はいよいよ実際の走行編。ブハラ近郊の道路事情や運転難易度、そして今回走ったルートの様子を体験ベースでお伝えする。