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【ドライブ編】「外国人はウズベキスタンでレンタカーを借りれない」は真っ赤なウソ!日本人旅行客が実際に合法的に自動車運転をしてみた③

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前回までの記事では、法律面と手続き面について詳しくお伝えしてきた。日本のIDPでも合法的に運転できること、必要書類の揃え方、デポジットや保険の実態——といった「借りるまで」の話だ。

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今回はいよいよ、実際にハンドルを握って走り出した先の話をしたい。

ウズベキスタンは、中央アジアの中では観光地として比較的成熟した国だ。タシュケント~サマルカンド~ブハラ~ヒヴァという定番ルートには鉄道が発達しており、人気の観光地はレンタカーなしでもおおむね回ることができる。

しかし実際に旅してみて感じたのは、そういった定番スポットの「観光地然とした雰囲気」だ。サマルカンドやブハラでは、日本人をはじめ多くの外国人旅行客を至るところで見かけた。美しい場所であることは間違いない。ただ、人混みの中でスマートフォンを向け合う光景の中にいると、どこか興ざめしてしまう瞬間があるのも正直なところだ。

だからこそ、車を借りた。誰も来ないような道を走り、風を浴びながら、ウズベク人しか訪れないようなマイナーな場所や、農耕地帯に広がるローカルな暮らしの断片を、自分のペースで巡ってみたかった。それがレンタカーを選んだ理由だ。

イスラム文化圏にしては、マナーはマシなほう

レンタカーで走り出してまず感じたのは、交通マナーについてだった。

ウィンカーなしでの急な車線変更、車線を無視した追い越し、やたらと鳴らされるクラクション、ぴたりと後ろに迫ってくる短すぎる車間距離——ぎょっとする場面は確かにある。日本と比べれば相当カオスだ。

しかしカイロのあの混沌を経験している身からすると、ウズベキスタンはだいぶマシなほうだと感じた。サウジアラビアやカタールのような整然とした雰囲気とも違う。チュニジアで運転したときの感覚に近い、言うなれば「適度なカオス」だ。都市部では多少ひやひやする場面もあるが、少し郊外に出れば車はぐっと減り、ストレスなく運転を楽しめる。中東・中央アジアでの運転経験がある人であれば、それほど身構える必要はないだろう。

最大の難敵は、道路そのもの

ただし、ひとつ大きな問題がある。道路の状態だ。

これは今回の旅中に電動スクーターを借りた際にも痛感したことだが、道路が穴だらけなのだ。車体を傷つけかねない小さな穴が無数にあるのはまだいい。問題は、誤って全速力で突っ込んだら本気で事故になりかねないような大きな陥没穴まで散見されることだ。日本のようにぼんやりとハンドルを握っていることは許されない。スピードに乗りながら、常に路面を先読みし、穴をかわしながら走り続ける——この感覚は、日本では身につかないものだ。運転に自信のない場合は、ある程度どっしりとした大型の車を借りておくと、仮に小さい穴を踏んでも大した被害を被らずに済むだろう。

加えて、中東・中央アジアでおなじみのスピードバンプも各所に存在する。見落として全速力で突き抜けると車を本気で傷める。油断は禁物だ。

その他、旧市街地や住宅地などでは、車一台がぎりぎりすれ違えるかどうか程度の細道や、真ん中に溝が走っているようなトリッキーな道路を多々見かける。こういった道では相応の運転スキルが求められるので、道選びには注意が必要だ。

その一方で、幹線道路はしっかり舗装されており、砂漠地帯でよく見るような砂まみれの道路はほとんどない。ガソリンスタンドも高密度に整備されており、燃料切れの心配は不要だ。また、路上駐車に対してかなり寛容な文化があり、気になった景色の前でふらっと車を止めてひと息つく、といったことも比較的にできる。穴さえかわし続けられれば、走ること自体は非常に快適だ。

なお、今回の走行中に一度検問で停車を求められたが、前回の記事でも述べた通り、合法的な書類が揃っていれば何の問題もない。イスラム文化圏では自治体をまたぐ際などに検問が設けられているケースが多いが、正規の手続きを踏んで運転している限り、怖い思いをすることはないので安心してほしい。

あてにならないGoogleマップ

もう一つ厄介なのが、Googleマップのナビゲーションがあてにならないということ。リアルタイムで反映されない通行止めなどが街のあちこちで多発している他、道の有無やランドマークの登録位置も、実際の様子と若干異なることが多数あるのだ。そのため、Googleマップに従いながら目的地を目指していると、いつの間にか同じ場所をぐるぐる回り続けていた、なんてことすら発生する。

オススメなのは、Yandex Mapなどの複数のアプリを見比べながら、経路を取捨選択すること。また、現地のドライバーは迂回ルートに精通しているため、通行止めに遭遇した場合は周囲の車の流れに従ってとりあえずその場を離れる、といった戦略も有効だ。要するに、ネット上の情報だけではなく、その場その場の空気を読み、また自分自身の直感に従う、臨機応変な姿勢が求められると言える。

今回走ったルート——180kmの旅

出発は昼の12時ごろ。ブハラ郊外の宮殿や聖廟を起点に、砂漠の中に広がる静かな貯水池、陶器の町G'ijduvon、そしてヴァブケントを経由してブハラ市内へ戻る、約180kmのルートだ。

定番の観光地はほとんど含んでいない。外国人旅行客の姿はほぼ見かけず、カイイマザール貯水池では、ただぼんやりと景色を眺める時間が持てた。観光地としてガイドブックに載るような場所ではないが、地元の家族や友人グループがピクニックやリフレッシュにやってくる、ローカルに愛された憩いの場だ。荒涼とした大地の中に突如広がる水辺の光景は、それだけで十分に足を運ぶ価値がある。

G'ijduvonへ向かう途中には脇道に逸れ、農地が広がる田園地帯へ寄り道もした。ローカルモスクが田畑の中にひっそりと立ち、農作業をする人々の姿がある。そんな場所で車を止めてぼんやりしていると、地元の農家さんが興味深そうに話しかけてきた。言葉はほとんど通じなくても、身振り手振りと笑顔だけで成立するやり取りがある。こういった偶発的な出会いこそ、レンタカーでなければ辿り着けなかった瞬間だ。

車があるからこそできる夜の過ごし方

夜はブハラの中心地で食事を楽しんだ後、少し市街地を離れたマドラサの前に車を停めて後部座席で横になった。満天の静寂の中、仮眠を取りながら始発を待つ——これも車旅ならではの過ごし方だ。

ブハラからヒヴァへ鉄道で移動する場合、現在は朝5時台か7時台の便しかない。夜行列車があれば理想だが、5時台の始発に合わせようとすると、ホテルに泊まるには時間が中途半端すぎる。かといって深夜の街中で時間を潰すのも体力的につらい。そんなとき、車の中で仮眠が取れるというのは非常に合理的だ。体力を回復しながら翌日の行動に備えられる上に、宿泊費も不要。コスパの面でも旅程の組み方の面でも、レンタカーが持つ意外な強みだと感じた。

まとめ

ウズベキスタンでのドライブは、道路の穴さえ気をつければ、総じて快適で自由度の高い旅の手段だ。定番観光地を巡るだけでは絶対に出会えない景色や人々が、幹線道路を一本外れたところに広がっている。それを自分のペースで手繰り寄せられるのが、レンタカーの醍醐味だ。

法律面、手続き面、そして実際の走行面と、三回にわたってお伝えしてきたこのシリーズが、ウズベキスタンでのレンタカーを検討している方の背中を少しでも押せれば幸いだ。