2026年2月末のイラン攻撃以降、中東情勢が急速に不安定化した。エミレーツ航空やカタール航空の運航停止、ジェット燃料価格の高騰が世界中の航空網を揺るがし、「今年のゴールデンウィークや夏休みはどこへ行けるのか」と頭を抱えている人も多いのではないかと思う。筆者自身、ドーハ経由のカタール航空便がキャンセルになり、計画していたイラク旅行を断念したばかりだ。
ただ、中東情勢が深刻だからといって、海外旅行全体がリスクだらけになったわけではない。影響が集中しているのはあくまでも中東・欧州ルートであり、アジア圏や太平洋方面は構造的にほとんど関係がない。問題は、何が安全で何がそうでないかを、情報の混乱のなかで冷静に見極めることだ。
今回は、現在入手できる公開情報と実際の運航状況をもとに、日本発で2026年ゴールデンウィークに比較的安心して行ける海外旅行先を5つ選んだ。選定基準は、外務省危険情報レベル1以下であること、中東空域を通過しないルートで運航されていること、そして直近のフライトキャンセル実績や燃油サーチャージの値上げ情報が少ないこと、の3点だ。
1. 台湾(台北・高雄)
飛行時間3〜4時間。日本からの海外旅行先として、現時点でもっともリスクが低いと断言できる場所のひとつだ。中東情勢とは地理的にまったく無関係で、燃油サーチャージの負担も最小限に抑えられる。JALもANAもLCCも、台湾便に関しては平常運航を維持しており、フライトキャンセルの報告はほぼ見当たらない。
ゴールデンウィーク時期の台湾は気温が上がり始め、南部の高雄では30度を超える日も出てくる。台北であれば、九份や十份といった定番の観光地はもちろん、MRT一本で移動できる利便性も魅力だ。夜市の食べ歩き、ローカルな朝食文化、安くて質の高い食事と宿——コスパの観点から見ても、台湾は依然として最強クラスの旅行先だと思う。
ただし、GW期間中は日本人旅行者が集中するため、早めの手配が前提になる。それさえクリアすれば、今の状況でもっとも安心できる選択肢だ。
2. 韓国(ソウル・釜山)
飛行時間1〜2時間。東京からなら新幹線で大阪へ行くより短い時間で着いてしまう。LCCの便数も多く、中東情勢の影響をほぼ受けないルートのため、フライト面での不安はほとんどない。
ソウルはメイデイ前後でも特別な混乱は例年ない。明洞や弘大といった繁華街は変わらず賑わっており、最近は釜山の人気も着実に上がっている。屋台文化、温泉(東莱温泉など)、海鮮料理と、短期滞在でも密度の濃い旅ができる。
円安の影響は続いているものの、韓国は食費や交通費が日本より安い場面も多く、うまく動けばコスパは悪くない。LCCを使えばフライト代を低く抑えることもできる。日数が取れない人にとっては、3〜4日でも十分に充実した旅行になる。
3. タイ(バンコク・プーケット)
飛行時間6〜7時間。中東危機の影響として、タイ国際航空の運賃値上げや燃油サーチャージの上昇は確かに起きている。ただし、これは「乗れない」ではなく「やや高くなった」という話だ。JAL・ANA・タイ航空の日本発直行便は平常運航を維持しており、欠航報告が多いのは現地LCCの国内線や中東ハブ経由便に集中している。
ゴールデンウィーク時期のタイは乾季の終わり頃にあたり、特にプーケットやサムイ島は天候も比較的安定している。バンコクは屋台飯、寺院、マッサージ、夜の街と、短期間で旅の密度を上げやすい場所だ。物価の安さは依然として際立っており、燃料費の上昇分を現地の安さで取り返せることも多い。
懸念があるとすれば、GW期間の日本人旅行者集中によるホテル代の高騰と、現地移動で使うLCCの不安定さ、あとは5月のタイの猛暑くらいだ。日本発の直行便を軸に組み立て、現地の移動は鉄道や長距離バスで補うプランが安定する。
4. グアム
飛行時間3〜4時間。太平洋ルートを使うため、中東情勢とは構造的に無関係だ。JALもANAもユナイテッド航空も、グアム便の運航状況に変化はない。燃油サーチャージの影響も軽微で、現時点でもっとも「フライトの安定性」という観点でリスクが低い選択肢のひとつだと言える。
外務省の海外安全情報でも、グアムに危険情報は出ていない。米領土という性質上、「アメリカが危ない」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、中東情勢における米施設へのリスクはあくまでも中東・欧州の在外公館や軍施設が主な対象であり、太平洋の観光地であるグアムへの直接的な波及は確認されていない。
ショッピング、ビーチ、ダイビング——派手さはないが、短い休暇を確実に過ごすための安定感はある。子連れ旅行や初めての海外という層にも支持されてきた場所で、GWの定番という意味では韓国・台湾と並ぶ位置づけだ。
5. ハワイ(ホノルル)
飛行時間7〜8時間。太平洋横断ルートのため、中東空域とはまったく関係がない。JAL・ANAともに直行便を運航しており、運航状況も安定している。外務省の危険情報もクリアで、「アメリカ領だから危険」という懸念は、現状の情勢を正確に読んだものではない。
5選のなかでは飛行時間がもっとも長く、航空券代も高めになる。それでもハワイを入れたのは、GWシーズンの7〜8日間という日程であれば時差もさほど大きくなく(日本との時差は19時間だが体感的には慣れやすい)、現地滞在のコストと内容を考えると選択肢として成立するからだ。ワイキキビーチ、ノースショアのサーフカルチャー、ローカルフードのシーン——短期間でも旅の充実度は高い。
燃油サーチャージが上昇傾向にある現在、早期予約による固定価格での手配が特に重要になる。パッケージツアーの固定運賃を使うか、早い段階で正規運賃を押さえておくことを強く勧める。
選ばなかった旅行先について
ベトナムやフィリピンはコスパの観点から候補に挙がりやすいが、現地LCCの燃料備蓄不足による路線縮小・運休が報告されており、特にセブパシフィックなどの利用を組み合わせる場合は注意が必要だ。日本発の直行便自体は動いているものの、現地での乗り継ぎや島間移動でリスクが上がる可能性がある。
また、現状中国大陸・香港行きのフライトも比較的安定している飛んでいる模様だが、今年のゴールデンウイークは現地の大型連休である労働節と完全にかぶることを考えると、現地での滞在コストや観光地の混雑については相応の覚悟が必要となるだろう。
欧州については、中東空域を迂回する長距離ルートへの変更により飛行時間と燃料コストが大幅に増加しており、現時点では燃油サーチャージの負担が重い。危険という話ではないが、コストの観点で今回の5選からは外した。
まとめ
中東情勢の影響を正確に理解すれば、アジア近距離および太平洋方面の旅行は現在も十分に現実的な選択肢だ。台湾・韓国は距離と安定性のバランスで最優先候補、タイは多少のコスト増を許容できるなら依然として魅力的、グアム・ハワイは太平洋ルートの安全性と運航安定性が際立っている。
出発前には外務省の海外安全情報(たびレジ)を確認し、利用航空会社の運航状況を公式サイトでチェックしておくこと。情勢は流動的なため、直前の再確認は必須だ。それさえ怠らなければ、2026年のゴールデンウィークも海外で過ごすことは十分に可能だと思われる。
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