以前、中国高鉄の予約テクニックについて記事を書きました。携程旅行の基本機能や乗り換えルートの活用法など、外国人旅行者が知っておくべき基本的な知識をお伝えしました。しかし、あの記事は正直に言って生ぬるかったです。
春節、国慶節、労働節などの大型連休期間の予約競争は、通常時とは次元が違います。その熾烈さは、私がこれまで経験してきた中国旅行の中でも別格です。今回、様々なパターンを検証する中で見えてきた、第一希望便を確実に予約するための最短ルートと鉄則をお伝えします。
これから紹介するのは、妥協案ではありません。代替ルートでもありません。私が数々の予約実践を経て気づいた、あなたが本当に乗りたい列車を、予約開始と同時に押さえるための戦術です。
前提:13億人の科挙の国で戦うということ
まず現実を知ることから始めましょう。中国は13億人の人口を抱え、古代から科挙という熾烈な競争試験の文化が根付いている国です。チケット争奪戦と聞くと、日本の有名アーティストのライブチケット争奪戦のようなイメージを想像されるかもしれませんが、中国の大型連休における高鉄予約は、それとは桁が違います。
あなたのライバルたちは、最新のスマホと高速インターネット環境で、コンマ数秒の世界で戦っています。しかも日本からアクセスする場合、ネットワークの関係でどうしても速度が遅くなります。最初からハンデを背負っているのです。
だからこそ、私たちはあらゆる手を尽くし、中国のライバルたちに勝たなければなりません。しかし、それには準備と戦略が不可欠です。
鉄則1:予約解禁から10秒以内に予約決済を完了させよ
「予約開始と同時に予約する」。これは基本中の基本です。しかし、勘違いしないでください。これでやっとスタート地点に立てるだけなのです。1分、いや、数秒でも遅れたら、その時点でアウトです。

実際、私自身が経験した話をします。予約開始時刻の数分前から12306アプリを開いてスタンバイし、開始と同時に空席照会をしました。そして訂交を押したのが、開始からたった8秒後でした。しかし、結局予約失敗。その数秒の間にすでに満席になっていたのです。
8秒です。たった8秒で、何百席もある列車が満席になる。これが中国大型連休の現実なのです。
目標タイムは、予約開始から10秒以内に決済を完了させることです。中国人の予約猛者たちは5秒台を叩き出していると聞きます。外国からアクセスせざるを得ない私たちにはそこまでは難しいかもしれませんが、10秒以内なら十分勝負になります。
どれだけ予約の流れを素早く進められるか。そのためには反復練習が不可欠です。しかし練習にも落とし穴があります。それについては後述します。
鉄則2:練習なくして勝利なし
予約アプリを実際に使い、予約の流れを一通り体験してみてください。乗車する人の選択、座席クラスの選択(後述しますが実際には座席指定はしません)、支払い方法の確認など、流れを完全に把握しておくことが重要です。
流れがわかっていれば、本番でもサクサク進められます。逆に初めてだと確実にもたつきます。特に後述する推奨アプリは中国語のみです。本番で翻訳アプリを使いながら操作していては、到底間に合いません。
予約アプリでパスポート情報や本人確認を済ませ、AlipayやWeChatなどの支払い手段の登録を完了しておくことも必須です。これを怠ると、予約をスムーズに進めても途中で本人確認を求められ、そこで止まってしまいます。
おすすめは、事前に短距離区間で実際に購入テストをしておくことです。5元程度の区間であれば、練習コストとしては許容範囲でしょう。実際にお金を払って予約し、キャンセルまでの一連の流れを体験しておくことで、本番での動きが格段にスムーズになります。
練習のし過ぎは禁物
ただし、注意点があります。中国の鉄道予約システムでは、一日に何回もキャンセルができません。画面にも「一日に3回予約後のキャンセルをすると、その日は12306で予約ができなくなる」等という警告が表示されています。
つまり、練習のつもりで何度も予約とキャンセルを繰り返していると、本番で予約できなくなっている可能性があります。
練習は必要ですが、やりすぎには注意してください。本命の予約日の前日などに集中的に練習するのは避け、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
鉄則3:アプリはCTrip一択
中国旅行のライト層はTrip.com、中国旅行マニアは鉄路12306が定番です。しかし、大型連休の予約戦争では、そのどちらも最短ルートではありません。
12306信者が陥る罠
多くの人は12306を信じています。公式アプリだから最も有利だろう、と。確かに理屈としては正しいように思えます。しかし、ここが最大の盲点なのです。

12306は公式アプリだからこそ、ユーザー数が圧倒的に多く、予約開始時にサーバーに殺到します。その結果、予約を実行しても「予約待ち中です、システムが処理していますので少々お待ちください...」という画面で待たされ、最終的に「チケット発行失敗」となる可能性が高いのです。前述の、予約開始8秒で「提交訂単」を実行したにもかかわらず、予約が成立しなかった体験は、これが原因でした。

また実際には、座席の多くが予約解禁と同時に代理店向けに回されているものと考えられます。一般ユーザーが平等に競争できる環境ではないのです。
そして、第一希望の旅程を逃した後のリカバリーも12306では困難。12306のアプリでは、後述の「妥協テクニック」が使用できず、選択可能な列車が限られてしまうためです。
CTripが最強である理由
「CTripは所詮代理店でしょ?」そう思われるかもしれません。確かにCTripは代理店です。しかし、だからこそ強いのです。
多くの中国人は12306信者です。公式だからという理由で、みんなそこに殺到します。一方、CTripは比較的動作が安定しており、開始直後の座席確保がしやすい特徴があります。見た目の動作は一見遅く感じられるかもしれませんが、予約を実行してから待たされるようなことは12306に比べて圧倒的に少ないのです(もちろん、あくまで傾向であって、絶対ではありません)。

こちら、先ほど紹介した12306での予約と同時に行ったCTripでの予約です。待ち時間など発生することなくサクサクと予約が完了しました。座席番号も割り当てられ、改札口などの具体的な情報も表示されています。
つまり、12306に人が集中している間に、CTripでサクッと予約を確定させてしまう。これが勝利への最短ルートなのです。
ただし、CTripを使う際には、12306のアカウントを作って連携しておくと有利に働きます。いずれにせよ、12306アプリの初期設定やパスポート・本人確認は完了しておきましょう。CTripをメインに使うとしても、12306の準備も並行して進めておくことが重要です。
鉄則4:座席指定は命取り
これは多くの人が見落としがちなポイントです。座席指定はするな。

「せっかく予約するなら、窓側がいい」「通路側の方が楽だ」。そんな余裕は、大型連休の予約戦争には存在しません。一瞬の迷いが命取りです。ライバルはコンマ数秒の世界で戦っています。座席選びに時間をかけている場合ではないのです。
座席を指定せずに予約してください。心配は無用です。複数人で予約すると、たいていの場合は隣同士や近くの座席を自動的に割り当ててくれます。
座席選択のワンクリックが、予約成功と失敗を分ける可能性があることを肝に銘じてください。10秒以内に予約確定を完了させる。そのためには、一切の無駄を省く必要があります。座席指定は、その最たる無駄なのです。
今回のケースでも、実際の予約成功例を見ると、2名分の予約で「06B号」と「06A号」という隣り合った座席が自動的に割り当てられています。座席指定をしなくても、システムが賢く配置してくれることがわかります。
鉄則5:バックアップは常に複数用意せよ
ここまで徹底的に準備したとしても、必ずしも第一希望の便が取れるとは限りません。また、アプリサーバーの混雑で思うように動作しないこともあります。
バックアップの予約アプリを別で立ち上げておくことはもちろん、万が一取れなかった場合の代替プランを事前に立てておくことが不可欠です。少し高いクラスの予約をするか、それとも時間をずらすか、隣の大きな駅までの列車で妥協するか、あるいは乗り継ぎを含む代替便をとるか。
プランB、プランC、場合によってはプランDまで、あらかじめ綿密に準備しておいてください。そして重要なのは、それらの代替プランも、この熾烈な戦いの前では一瞬にしてなくなるということです。第一希望が取れなかったとわかった瞬間に、即座に次のプランに移行できる準備が必要です。
実際の検索画面を見ると、同じ日に複数の列車が走っています。それぞれ発車時刻が異なり、所要時間や価格も違います。これらすべてについて、どれが次善の策か、三番目の選択肢か、事前に決めておくのです。
代替プランの検討は、予約開始日の前日までに完了させておきましょう。本番当日に考えている時間はありません。
妥協テクニックを熟知せよ
熾烈なスピード勝負に敗れてしまった場合もまだ大丈夫。前半戦が腕力勝負なら、後半戦は知能戦です。
実は、例え12306上で一見全ての列車が売れ切れてしまっていたとしても、CTripでは「多買」「車内中転」等の妥協テクニックを使うことで、多少の移動時間や出費を犠牲にしながら、希望に近しい旅程を組むことが可能なのです。こういった裏技・テクニックついては前回の記事をご覧いただければ幸いです。
また、近日中に妥協テクニック特化型の記事を作成する予定なので、乞うご期待を。
まとめ:勝利のために必要なのは準備と覚悟
中国大型連休の高鉄予約は、戦争です。しかし、適切な準備と戦略があれば、外国人でも勝つことができます。
事前の準備(アプリの初期設定、本人確認、支払い手段の登録、購入情報の事前入力)、練習(予約の流れの習熟、ただしキャンセル回数に注意)、適切なツールの選択(CTripという盲点を突く)、迅速な判断(座席指定をしない)、そして複数の代替プラン。これらすべてを揃えて初めて、勝利の可能性が見えてきます。
13億人の中国人と同じ土俵で戦うということは、並大抵のことではありません。しかし、それだけの価値はあります。春節の故郷への帰省列車、国慶節の観光地への特急列車。それらを確実に予約できたときの達成感は、何物にも代えがたいものです。
予約開始から10秒以内に予約確定。この数字を目標に、練習を重ねてください。そして本番では、失敗しても気持ちをすぐに切り替え、頭脳戦で題に希望を制しましょう。CTripという盲点を突いて、12306信者たちの一歩先を行ってください。
次の大型連休では、この鉄則を実践して、ぜひ第一希望の列車を勝ち取ってください。私はあなたの勝利を心から応援しています。
