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サマルカンド・レギスタン広場は朝・昼・夜で3度おいしい - 時間帯別訪問レポート【ウズベキスタン旅行】

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サマルカンドを訪れる旅行者なら、まず外せないのがレギスタン広場だ。「レギスタン」とはペルシャ語で「砂の場所」を意味し、かつてシルクロードの商業・行政の中心として機能していたこの広場には、3つのマドラサが三方を囲むように建ち並んでいる。左手のウルグベク・マドラサ(15世紀)、右手のシェルドル・マドラサ(17世紀)、そして正面のティッラ・カリ・マドラサ(17世紀)——それぞれが異なる時代に建てられながら、全体として圧倒的な調和を見せている。

そしてこのレギスタン広場、実は訪問する時間帯によってまったく異なる表情を見せる。今回の滞在では朝・昼・夜と時間を変えて何度も足を運んだ。それぞれに異なる魅力があり、可能であればすべての時間帯を体験してほしいというのが正直な感想だ。

基本情報——開園時間と入場ゲートについて

まず基本情報を整理しておこう。レギスタン広場の公式な開園時間は8時〜20時だ。広場の入口にはアーチ型の屋根がついたセキュリティゲートがあり、この時間帯はチケットを購入して入場できる。20時を過ぎるとゲートが閉まり、広場内に入ることはできなくなる。

ただし、実は公式の開園時間外でも入場できる方法がある。

朝——開園前の「現金交渉」入場で独り占め体験

レギスタン観光の穴場は、実は朝の開園前だ。7時頃に広場に向かうと、セキュリティゲートは閉まっているものの、警備員が立っている。ここで現金を手渡すことで、公式チケットではなくいわば「融通」として中に入れてもらえるのだ。

中に入った瞬間、思わず息をのんだ。3つのマドラサが静かに、しかし威厳を持って立っている。広大な石畳の広場に、自分以外ほぼ誰もいない。土産物屋はまだ開いていない。聞こえるのは風の音だけだ。

昼間のレギスタンと比べると、この静けさのギャップは相当なものだ。観光客でごった返す時間帯には絶対に撮れないアングルで、思う存分カメラを向けられる。広場の中央に立って3つのマドラサをぐるりと見渡す——その瞬間、この場所を完全に独り占めにしている感覚がある。世界遺産を貸し切りにできる、これはなかなか得難い体験だ。

一足早くマドラサに入ると、ターコイズブルーの巨大なドームが頭上に広がる。そのファサードの細部を間近で見ると、幾何学模様と花卉文様が複雑に絡み合い、一体どれだけの職人がどれだけの時間をかけてこれを作り上げたのかと思わず立ち止まってしまう。

面白いのは、この早朝の時間帯にもコスプレ撮影サービスが営業していることだ。ウズベキスタンの伝統衣装を着た女性がマドラサの前に立ち、カメラマンが横でスタンバイしている。昼間より人が少ない分、広場を贅沢に使った写真が撮れるのが魅力だろう。

広場外の花壇エリアも、この時間帯はひっそりとしている。カラフルな花々とミナレットが組み合わさった構図は、昼間の喧騒の中ではなかなか落ち着いて撮れない。朝の柔らかい光の中でゆっくりと眺めるのは、それだけで価値がある。

昼——マドラサの中を隅々まで探索する

8時の開園と同時に、観光客が入り始める。チケットを購入して正面から入場すると、3つのマドラサの内部をそれぞれ見学できる(融通料を払って開園前からすでに入場している場合は追加でチケットを購入する必要はない)。

ティッラ・カリ・マドラサ内部には、ぜひ足を運んでほしい場所がある。「黄金の礼拝堂」とも呼ばれる内部空間だ。「ティッラ・カリ」とはウズベク語で「金で覆われた」を意味するが、まさにその言葉通りの世界が広がっている。

天井を見上げると、金色と青の幾何学文様が同心円状に広がり、中央の丸いドームに向かって吸い込まれていくような構図になっている。壁面も隅から隅まで金の装飾で覆われており、空間全体がひとつの巨大な工芸品のようだ。

各マドラサ内、回廊沿いの部屋には土産物屋やアトリエも並ぶ。陶器・シルク製品・木工品・スザニ刺繍……ウズベキスタンの工芸品が所狭しと並べられており、眺めているだけで時間が過ぎていく。なかでも目を引くのが「レギスタン タイル工房」の看板だ。日本語でも表記されており、ここで実際に使われているタイル技法を紹介・販売している。マドラサの建築と同じ技法で作られた作品を手に取れるのは、なかなか感慨深い。

マドラサ内部に博物館が設けられているエリアもある。ドーム天井の美しい展示室には、19世紀のサマルカンドを記録した白黒写真や、当時の民族衣装・生活用品が展示されている。タイムスリップしたような空間で、旅の文脈に深みが加わる。

2階の回廊に上がると、中庭を見下ろすアングルが得られる。タイルの細部がすぐ目の前に迫り、職人の仕事ぶりを間近で確認できる。地上から見上げるのとはまた違う迫力だ。

そしてもうひとつ、昼間だけに可能な体験がある。ミナレットへの登頂だ。公式には一般開放されていないが、現地のガイドに声をかけて融通料を払うことで登らせてもらえる。少々割高ではあるが、ここまで来てミナレットに登らないのはもったいない。急な螺旋階段を息を切らしながら上り切ると、サマルカンドの街並みが360度広がる。眼下に広がる3つのマドラサの屋根とドームを上から眺めるアングルは、地上からは絶対に見られない絶景だ。

ミナレットの頂上からは、地上とはまた異なる角度でマドラサを眺められる

ただ、昼間は観光客の数が相当多い。特に午前10時から午後3時頃にかけては混雑のピークで、広場では常にどこかにツアー客の集団がいる状態になる。写真を撮るにも人が映り込みやすい。建築をじっくり眺めたいなら、早めの時間帯か夕方が狙い目だ。

夜——ライトアップと雨が生み出した別世界

20時の閉場が近づくにつれ、レギスタンはまた別の顔を見せ始める。日が落ちると広場全体がライトアップされ、3つのマドラサが夜の闇の中に浮かび上がる。昼間とはまったく異なる色彩だ。ターコイズと淡いオレンジの光がファサードを照らし、幻想的な空間が生まれる。

この日は雨が降っていた。雨の夜のレギスタンは、正直想定外の美しさだった。石畳の広場に光が映り込み、3つのマドラサが水面に映し出される。傘を差しながら広場に立って眺めていると、まるで鏡の中に入り込んだような不思議な感覚になった。「雨でラッキー」と思ったのは旅の中でも数少ない経験だ。

20時に閉場してもレギスタン周辺は捨てたものではない。ゲートが閉まっても、外側の花壇エリアや広場前の遊歩道からライトアップを楽しめる。手入れの行き届いた花壇越しに、光を纏ったミナレットとドームを眺める構図は、広場内からとはまた異なる趣がある。地元の若者たちもこの時間帯にふらっとやってきて、思い思いに夜風にあたっている。観光地としての顔ではなく、サマルカンドという街の日常の一部としてのレギスタン周辺を感じられるのが、この時間帯ならではだ。

まとめ——3回行って、ようやくレギスタンを語れる

レギスタン広場は、1回訪れるだけでは半分しか楽しめていないと言っても過言ではない。
朝の開園前は人がほぼゼロで、世界遺産を独り占めにできる唯一の時間帯。観光客の波が押し寄せる昼間は、黄金の礼拝堂に息をのみ、マドラサの内部や博物館・工房を隅々まで楽しみ、ガイドと交渉してミナレットの頂上を目指す時間。そして夜はライトアップと、雨が降ればさらに幻想的な水鏡の世界が待っている。
3つの時間帯それぞれが、まったく別の体験を提供してくれる。サマルカンドを訪れるなら、ぜひ1日かけてこの変化を追いかけてみてほしい。そのためにも、レギスタンから徒歩圏内に宿を取ることを強くお勧めする。「また行こう」と思ったときにすぐ行ける距離にいることが、レギスタンを最大限に楽しむための、いちばんシンプルな条件だと思っている。