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サマルカンド旧市街の激渋ローカル飯屋「XALISA / SHO'RVA / SOMSA」——観光客ゼロの路地裏で食べる素朴な地元の味

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観光客向けの店ばかりじゃ物足りない

サマルカンドの旧市街を歩いていると、レギスタン周辺を中心に観光客向けの飲食店が軒を連ねているのに気づく。英語メニューあり、インスタ映えするインテリア、値段もそれなりに高め——旅行者を迎え入れるために最適化された店が多い。それはそれで悪くないのだが、せっかくここまで来たなら、地元の人が普通に使っている食堂にも入ってみたい。

そんな気持ちで路地に入り込んで見つけたのが、今回紹介する店だ。

ビビハニム近くの路地に潜む、看板だけの食堂

場所はビビハニム・モスクエリアからちょっと路地を入ったところ。電線が頭上に絡み合い、ソビエト時代のラーダが路肩に停まる、絵に描いたような下町の路地だ。そこに、青い板に3品の写真が印刷されただけの簡素な看板が壁に掛かっている。「XALISA / SHO'RVA / SOMSA」——それだけだ。店名らしき表記はどこにもない。Googleマップ上では「Halisa, Samsa, Shurpa(Fresh home cooking)」という名前が付いているが、これはおそらく誰かが便宜的につけたものだろう。看板にも入口にも、店の名前は書かれていない。

入口は完全に民家のそれだ。扉を開ける前の小さな土間に手洗い場がある。一瞬「本当にここか?」と思うが、扉の向こうに食卓が見えるのでここで合っている。

中に入ると、完全に民家の食堂

見知らぬ人の家にお邪魔するかのようなドキドキと罪悪感を抱えつつ、恐る恐る敷地内へ踏み入れると、ウズベク帽を被ったおじいさんが迎え入れてくれた。

おじいさんの案内に従って入り口すぐの部屋の扉を開けると、こじんまりとした部屋が現れる。花柄のテーブルクロスが掛かったテーブルが数卓、シンプルな木の椅子。壁にはアッラーとムハンマドのカリグラフィーが飾られている。装飾らしい装飾はそれだけで、あとは何もない。観光客向けの豪奢なレストランの内装とは一線を画す、誰かの家の居間をそのまま食堂にしたような空間だ。

実際のところ、この店は民家の一部をそのまま食堂として使っているような仕様になっている。厨房と食事スペースが隣り合っているだけで、いわゆる「レストラン」としての設備は何もない。それがこの店の正体だ。

メニューは3品だけ——しかも全部あるとは限らない

看板に書かれた通り、メニューは3種類しかない。ハリサ(肉を長時間煮込んでペースト状にした料理)、ショルバ(肉と野菜のスープ、シュルバなどとも)、ソムサ(肉入りの焼きパイ)——以上だ。

ただし、全部が常に提供されているわけではない。仕込み状況や食材の有無によって、その日食べられるものは変わる。英語のメニュー表があるわけでもなく、今日は何が食べられるかはその日に行ってみるまでわからない。この不確かさも含めて、この店の個性だと思う。

特に、私が訪問した日はまだラマダン中だった事もあって、あいにく品揃えが悪かったのだろうか。提供可能な料理はショルバのみだった。

シュルバを食べた

ということで、ショルバを注文。素朴なナンと緑茶が最初に運ばれ、続いてショルバが運ばれてきた。ウズベク模様の白いどんぶりに、澄んだ茶色のスープ。骨付きの肉塊がどんと入っており、その周りにひよこ豆、じゃがいも、にんじんが沈んでいる。

まず一口すすると、味付けが中々控えめだということに気づく。塩は最小限で、スパイスも主張しない。しかしそのシンプルさの奥に、骨からじっくり出た肉のエキスのコクと、脂のまろやかさが確かにある。ひよこ豆がそのコクをさらに底上げしていて、食べ進めるにつれてスープの輪郭がくっきりしてくる。添えられたナンを千切ってスープに浸して食べると、これがまたよく合う。

ほろほろの肉とあっさりスープ、そしてディルの甘い香りが生むハーモニーが絶妙

そして、あっさりとした素朴な味わいだからこそ、散りばめられたウズベクハーブ「ディル」のほのかな甘い香りが生き生きとする。世に似たような煮込みスープが多数ある中、ウズベク料理をウズベク料理たらしめる一要素として、ディルは欠かせない。

派手さはない。でも素朴さに自信が宿っているスープだ。「家で作る料理」というのはこういうものだよな、とじんわり納得させられる一杯だった。

まとめ——旧市街でローカル飯を食べるならここ

観光客向けにアレンジされていない、地元の日常の味を食べたいならここは間違いなくお勧めだ。英語は通じないし、食べたいものが食べられないかもしれない。でもそういう不確かさも含めて、旅の醍醐味だと思う。

私自身、今回の滞在では叶わなかったものの、次回のウズベク再訪の際には、サムサやハリサについても是非味わってみたいと思う。

これからサマルカンドを訪れる方は、ビビハニム・モスク観光のついでに、ちょっと路地に迷い込んでみてほしい。路地の奥に青い看板が見えたら、そこが目印だ。